従来の測量に比べて、かかる時間やコストが大幅に削減できると話題の「ドローン測量」は、現在各地で実用化されています。実際、ドローンによる空撮からデータ処理までは、従来の手法と比較しても驚くべき早さで結果を出すことができます。
ですが、人の手ではなくドローンに測量を任せるとなると、気になるのがドローン測量の精度でしょう。いくら時間とコストが削減できても、精度がいまいちだと意味がありません。
本記事では、ドローンによる測量の”今”を伝えるべく、現在のドローン測量の精度や測量にかかる日数、主な手法について解説していきます。
航空写真・航空レーザー測量からドローン写真測量の時代へ
学生の頃、生徒全員で校庭に出て航空写真を撮影した経験があるかもしれませんが、従来の上空からの測量も、同様に航空機や衛星を利用したものが一般的でした。ですが、近年ではドローンによる写真測量が急速に普及してきています。
理由として、ドローンは航空機よりも低コストで運用でき、なおかつ低高度での撮影が可能であるという点が挙げられます。今や、空撮のメインストリームは航空機・ヘリからドローンへと取って代わられつつありますが、写真測量の世界でも同様の世代交代が始まっているのです。
もちろん、ドローンによる測量の精度も、従来の測量手法に引けを取りません。以下でチェックしていきましょう。
測量精度は±5度以下まで進化。高精度での測量を実現
現在、上空、地上問わず測量手法には以下の5種類があります。
・航空写真測量
・航空レーザー測量
・地上3Dレーザー測量
・光波測量
・ドローン写真測量
このうち、もっとも精度が高いと言われるのは地上3Dレーザー測量ですが、ドローンの測量はこれと同程度の精度をもつといわれています。
ドローンでの測量に要する日数・費用
ドローンでの測量に要する日数は、平均して以下の通りです。
<1ヘクタールあたりの撮影所要時間(目安)>
・ドローン空撮…30分
・航空写真空撮…15分
・地上3Dレーザー測量…半日
・光波測量…1日半
撮影に1時間、データ処理まで半日程度で完了
上記を比較すると、ドローンは撮影に要する時間が非常に短いことがわかります。なぜこんなに短いのでしょうか?理由としては、準備に要する時間が極端に短いという点が挙げられます。
航空機や衛星と比べて、はるかに手軽に機材を用意・撮影できるのは言うまでもありませんし、地上3Dレーザー測量と比べてセッティングにも時間を要しません。ドローンをフライトさせて写真を撮るだけなので、ホビー用ドローンの延長線上で仕事ができます。
さらに、空撮測量は重機などの作業を妨げません。作業時間も1時間ほどで終わるので、作業の休憩中などにスムーズに計測できるという利点があります。
ドローン測量に必要な費用は100万円以下
ドローン測量では、時間の短縮と共に、費用が100万円以下と、航空機や衛星を用いる場合に比べて、非常に安価である点も魅力となっています。
森林などの地形計測が課題。レーザースキャナー搭載型ドローンも開発中
ドローンを用いた写真測量では、従来の航空写真測量と同じく、木が茂っているなどして写真では地形が把握しにくい場合に、精度が落ちてしまうという弱点があります。今のところは、これがドローン写真測量の課題となるでしょうか。
近年では、この欠点を克服すべく、レーザースキャナーを搭載したドローンの開発も進められています。これが実用化されれば、ドローンの利便性を確保しつつ、複雑な地形の3Dデータを作ることができます。
まとめ
「高い精度」「安価な費用」「短い測定時間」と、ドローンは測量の環境を一変させました。現在では、天候や地形に左右されない、レーザー測量を載せたドローンも開発が進められています。
これからますます測量用ドローンの精度は高まり、普及が進められていくでしょう。これからの展開に期待したいところです。
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