ドローンの事故に関するニュースは、近年ますます耳にすることが多くなりました。それに伴い、航空法や電波法の改正も頻繁に行われるようになっています。今回は、「人口集中地区」でのドローンの飛行に焦点を当ててお話ししたいと思います。
ドローンを飛行させる際に知っておくべき航空法
ドローンを飛行させる際に、必ず知っておかなければならない「航空法」という法律があります。
これは、200g以上の重量を持つドローンを操縦させる際には必ず適応されるもので、この航空法を知らずに飛行させてしまうと、罰金50万円以下の刑罰の対象となってしまいます。
航空法にはいくつかの規則があるのですが、その中に以下のような「許可なしで飛行させてはいけない空域」というものがあります。
・空港の周辺(侵入表面等)の上空の空域
・150m以上の高さの空域
・人口集中地区の上空
これらの空域は、安全性を確保し許可を受けた場合でなければ、ドローンを飛行させてはいけません。
もちろん、上記以外にも「飛行時間帯は日中のみ」「目視範囲内で常時監視すること」「第三者や物件との間に30m以上の距離を保って飛行させる」など、航空法にはさまざまな決まりがあります。
航空法に定められているドローン飛行禁止の人口集中地区とは?
さて、先述したドローンの飛行禁止区域に「人口集中地区の上空」というものがあったかと思います。
このドローンを飛ばしてはいけない人口集中地区というのは、いったいどんな場所を指すのでしょうか。
総務省統計局では、以下のように定義づけています。
人口集中地区の設定に当たっては、国勢調査基本単位区及び基本単位区内に複数の調査区がある場合は調査区(以下「基本単位区等」という。)を基礎単位として、1)原則として人口密度が1平方キロメートル当たり4,000人以上の基本単位区等が市区町村の境域内で互いに隣接して、2)それらの隣接した地域の人口が国勢調査時に5,000人以上を有するこの地域を「人口集中地区」とした。
なお、人口集中地区は「都市的地域」を表す観点から、学校・研究所・神社・仏閣・運動場等の文教レクリエーション施設、工場・倉庫・事務所等の産業施設、官公庁・病院・療養所等の公共及び社会福祉施設のある基本単位区等で、それらの施設の面積を除いた残りの区域に人口が密集している基本単位区等又はそれらの施設の面積が2分の1以上占める基本単位区等が上記1)の基本単位区等に隣接している場合には、上記1)を構成する地域に含めた。(参考:総務省統計局HP http://www.stat.go.jp/data/chiri/1-1.htm)
上記の内容から読み取れる、ドローンを飛ばしてはいけない人口集中地区とは「ある一定の数値で人口密度が高い場所」のことです。
どの場所がドローン飛行禁止の人口集中地区にあたるのかという点について疑問に思う方も多いかと思いますが、総務省統計局が発行している下記の「地理院地図」というものから確認することができます。
地図の中で赤く色がついている場所がドローン飛行禁止の人口集中地区となります。この地理院地図を使えば、細かい地区がぎりぎりまで判別できたり、座標や標高までわかったりするため、大変便利です。
ドローン飛行禁止の人口集中地区は、都市開発などで随時範囲が拡がることがありますので、飛行の際には都度確認してみるようにしましょう。
人口集中地区での操縦をどうしても行いたい場合は?
人口集中地区でどうしてもドローンの操縦を行いたかったり、もしくは操縦を行う必要があったりする場合は、地方航空局への申請が必要となります。
しかしながら、誰でも申請をすれば承認されるというわけではなく、認可をもらうには次のような条件を満たしていなければなりません。
・一定の操縦技術を持っていること
「離発着」「ホバーリング」「水面飛行」「左右方向への飛行」「前後方向への飛行」「対面飛行」「飛行の組合」「八の字飛行」といった操作をGPS機能なしで操縦できる技術を持ち合わせていることが条件になります。
なぜ「GPS機能なし」なのかというと、GPS機能がついていない状態の飛行は安定しづらく、操縦が困難だからです。飛行中は、場所によってはGPSが切れてしまうことが多々あるため、そのようなケースに備えて操縦の難易度が高い状態での技術が必要となるのです。
・10時間以上の操縦練習経験があること
10時間の練習量と聞くと短いように感じますが、実際ドローンのバッテリーは1回の飛行につき10分~15分ほどしか持ちません。
バッテリーが2台あったとしても、1つのバッテリーの充電時間が2時間ほどかかるため、1日や2日で一気に10時間の練習経験を積むということは難しいのが現実です。飛行できる場所も限られているため、毎日練習したとしても、実際は20日~30日ほどの日数を要することになります。
なぜドローン規制があるのか本質を理解する
このように、人口集中地区での飛行禁止など、ドローンを飛行させるには厳しい規則や規制があります。
かなり細かい規制まであるため、「ただドローンを飛ばすだけなのに、どうしてこんな面倒な規則に従わないとならないんだ」と思うかもしれません。
しかし、「人に落ちてきてケガをした」「航空機に衝突した」というようなニュースは年々増えています。ドローンに関する規則は、ドローンを操縦する人のための規則でもあります。そのため、「いつ落ちてもおかしくないもの」という認識を常にもって、慎重に操縦することが重要となります。
この記事と一緒によく読まれている記事
-
ドローンショーの仕組みを解説!演出や操縦はどうやっている?
-
ドローンを使ったスマート農業を解説!農業用ドローンの主な用途とは?
-
ドローンの免許(国家資格)の取得には年齢制限がある?何歳から取得できる
-
水中ドローンの操縦に免許は必要?水中ドローンに関する資格を解説
-
ドローンの操縦に無線技士の資格は必要?必要なケースや資格の取得方法を解説!
-
ドローン測量管理士とは?新しく登場したドローン測量の資格を取得する方法を解説!
-
海でドローンを飛ばす際の規制や必要な許可申請は?海で飛ばす時のルールを解説
-
ドローン国家資格の取り方を解説!取るまでの手順や取得期間はどれぐらい?
-
ドローン国家資格の難易度は高い?試験の合格率や勉強時間はどれぐらい?
-
ドローンを使った橋梁点検とは?メリット・デメリットや橋梁点検で使用される新技術を解説!
-
ドローンの目視外飛行は飛行許可が必要?目視外飛行を行う条件や練習方法を解説!
-
100g未満のドローンを飛ばせる場所を解説!チェックすべき法律や飛行ルールは?