ドローンを使って行う農薬散布とは?
日本は高温多湿な気候のため、農作物に病害虫が発生しやすくなります。農作物を安定して生産させるには、農薬散布による病害中の防除作業がかかせません。
農薬散布では、除草作業や農作物の成長を促すための成長促進剤の散布も行われます。
従来の農薬散布はとても重労働な仕事で、農家の人の高齢化や人手不足が問題となっている現状の農産業では課題となっていました。
そんな課題点を克服できるとして、ドローンを使った農薬散布が注目されています。
ドローン農薬散布では、重労働な農薬散布の仕事をただ変わってくれるだけではありません。従来の農薬散布では、1ha30分ほどかかっていた作業もドローン使うと10分ほどの早さで散布が可能です。
時間が短縮されることで、人件費の削減にもつながります。
農薬散布をはじめ農業でドローンを使った仕事の需要は高まる傾向に
ドローンでの農薬散布はさまざまなメリットをもたらしてくれますが、昨今は農薬散布だけでなく、農業分野全体でドローンの活用がすすんでいます。
そのひとつとして、従来ほかの方法で行われてきた農業の仕事も、ドローンで効率的に行えるようにと2019年3月に「農業用ドローンの普及計画」が制定されました。
普及計画では下記の分野でドローンの普及が期待されています。
・農薬散布
従来は人が手動で行っていた農薬散布ですが、近年は無人ヘリコプターを使うことも多くなっていました。しかし、無人ヘリコプターは、機体が大きく重量があり扱いにくく、そのうえ高価です。業者に頼む場合にも、地域によっては農薬を散布する時期が同じくらいであるため、希望する日に散布ができないというデメリットがありました。
一方ドローンは無人ヘリコプターにくらべ、小型で持ち運びしやすく廉価です。ドローンで散布できる農薬も増えつつあるので、さらに普及が期待されています。
・肥料散布
肥料をほ場全体に散布する作業ですが、ドローンを使うことで精密な散布ができると言われています。また、中山間地域などの作業が大変な場所でも、ドローンを使うことでよりスムーズに作業を行えるようになるでしょう。
・播種
無人ヘリコプターでの散播が行われていますが、ドローンで行うことで農薬散布と同様に、無人ヘリコプターで行う場合の課題克服と、労働力の軽減や経費削減への期待ができます。
・受粉
りんごやなしなどは、安定した生産のためには大変な時間と、労働力のいる作業がかかせません。現在、上空から散布できる方法が研究されており、ドローンでの散布ができるようになると、効率的な作業が行えるようになるでしょう。
・農産物等運搬
収穫した農産物の運搬も重労働な作業になるため、高齢化が問題となっている農産業では、運搬をしてくれる作業者を置く必要があり課題となっていました。
ドローンで運搬ができれば、作業者を置く必要がなくなり人件費削減ができます。
・ほ場セイシング
ほ場セイシングは、これまで人工衛星からの画像をもとに行われていました。ドローンを使うことで容易にできるようになるほか、これまで目視で行ってきた見回りや生育状況の確認に必要だった時間も短縮することができ、品質や収穫量の向上に期待できます。
・鳥獣被害対策
赤外線カメラを搭載したドローンに、ほ場の見回りをしてもらうことで、鳥獣の生息実態を把握でき、事前に対策をとることができます。負担軽減や捕獲までにかかる作業の効率化へとつながります。
この7つの分野は2022年度までの実装を目指しています。
農薬散布など農業分野でドローンを使った仕事をするためには
今後、農業分野での普及が大いに期待できるドローンです。仕事として活用するためには、ドローンの知識はもちろん高度な技術が必要となってきます。
現在ドローンを飛行させるにあたり特別な資格は必要ありませんが、正しい知識を得るためにも、ドローンスクールなどに通うことがおすすめです。
また、産業用の大型ドローン(周波数5.7GHz)では資格が必要です。国家資格の「第3級陸上特殊無線技士」を取得すると大型のドローンが操縦できるので、仕事内容によっては有利になるでしょう。
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