ドローン測量をする際は、カメラを適切な設定にして撮影しないと画像の精度が落ちてしまいます。今回は特に、シャッタースピードをどれくらいに設定するべきなのかについて詳しく解説します。また、絞り値(F値)やISO感度の設定についても併せてご説明します。
ドローン測量とは?
ドローン測量とは、その名の通り、ドローンを飛ばして上空から地表の連続撮影をすることによって行う測量のことです。上空を飛行しながら短時間で広範囲の測量ができので、地上測量よりも効率的に作業できます。
ドローン測量では現地に基準点(GCP)を置きます。これにより、ドローンに搭載されているカメラの3次元位置を特定できます。そして、専用のソフトを使って、カメラの位置情報と撮影した画像データを合わせることで、3Dモデルや断面図、鳥瞰図などを簡単に作成することができます。
このように、ドローン測量は搭載カメラの連続撮影によって行われますので、その精度は撮影した画像の質にかなり影響を受けます。このため、カメラを適切に設定して上手に撮影する必要があります。
ドローン測量の際にシャッタースピードはどれくらいにするべきか?
シャッタースピードとは、カメラのシャッターが開いて、レンズを通した光に撮像素子(イメージセンサー)がさらされる時間のことをいいます。この時間が短いほど「シャッタースピード」が速い、長いほど「シャッタースピードが遅い」ということになります。
シャッタースピードは速ければ速いほど写真がブレるリスクが少なくなりますが、光が入る時間が短いので暗い画像になってしまいます。逆に、シャッタースピードが遅ければ遅いほど写真がブレる可能性は高くなりますが、明るい画像を撮ることができます。
例えば、被写体が速いスピードで動いている場合や、撮影する人が乗り物などに乗っていて動いている場合、ブレが起きないようにシャッタースピードを速くするのが一般的です。夜景や星などの暗い中での撮影の場合は、速いシャッタースピードで撮影すると真っ暗な写真になってしまうため、数秒間シャッターを開きっぱなしにしたりします。
ドローン測量を行う時は、搭載しているカメラも当然ドローンと同じスピードで移動していますし、振動で揺れるということもどうしても起きてしまいます。このため、シャッタースピードが遅いと画像にブレが生じてしまい、正確な測量ができません。本体やレンズに手ブレ補正機能が搭載されているカメラもありますが、それでも完全にブレを防ぐことは難しいです。
ですから、ドローン測量の場合、明るい写真を撮ることよりもブレないようにすることを第一に考えて、シャッタースピードを1000分の1秒以下(できれば2000分の1)にするのがおすすめとなります。
ドローン測量の際のカメラのその他の設定
カメラの設定でシャッタースピード以外に重要となるのは、絞り値(F値)とISO感度です。これらの設定方法についてもここでご説明します。
絞り値
絞り値とは、レンズの焦点距離を有効口径で割った値のことです。簡単に言うと、レンズから光を取り込むための穴の大きさを表しています。絞り値が大きければ大きいほど、穴が小さくなり取り込める光の量も少なくなりますが、遠くまで全体にピントが合います。逆に、絞り値が小さければ小さいほど穴が大きくなり明るい写真になりますが、ピントが浅くなり、背景がボケます。
ドローン測量では全体にピントがしっかり合った画像を撮影するのが大切となります。ただし、絞り値を上げ過ぎると暗い画像になりますし、「光の回折現象」の影響を大きく受けて画質が落ちるということも言われています。このため、絞り値は「上げ過ぎず下げ過ぎず」という設定にするのが重要です。
具体的には、晴れの時(光量が多い時)でF5~7、曇りの時(光量が少ない時)でF4~5くらいに設定すると良いでしょう。
ISO感度
ISO感度は、レンズを通して入ってきた光をカメラの中でどのくらい増幅させるかを表す指標です。例えば、ISO400は光の感度がISO100の4倍であることを表し、光の量が4分の1の環境でも同じ明るさの写真になります。もしくは、シャッタースピードを4倍速くしても同じ明るさの画像を撮影できます。
このように、ISO感度を上げれば上げるほど明るい写真を撮れます。ただし、光を電気的に増幅させますので、その分画像のノイズが増えてしまいます。このため、精度の高い撮影が求められるドローン測量ではISO感度はなるべく抑えなければなりません。具体的に言うと、ISO100かISO200がベストです。
今回は、ドローン測量において最適なカメラのシャッタースピードや絞り値、ISO感度などについて見てきました。ぜひ、適切な設定をして、精度の高い測量をするようになさってください。
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