ドローン宅配がいよいよ現実のものとなりそうです。この記事では、日本国内で行われているドローン宅配の実証実験や、ドローン宅配がもたらしてくれるメリットについて解説していきます。ドローンを使った仕事に就きたい人も、どんな実験が行われているのかをチェックしておいた方が良いでしょう。
各地で行われているドローン宅配の実証実験
大きな話題になることは少ないのですが、日本各地でドローン宅配の実証実験が行われています。まずは、その一部を紹介します。
長野県伊那市
KDDI株式会社、株式会社ゼンリン、テラドローン株式会社など複数の企業が参画し、国土交通省が実施してきた伊那市の中山間地域におけるドローン宅配の実験を深化させるプロジェクト「空飛ぶデリバリーサービス構築事業」を開始しています。
大分県佐伯市
佐伯市では2018年3月、全国初となる「約10kgの商品」をドローンで山越え宅配する実験を行い、無事に成功させています。ドローンによる10kgの宅配が現実のものとなれば、宅配業界に大きな革命が起こるかもしれないとして期待されています。
千葉県千葉市
国家戦略特区でもある千葉市は、楽天をはじめとする複数の企業と国と協働でドローン宅配の実証実験を進めています。最も新しいところでは、2018年10月、数百メートル離れたマンションにドローン宅配した荷物を、地上で待機しているロボットに移し替え、目的の部屋まで届けるという実験に成功しています。
このように、官民一体となって実証実験が行われているだけでなく、日本郵便が独自にドローン宅配の実現に向けた目視外飛行などの実験を重ねるなど、2020年代のドローン宅配実現に向けたさまざまな実験が行われているということは、ぜひ知っておきたいところです。
ドローン宅配の実験から見えてくるメリットは?
実験段階のドローン宅配ですが、そうした実験によって、実用化されることでさまざまなメリットをもたらしてくれることが実証されています。
何と言っても大きいのは「買い物弱者」「買い物難民」と呼ばれる人たちを支援してくれる点です。高齢、病気、障害などが原因で買い物に不自由している人、離島や山間部など、近隣に買い物できる場所がなく困っている人も、ドローン宅配を利用することで容易に買い物ができるようになります。
また、配達員や配送員など、荷物を運ぶ側にも人件費削減、宅配の効率化、コスト削減など、さまざまなメリットをもたらしてくれるのではないかと期待されています。
ドローンを使った仕事に就きたいと思っている人も、ドローン宅配が普及することでオペレーターとして、監視員として、エンジニアとしてなど、色々な角度からドローンに関わることができるかもしれません。
ドローン宅配の実験から見えてくる課題とは?
一方、実験によって見えてくる課題もあります。
一度に宅配できる荷物の量、バッテリー問題、天候問題、セキュリティ問題、個人情報の取り扱い、監視員やオペレーターの育成・増員、マネジメントシステムの構築など、2020年代の実用化を目指すのであれば、早急に取り決めなければならない問題ばかりです。
実験が完了し、さまざまな企業がドローン宅配に参入してきた場合、空を縦横無尽にドローンが飛び交うことは事故などのリスクを高めます。
センサーを搭載していても、精度には限度があるため、航空機や船舶に航路があるように、自動車に車線があるように、ドローンにも専用の航路を設けなければならないのではないでしょうか。
ほかにも、過疎地に一人で暮らす高齢者が、これまで郵便局員が配達することによってコミュニケーションが取れていたものの、ドローン宅配ではそうした「人」との関わりを断たれてしまうのではないかと心配する声もあるようです。
とはいえ、実験によって多くのメリットをもたらしてくれることが明らかになったことは確かです。国には、実験から見えてきた課題を解消し、ドローン宅配の実現に向けて加速することを期待したいところです。
同時に私たちも、各地で行われているドローン宅配の実験に興味を持ち、動向をチェックしておきましょう。
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