国土交通省が取り組んでいるi-Constructionの後押しを受けて、従来の測量方法に代わって運用される機会が増えたのがドローンを使った測量です。ここではドローン測量の普及が進むようになった経緯や、ドローン測量に必要なものと作業の基本的な流れを解説します。
流れの前に知っておきたいドローン測量の普及が進むようになった経緯とメリット
建設や地図の作成などに必要不可欠な作業が測量です。測量することによって対象物の経度、緯度、標高といった位置関係を正確に知ることができます。測量作業の歴史は古く、古代エジプト時代から行われてきたとされています。
現在ではGPSによって得られる座標を基準として測量が行われています。よく知られているのは2人1組になってトータルステーション(TS)を使って行う測量方法です。
従来の人が地上で測量を行う方法は、時間とコストがかかるという課題がありました。さらに、険しい山奥や崖など、人が入るのが困難な場所もあります。
セスナなどを飛ばして航空写真測量を行う方法もありますが、高額なコストがかかるので手軽な手段とはいえません。
ここで注目されるようになったのがドローンを使った測量です。ドローンは小型で取り扱いがしやすく、安定した低空飛行で高解像度のデータを取得することができます。さらに人が入ることのできない場所でも安全に作業を行うことができるのもメリットです。
ドローン測量は人が地上で行う測量作業に比べると、作業時間が約10分の1、コストは約5分の1にまで削減することができるとされています。さらに三次元点群データが取得でき、後に3DCADで扱いやすいというメリットもあります。
ドローン測量は国土交通省が推進しているi-Constructionにも後押しされており、公共事業をはじめとする様々な現場で導入が進んでいます。
ドローン測量に必要なものは何?
ドローン測量に必要なものとして最初に挙げることができるのがドローン機体です。入門用ドローンとしてよく知られているのがDJIの「Phanton 4 Pro」ですが、最近は折りたたみができて全方向障害物検知がついた「Mavic 2 Pro」がおすすめです。
さらに高い精度が求められる場合は「Inspire 2」を使うことができますし、写真測量に特化した「Phantom 4 RTK」も注目の機体です。
ドローン機体を準備する際は、予備のバッテリーや保険への加入も忘れないようにしましょう。
ドローン測量はドローンを一定の速度や高度で飛行させるので、自動飛行させるためのアプリが必要になります。DJIが開発したiPad用アプリの「DJI GS Pro」やタブレットだけでなくPCやスマホで飛行ルートが設定できる「Litchi」などが有名です。
データ解析用のソフトも必要です。点群データから高精度で距離、面積、体積を算出したり3Dモデルを作成したりできる「Pix4D Mapper」は測量を目的に開発されたソフトです。
ドローンを使った様々なサービスを提供するテラドローンが出している「TERRA MAPPER」は国土交通省が推進するi-Constructionに即した仕様の日本製測量ソフトです。
他にも自動飛行からデータ解析までドローン測量に必要なことをまとめて行える「DroneDeploy」や、写真測量に応用できる「PhotoScan」などもよく知られています。
ドローン測量の基本的な流れ
ドローン測量は目的ごとに違った方法がありますが、ここでは基本的な流れを説明します。
ドローン測量の流れ1.飛行ルートの計画
測量に最適な飛行ルートの設定をします。現場に障害物がないか、通信状況は大丈夫かなども調査します。ドローン飛行に必要な許可申請や近隣の安全対策も行います。ドローンは天気の影響を受けやすいので、予定日に加えて予備日も決めておくことが大切です。
ドローン測量の流れ2.GCP(対空標識)の設置
トータルステーションやGNSS測量器を使って基準点測定を行い、GCPを現場に設置します。この作業は「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」に基づいて行います。前もって行っておくとドローン飛行当日の作業を短縮させることができます。
ドローン測量の流れ3.ドローンによる写真撮影
計画した飛行ルートに従って自動飛行で撮影を行います。写真は前後左右の写真と重なるように撮影しますが、ラップ率は縦方向80%以上、横方向60%以上が基準として決められています。
作業後は必ず撮影した写真の確認を行います。連続写真の抜けやピンボケ、ブレなどの不備があったら写真撮影のやり直しです。
ドローン測量の流れ4.写真の解析・出力
データ解析用ソフトを使って写真の解析を行い、三次元点群モデルを作成します。点群編集、三次元点群データファイルの作成、品質評価を行って成果等の整理をします。3D点群データは専用の3DCADソフトを使うと、図面作成や3Dの立体的な動画などの作成を行うことができます。
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