ドローン測量で使用する標定点とは?ドローン測量の流れを説明

更新日: 2021.11.19 公開日: 2020.02.17
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目次

ドローン測量で得られるデータ

始めにドローンで測量するとどんなデータが得られるのか確認しておきましょう。

ドローン測量ではこのようなデータが分かります。

・3次元点群データ

撮影時のドローンの高度情報やGPS、GLONASSなどの人工衛星から得られる位置情報などを組み合わせることで計測地点の位置データがわかります。これらの位置データを持つ点の群れを3次元点群データと言います。

3次元点群データがあるとA地点の高さやA地点からB地点までの距離、特定の範囲の体積等を算出したり、3Dモデルを作成したりすることが可能です。より多くの点群データがある方が精度が高く、なめらかな3Dモデルを作れます。

・オルソ画像

上空から写真を撮ると、建造物や高さのあるものは外に向かって傾いて写ります。傾きや歪みがあると形や距離の情報がずれてしまうため、複数の写真を組み合わせることですべて真上から見た状態になるよう補正します。この補正したオルソ画像だと、画像上でA地点からB地点の距離などを測ることが可能です。

 

ドローン測量に必要な標定点とは?

ドローンから撮影した写真をもとに正確な3次元点群データやオルソ画像を得るには、写真を撮る範囲内に標定点を設置することが必要です。

標定点とはあらかじめ正確な座標がわかっているポイントのことです。測量地点のデータを抽出する際の基準となります。標定点と測量したいポイントである検証点との座標の差から高低差、距離を算出し、精密な3Dモデルを作成します。

標定点の座標は、ドローンでの測量前に把握していなければいけません。従来の地上測量の方法で行なう必要があり、トータルステーションやGNSSローバーなどを利用します。

標定点の座標測量は、ドローン測量と同日でなくても問題ありません。事前に行なうことでドローン測量当日の作業を少なくすることも可能です。

 

標定点を利用したドローン測量の流れ

それでは標定点を利用したドローン測量の大まかな流れを見てみましょう。

・下準備

測量現場の下見を行ない、ドローン測量が可能かどうか事前に確認することがすすめられています。障害物や電波障によって、ドローンがうまく飛ばせないということもあるのでテスト飛行をしておくと良いでしょう。

・標定点の設置

標定点を設置する位置を決めます。上空からの写真でも、どこが標定点かわかるよう対空標識を置きましょう。

対空標識とは通常白黒の模様になっている標識で「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」には星形、丸形などいくつかのデザインが掲載されています。大きさの規定があり、辺長または円形の直径が15ピクセル以上で写る大きさにします。

データ解析する際、多くのソフトウェアでは「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」に掲載されている白黒の対空標識を自動認識して抽出することが可能です。事前に測定した標定点の座標データを流し込めば、測定値を手入力する手間が省けます。

必要な標定点の数や配置箇所は、抽出したいデータや測量内容によって異なり、「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」では目的に応じた必要数の計算方法が示されています。

・ドローンによる写真撮影

実際にドローンを使って上空からの写真を撮ります。前後左右が重なるように少しずつずらして撮影する必要があります。縦方向のラップ率は80%以上、横方向のラップ率は60%以上が基準です。飛行アプリでラップ率を自動計算してくれるものあります。

・データ解析と図面作成

撮影した写真をソフトウェアに取り込みデータ解析をします。

先にも述べた通り、対空標識の認識機能を利用すれば、すべて自動で行ってくれるので作業効率が上がります。

 

標定点の設置はドローン測量には不可欠?

ドローンを活用するとドローンの操縦とソフトウェアのデスクワークだけで測量が可能です。しかし下準備として標定点の座標を図らないといけないというアナログな面があります。

この手間を解消するために2017年以降標定点の設置が不要というドローンの開発が見られるようになりました。エンルートのQC730TSやDJIのPhantom 4 RTKは標定点不要の測量用ドローンとして活躍しています。

これは、飛行ルートを自動追尾し、シャッターを押した瞬間のドローンの位置情報から測定する仕組みです。

エンルートQC730TSは「TSトラッキングシステムUAS」を採用し、カメラに専用のプリズムを付けて自動追尾しながらカメラ位置情報を連続測定します。DJI Phantom 4 RTKはRTKモジュールを搭載し、センチメートルレベルの精密さのRTK測定の利用が可能です。

標定点不設置での測量は精度が心配されますが、このように高性能のドローン開発が進むことで標定点がなくても高精度の測量が可能になってきています。こういったドローンを活用することで標定点の設置の手間を省いたドローン測量ができ、さらに効率をあげることができるでしょう。

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