土木・建設現場でおこなう測量で活用が広まっているドローンですが、これまでのドローン測量では、GCPの設置に時間がかかっていました。そのGCPとはどのようなものでしょうか？設置が必要だった理由と併せて新しい技術「RTK」について解説します。

ドローン測量のGCPとは？

これまでおこなってきたドローン測量では、精度を高めるためにGCPの設置が欠かせませんでした。

GCPとは、ドローン測量の際に地上に設置する基準点のことです。

GCPは、ドローンを飛行させる前に、あらかじめ地上に設置します。設置したGCPは、トータルステーションやGNSS測量機を用いて座標を観測します。

その後、ドローンを飛行させ空中撮影をおこないます。

空中撮影を終えたら、ドローンで取得した情報をもとに、点群データを作成します。この点群データを作成するときに必要となるのが、あらかじめ設置したGCPです。

作成した点群データにGCPを当てはめることにより、撮影時のドローンの傾きや写真同士の相互性を求めることができます。

GCPの情報を含めた点群データを使用し、専用のソフトで解析をおこなうことで、高精度な３次元モデルを作成することが可能になります。

ドローンでの測量で必要なGCPの設置方法

測量をおこなう範囲の地上に設置が必要となるGCPですが、設置の仕方によっては精度に差がでてしまいます。正確な情報を求めるためには、正しい設置方法を知っておかなければなりません。

まず、GCPはなるべく平らな場所を選んで設置します。

測量する範囲を囲むようにGCPを設置しますが、このとき、測量する範囲の外側への設置が正しいやり方です。

囲むように置いたGCPの内側にも、設置するGCPの数に合わせて均等に設置していきます。

GCPの設置数は、最低でも測量範囲を囲むように４点と中央に１点の設置が必要です。測量する範囲によっては、数十箇所の設置を必要とする場合もあります。

測量範囲に高低差がある場合は、一番高い場所と低い場所に１点以上設置することが望ましいです。

これまでのドローン測量で高い精度を保つためには、上記の方法でのGCP設置が必要でした。

ドローン測量でGCPが不要に！新しい技術「RTK」搭載ドローンとは

ドローン測量は従来おこなってきた地上測量と比べ、短時間でできるようになったとはいえ、GCPの設置には全体の３割ほどの時間を使っていました。

それでも、ドローンで測量をおこなうメリットは大きいため、土木・建設現場においてドローンの普及は進み定着しつつあります。ドローンが普及拡大する中で、ドローン自体の性能も進化し登場したのが、新しい技術の「RTK搭載ドローン」です。

RTK搭載ドローンの「RTK」とは、位置情報を電子基準点から受信するシステムです。これまでのGPSの衛星測位システムに加え、電子基準点からの位置情報を得られるため、正確な計測ができます。

従来のGPS搭載ドローンでGCPを設置して測量をおこなった場合の誤差が10㎝前後に対し、「RTK搭載ドローン」で測量をおこなうと、数㎝の誤差が生じる程度と、高い精度での測量が可能です。

現在、RTKが搭載されたドローンはDJIの「Matrice 200シリーズ」「Phantom4 RTK」があります。

「Phantom4 RTK」は同社の「D-RTK2 モバイルステーション」を使用することで、さらに測位精度を上げることが可能です。

「D-RTK2 モバイルステーション」とは、主要なGNSS（全球測位衛星システム）に対応する固定局で、衛星からの受信を良好にしてくれます。

固定局として測量現場に設置した「D-RTK2 モバイルステーション」は、同時に５台の送信機を接続できます。５台同時に接続した場合でも、「D-RTK2 モバイルステーション」の測位精度は落ちることなく使用できます。

そのため、同じ建設現場で複数のドローン飛行させる場合でも、「D-RTK2 モバイルステーション」の設置で、すべてのドローンの測位精度を上げることが可能です。

また、「Matrice 600」は、「D-RTK」というモジュールを搭載することで、GCP不要で高精度な測量が可能です。

まだまだRTK搭載ドローンは数少ない存在ですが、精度の高さから今後の需要が増えることが期待できるでしょう。

それと同時に、ドローンを活用した測量においても、さらなる市場拡大が見込まれます。