今や家電量販店で個人でも購入することができ、空撮でダイナミックな写真を撮れたり、空を自由に操縦して飛ばすことができたりと人気急上昇中のドローンですが、元々は軍事用戦闘機として開発されたという歴史を持っています。
現在も、海外では実際に戦争で軍事使用されているドローンですが、なぜかそのパイロットが大変不足しているというのです。この記事では、ドローンの軍事利用の裏に隠された驚くべき真実を皆さんにお伝えしていきます。
ドローン軍事パイロットの現状とは
アメリカ軍は、ドローンを軍事用戦闘機として対シリア・イラク攻撃で実際に使用しています。
現在、ドローンといえば無人航空機として日本でも大きな人気を誇る機器ですが、「ドローンのパイロットになれたらなんてカッコイイだろう」と、ドローンパイロットを本職に夢見る人は星の数ほどいるのではないでしょうか。
しかし、アメリカではドローンを軍事用として遠隔操縦するパイロットが不足しているのが現状なのです。アメリカ空軍は年間約180人のドローン軍事パイロットを訓練しているのですが、その数を超える年間230人がドローン軍事パイロットを退いています。
これに焦燥感を覚えたアメリカ軍は、5年間ドローン軍事パイロットを継続すれば約1,500万円の特別手当金を支給するとしましたが、果たして今後も人は集まるのでしょうか。
ドローン軍事パイロットの人気がない理由
アメリカ軍はイラクやシリア、アフガニスタンといった対戦争国への偵察や、地上に向けた攻撃を目的とした軍事ドローンを飛行させています。
代表的な戦闘用ドローンとしては、MQ-9「リーパー」や、全長8.2mの赤外線カメラ・地上爆撃用ミサイル搭載のRQ-1「プレデター」などが挙げられるでしょう。
これらは飛行ルートが事前にプログラムされており、自動飛行ののち特定対象物を発見すれば、瞬時に衛星を通した遠隔操縦に切り替わります。その瞬間から、アメリカの安全な基地に身を置く兵士、つまりドローン軍事パイロットが戦闘用ドローンを操縦していくことになるのです。
簡単で、お金ももらえて、しかも兵士というこの上ない好待遇ですが、ドローン軍事パイロットは先述したように現在あまり人気がなく、特別手当金を付けなければいけないほど人手が足りていない状況となっていますが、なぜなのでしょうか。
その原因は、以下の2つあると考えられています。
▽精神的苦痛
1つは精神的ストレスが考えられており、快適で安全な場所で、ただひたすらほぼ毎日約12時間も複数のスクリーンを見続けること、スクリーン上で敵を発見したら即殺害するという非現実的な状況が、精神的にパイロットを追い詰めるとされています。
つまり、日常と戦場のオンオフの切り替わりがあまりにも無さすぎて、自分で自分が分からなくなってしまうパイロットが多いのです。
戦場に行けば殺される前に殺さなければいけないというのが暗黙の了解ですが、ドローンを使った殺人は、安全な場所で一方的に行うために「殺してしまうのは仕方ない」という自己肯定が出来なくなります。
それ故にある意味、デスクワークで人を殺害することができてしまうその異常さに追いついていけなくなってしまうパイロットが続出していることが、ドローン軍事パイロットという職業の人気がない理由と考えられています。
▽空軍兵士としてのプライド
2つ目の理由としては、軍事パイロットとしてのプライドにあります。
兵士として、空軍として、こんな戦い方で自分は良いのか?という葛藤に苛まれる上に、戦闘機搭乗パイロットからは見下されることも多く、苦痛に値する評価を得られない場合が多いといいます。
結局、国はあまりの人手不足に空軍航空学校の一部卒業生をドローン軍事パイロットとして配属することを決定しましたが、使命感を持って戦闘機に搭乗するパイロットになるために空軍航空学校へ入ったのに、自分では空を飛ばないドローン軍事パイロットになりたいという学生は存在するのかという疑問もあります。
軍事用ドローンの今後とは
このように、パイロットにとっては大変葛藤の多い軍事用ドローンですが、今後も需要はさらに拡大していくと考えられています。イラクやシリアといった紛争地域に加えて、北朝鮮や中国といったアジア方面での活用案も出ており、情報収集や偵察、監視における需要が高まっているのが現状なのです。
アメリカ軍は今後4年間で軍事用ドローンを約1.5倍に増やすことを発表していますが、ドローン軍事用パイロットの獲得は果たして追いつくのでしょうか。
ドローンは感動的な映像が撮影できることで様々なビジネスに活用されていますが、海外ではこのように戦争に活用されているのも事実です。
ドローン軍事パイロットを退職したあとはPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされる人も多く、心のケアが必要とされています。
最重要課題はドローン軍事用パイロットたちのメンタルケア体制の確立でしょう。 そしてなにより、一刻も早く平和な世界情勢になることを願うばかりです。
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