ビジネスを考えている方、趣味で楽しみたい方など、ドローンの利用方法は人それぞれですが、共通して言えることは「安全航空」を最優先するということです。ここでは事前にチェックすること、現場でチェックすることなど、ドローンの基礎知識をまとめています。
その1:チェックは飛行の前日から始まる
ドローンの基礎知識として、飛行前日のチェックは基本中の基本ですので必ず行うようにしてください。見た目では異常がないように見えても、ゆがみなどを見逃してしまう可能性がありますので、直接触れて確認するようにしましょう。
フレームのゆがみ、破損の確認
墜落や衝突などを起こしていないドローンでも、持ち運びや保管の際に意図せずゆがみや破損を招いてしまっている可能性がありますので、直接触って確認します。
プロペラの確認
破損やヒビは安全航空に悪影響を及ぼしますので、新品に交換するのは当然なのですが、表面に経年劣化が見られる場合も早めの交換を心がけましょう。
モーターの確認
プロペラを装着したら手で回転させます。この時、スムーズに回転すれば問題ありませんが、少しでも「引っかかる」ようであればモーター内に異物が混入している可能性があります。その場合は専門業者へ修理を依頼しましょう。
バッテリーの確認
バッテリー残量は必ず確認しておきましょう。また外傷や凹みなどがあると正常に機能してくれない可能性がありますので併せて確認しておきましょう。
これらの前日チェックは、ドローンの基礎知識として必ず覚えておいてください。
その2:ドローンの大敵、気象情報は特に入念に
ドローンの基礎知識として重要なのは天候への気遣いです。
ドローンは気象状況に大きな影響を受けますので、天候はもちろん、気温、風速、降水確率などを細かく確認しておく必要があります。場合によっては「飛ばさない」という決断も必要です。
降水確率の確認
全天候型のドローンも発売されていますが、そうは言っても精密機器ですので当然雨には弱いため、降水確率は忘れずに確認しましょう。また、地形などによっては天気の急変による降雨も考えられますので注意しておきましょう。
風速の確認
一般に、ドローンは風速が5メートルを超えたら飛ばさない方が良いと言われています。思わぬ事故などを招いてしまいかねませんので、風速も忘れずに確認しておくと同時に、当日も簡易的な風速計を持参して常に気にするようにしましょう。
気温の確認
ドローンに使われるバッテリーは特に冬の外気温が下がる時期にバッテリーの温度が10℃を下回ると突然パワーを失ってしまうことがあります。バッテリーヒーターで事前に温めたり、カイロを使って飛ばす直前まで温めたりするなどして、バッテリーの温度を下げないように心がけましょう。
UAV Forecast
こちらは、地名を入れて検索するだけで日時ごとの気温・風速・降水確率や、飛行に適した天候かどうかの指標を確認できるサイトです。
Windy
地図上に高度別・時間別の風の流れ、雲の動き、気温、降水状況などを表示してくれるサイトです。
上記の通り、天候についてのチェックはドローンの基礎知識として外せないポイントですので、よく覚えておいてください。
その3:飛ばしたい気持ちを押さえてまずは現場周辺をチェック
現場に到着したら飛行ルートを確認するのですが、その時必ず飛行プランに則って確認しておかなければならないポイントがあります。これは、ドローンを飛ばす基礎知識としても重要な点です。
電線・ワイヤー・木の枝などの確認
電線やワイヤー、木の枝などはその太さや長さ、形状次第では視界に入らないものもあります。飛行ルート上にこれらの障害物が存在しないか、事前に入念に確認する癖をつけておきましょう。
電波干渉の有無を確認
鉄塔や鉄橋といった大きな金属の塊や建造物などがある場合、電波干渉が起こりやすくなり、プロポとドローンの信号が途切れて操縦不能となってしまう可能性があります。また携帯電話の基地局などでも電波干渉が懸念されますので周辺環境を確認しましょう。
その4:飛行前の最終チェックも怠ってはならない
ドローンの基礎知識として、前日のチェック、気象情報のチェック、現場周辺のチェックについてみてきましたが、まだ十分ではありません。いよいよ「電源をオンにする」タイミングになっても、まだすぐに飛行業務を始めてはいけません。飛行直前のチェックも入念に行いましょう。
キャリブレーションを行う
ドローンのコンパスが正常でない場合に行う再調整作業をキャリブレーションと言います。機体を水平方向・垂直方向に回転させることで校正します。最初の飛行前だけでなく、場所を変えた時も忘れずに行うようにしましょう。
モニターの各種情報の確認
バッテリー残量、コントローラーの信号、GPS受信強度、コンパスが正常にキャリブレーションされているか、情報がモニターに正しく表示されているかどうかを確認します。異常があれば飛行させずに原因を確認しましょう。
一通りの操作に異常がないかの確認
3~5メートルほど上昇させたら、下降、再上昇、右旋回、左旋回、前後左右など基本的な操作が問題なく行えるかを確認します。バッテリーの消耗を気にするあまり短時間で済ませてしまうのは避け、少なくとも2~3分は行うようにしましょう。
その5:安全を最優先させることを忘れない
上記のすべてのチェックが完了して初めて飛行業務に入ることができるのですが、ドローンの基礎知識としてもっとも重要なオペレーターの心得である「安全第一」を、決して忘れないでください。
2人以上の体制で運航する
ドローンの操作、カメラの操作、被写体の確認、周囲の安全確認、映像の確認、クライアントとのコミュニケーションなど、とてもではありませんが1人で同時にこなせる作業ではありません。オペレーターと補助者、少なくとも2人以上の体制で運航することは基本です。
目視が基本、モニターはあくまで補助
当然ですが、カメラの視野角は目視をした場合よりも極端に狭くなります。カメラの映像だけに頼った飛行は事故を招く原因にもなりますので、必ず目視を基本とし、周囲の状況も注視しながら安全第一を徹底しましょう。
「飛行を中止する」勇気も必要
日頃から入念に準備をしたおかげで飛行業務に入るまで何一つ異常がなかったとしても、飛行場所の環境や気象条件、その他の条件などによって不測の事態が発生する可能性は排除できません。安全に飛行業務を遂行するために、「少しでも不具合を感じたら飛行を中止する」という決断を下す勇気を持つことも必要です。
安全に飛行させることこそがオペレーターの最大の使命
ドローンの基礎知識についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。ドローンは一歩間違えば大きな事故や怪我などに繋がってしまう可能性があります。
今回ご紹介したチェック項目はほんの一例ですが、何よりも「安全第一」を肝に銘じ、日頃から入念なチェックを行うと同時に、前日・当日のチェックを忘れないようにしましょう。
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