近年普及が進んでいるドローン測量を実施するには、どんなものが必要になるのでしょうか?今回は、ドローン測量に必要なものや手順について詳しく解説します。
ドローン測量のメリットとは?
ドローン測量とは、その名の通り、ドローンを飛行させて測量することです。ドローン測量には、光学カメラによる写真測量とレーザー測量がありますが、レーザー装置は非常に高額なため、今のところ普及が広く進んでいるのは写真測量となっています。
では、ドローン測量にはどんなメリットがあるのでしょうか?従来の地上測量と航空測量と比較しながら解説します。
地上測量との比較
ドローン測量は素早く広範囲にわたって計測できます。条件によって数字は異なりますが、2haの土地を地上からトータルステーションで測量した場合、平坦な場所で2,3日くらい、起伏が激しい地形では1週間くらいかかるところを、ドローン測量なら実飛行時間1時間くらい、準備と撤収を入れても半日くらいで終わらせることができます。
また、地上測量の場合は人が入れない場所や危険な場所での測量には困難が伴いますが、
ドローンなら空中から素早く安全に測量を行うことができます。
さらに、ドローンは上空から地表を光学カメラで撮影して画像データを取得し、そのデータをGPSと高度計からの情報と合わせることで3次元点群データを作り上げることができますので、3Dモデルや図形を容易に作成できます。
航空測量の比較
セスナなどの航空機を用いた測量と比べると、ドローン測量のコストは安いです。条件によって予算が大きく異なる場合もありますが、セスナでの測量で100万円くらいかかるところを、ドローンであれば十数万円の費用で実施できたりします。
またドローンは、セスナに比べて低空を飛行するため、高解像度の画像データを取得でき、密度の高い点群データを作成できます。これは精度の高い3Dモデルや図形を作成することにつながります。
ドローン測量に必要なもの
ドローン測量に必要なものをご紹介します。
まず、ドローン本体がなければ始まりません。レーザー測量を行うのであれば、レーザー装置を搭載している専用のドローンが必要です。写真測量の場合、カメラとGPS、高度計が付いているドローンが必要になります。高性能なカメラを搭載しており、安定して飛行でき、バッテリー持続時間が長いものがいいでしょう。
保険も必要なものの中に含まれます。飛行許可申請の際にも保険への加入は必須の条件となっています。
また、ドローンの飛行ルートを設定するためのアプリケーションやソフトウェア、点群データを加工・編集して3Dモデルや鳥瞰図を作るためのソフトフェアも必要なものに含まれます。
メモリーカードやケーブルなど、細かく言えば必要なものはほかにもありますが、大まかに言うと必要なものは上記の通りとなります。
ちなみに、基本測量や公共測量を実施するのは、国家資格である測量士や測量士補の保有者でなければなりません。また、営業所ごとに測量士を一人以上置くことが法律で義務づけられています。ですから、ドローン測量には資格も必要ということになります。
一方、ドローンを操縦すること自体に特定の資格や免許は不要です。ただし、JUIDAの「操縦技能証明」やDPAの「ドローン操縦士回転翼3級」、あるいはDJIの「DJIスペシャリスト」といった民間資格を取得しておくと、ドローンについての一定以上の知識や操縦技術を持っていることを客観的に証明することができます。
もし「ドローン測量士」として活躍したいのであれば、測量士や測量士補の資格を取得するとともに、ドローンスクールなどに通って民間資格を取得しておくのもおすすめです。
ドローン測量の手順
ドローン測量の一般的な手順は下記の通りです。
まず、当たり前のことですが、前の項目でご紹介したドローン測量に必要なものを準備します。
実際の作業の第一歩となるのは「踏査」と呼ばれる現地調査です。正確なデータを取得するために、現地を隅々まで確認しておくことが大切です。
踏査の後には、専用のソフトウェアやアプリケーションを使って、ドローンの高度やシャッタースピード、撮影間隔といった要素を加味し、飛行ルートを作成します。
その後、現地にGCP(Ground Control Point)という基準点を設置します。このGCPがないと、ドローンに搭載されたカメラの3次元位置を特定できないので、3次元点群データを取得できなくなってしまいます。
GCPを設置したらいよいよドローンによる空撮です。踏査後に作成した飛行ルートをドローンに設定し、自動飛行させます。ドローンが取得したデータを専用のソフトで加工することで、3Dモデル、鳥瞰図などを作成したり、距離の計測や盛土の体積算出をしたりできます。
今回は、ドローン測量に必要なものや測量の手順について見てきました。労力やコストの大きな削減につながるドローン測量の普及は、今後も進んでいくことでしょう。
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