ドローン測量技術は災害現場でも活躍!活用方法や事例を交えて解説

更新日: 2021.11.24 公開日: 2020.02.13
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ドローン測量の技術は災害現場でも活躍

ドローン測量では、ドローンに搭載してあるカメラやGPS、気圧計などを使って測量をおこないます。

ドローン測量は大きく2つに分けられ、一般的な測量用のドローンを用いた測量で、通常の測量はもちろん行えますが、山などの木々が生い茂った場所では正確な測量が難しいという課題があります。

もう1つは、ドローンでレーザー測量をおこなうものです。一般的な測量用ドローンとは異なり、ドローンから照射したレーザーが木々の隙間などに入り、より精密なデータを得ることができるため、木々が生い茂った場所でも正確な測量が可能となっています。。

これらのドローンに搭載した機器から得た情報は、専用のソフトでデータ解析をすることで、3次元点群データ、3次元点群データをもとに3Dモデルや図面などの作成をおこないます。

このようなドローン測量で使われる技術は、災害時にも役立ちます。

地震や大雨などの災害が起こったときには、迅速に災害現場の状況を把握することが大事ですが、災害現場は危険を伴う場所が多く、災害直後に人が入って現場の調査をするのはとても困難です。

ドローンを使うことで、人が危険な場所に入らずとも、災害現場の状況を把握することが可能です。小回りのきくドローンは現場の状況にあわせ、狭い場所でも飛行ができるので、搭載したカメラで災害現場の詳細な画像を得ることができます。

災害では、それまで通れた道が土砂崩れなどにより通れなくなることもあります。ドローンであれば道が通れなくても上空から撮影を行うことができるため、これまでより安易に、安全な道を探し出すことも可能です。

また、ドローン測量では上空から得た情報を専用のソフトですばやくデータ解析し、3Dモデルなどを作成できます。災害時、場所によっては早期復旧が求められるため、ドローン測量の技術を使うと、迅速に復旧計画が立てられます。

このように、災害現場ではドローン測量の利点をそのまま活用できるのです。

 

災害現場でドローン測量の技術を活用した事例

実際にドローン測量の技術を使い、災害現場でドローンが活躍した事例を紹介します。

・熊本地震

熊本地震では、国土地理院がドローンで撮影した、阿蘇大橋の決壊した動画が注目されました。阿蘇大橋の決壊した動画は本震があったその日に撮影されています。

阿蘇大橋だけでなく、被害が大きかった阿蘇大橋周辺の地区や、益城地区なども同じ日に撮影されており、ドローンにより迅速に災害現場の状況把握ができています。

これまでおこなっていた、ヘリコプターでの災害現場の状況把握は、離着陸できる場所を確保するなど、飛行するまでに時間がかかっていました。ドローンは狭い場所での離着陸が可能なので、災害時にも場所を選ばずに飛ばすことができ、時間短縮ができます。

また、低空飛行ができるドローンでは土砂崩れや断層の様子を、鮮明に確認することができました。

従来の測量よりも短時間での測量が可能なドローンを使うことで、損傷した高速道路も2週間程という早さで復旧しています。

・九州北部豪雨

九州北部豪雨で人が立ち入れなかった福岡県朝倉郡東峰村では、全天候型のドローンを使い、雨の中での災害現場の状況把握がおこなわれました。ドローンで得た情報は、災害情報共有システムにアップロードされ、現地の災害対応に役立ちました。

※災害情報共有システムとは、災害時の被災被害情報をリアルタイムに集約し、防災関連部署での分析・判断や、関連機関との情報共有や伝達をおこなうためのシステムです。

地上からの調査では困難で時間を要する斜面崩壊箇所や、流木堆積状況の災害後の調査もドローンでおこなわれています。国土交通省が派遣したTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)は、災害現場でのドローンによる調査は効果的であると報告しています。

 

測量技術をはじめ災害現場におけるドローン活用の今後

前述したように、災害時にドローンによる調査は効果的と報告されており、災害が多くなっているいま、ドローン測量の技術は必要不可欠となるでしょう。

しかし、ドローンの活用が広まっている一方で、地方ではドローンなどのICT(情報通信技術)に対する認識不足といった課題もあります。

その課題を克服するために国土地理院は、「国土地理院ランドバード」を発足しました。

災害現場でドローンを扱うには、高い安全管理能力と操縦技術が必要です。

国土地理院ランドバードでは、安全基準の整備と平時からの訓練を実施しており、人材育成や技能の維持向上を課題としています。

国土地理院ランドバードの発足により、地方自治体でもドローンなどのICT(情報通信技術)を取り入れる動きが進んでおり、自治体と民間企業などがドローンでの災害支援を目的とした協定を結ぶ動きも増えつつあります。

さまざまな分野でもドローンを導入する企業は増えており、ドローン技術を十分に理解することで、災害時にもドローンを使ったが災害支援の利用が広まるでしょう。

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