今や空撮だけでなく、物流や監視、在庫管理など、さまざまな分野でドローンが活用され、実用化が進められています。世界市場規模も1兆円を超えるまでに拡大し、大手企業もこぞってドローンビジネスに参入するなど、未来のありそうな分野といえます。
とはいえ、実際に個人や団体で起業するうえで、ドローン市場にビジネスチャンスはあるのでしょうか?本記事では、ドローン市場の動向からみた「ドローンビジネスのチャンスのありそうな分野」と「なさそうな分野」を紹介していきます。
ドローン市場の6割は軍事需要
ドローンは世界市場規模1兆2,410億円の成長産業ですが、そのシェアの6割程度は軍事需要です。
引用:矢野経済研究所
これには、軍用ドローンの1機あたりのコストがホビー・産業用とは比べ物にならないという背景もありますが、少なくともこの数字をそのまま鵜呑みにして「ドローンはビジネスチャンスの宝庫だ」と確信するのは危険といえるでしょう。
とはいえ、現在さまざまな分野でドローンをビジネスに活用する動きは確かに高まっており、将来的に民間サービスにおけるドローン利用のシェア・雇用は増えていくと思われます。
具体的には、以下のような産業です。
実用化がすすむ「農業」「測量」「点検」の3つの分野
「農業」「測量」「点検」は、今もっともドローンの需要が高まっている分野です。農業は、すでに無人ヘリコプターが普及していることもあり、低コスト・小型・高性能なドローンで代替できるとなれば、今後ドローンが普及していくのではないでしょうか。
ドローンのビジネスチャンスを狙って農業分野に参入するなら、知識を得たうえで農家とコネクションを持ち、農薬散布や地質・害虫調査、作物の生育管理などをドローンで代行するなどが考えられますね。
「測量技術」「点検」は、関連会社の求人も多い分野です。ドローン操縦士がもっとも求められている産業といってもよいでしょう。まずはパイロットとして就職し、知識が身についたら独立して起業というルートを辿り、実際にフリーのドローン操縦士に転身した方もいます。
このほかにもさまざまな分野がありますが、現在のドローン市場で現実性がある(ドローンビジネスのチャンスが多少なりともある)のはこの3つでしょうか。また、将来的には、自動操縦は法律上の問題もクリアすれば普及しますので、それに適応していく必要はありそうです。
それでは、ドローンのもっともポピュラーな使いみちの「空撮」分野はビジネスとしてどうなのか?という点を解説していきましょう。
「空撮」分野でのドローンビジネスのチャンスは期待できない
ドローンを使ったビジネスで多くの方にとって気になるのは、おそらく空撮ビジネスではないでしょうか。
しかし、現在の日本で「空撮」によるドローンのビジネスチャンスはあまり期待できません。現時点ですでに「空撮」を専門とする業者は多数存在しますから、あまり多くないシェアの中でどう立ち回っていくかを工夫する必要があるためです。
実際、ドローン産業のメインストリームは、先に述べたとおり農業や測量といった、もっと実務に寄ったところです。空撮による空からの映像のニーズは限定的であるため、楽に稼げる分野ではないことがわかるかと思います。
ドローンの規制・許可に関するさまざまな知識が必要
さらに、もうひとつ空撮ビジネスを始める上では「規制」という障害があります。たとえば、公立小学校の紹介PVをドローンで撮る場合、国土交通省に対し、
・敷地内への侵入
・第三者(生徒・教師)の頭上飛行
の飛行許可を得なくてはなりません。世間的にはドローンに対し良い印象を抱いていない人が大半ですから、近隣住民に「ドローンを飛ばす」ことをきちんと説明する必要もあります。
さらに、2017年11月に岐阜県で行われた「ドローン菓子撒き」イベント中に、ドローンがバランスを崩して墜落、観客がケガをする事故が起こったように、墜落による事故の危険もあります。
そのため、操縦スキルを磨いたうえで細心の注意を払う必要があります。もちろん、映像美を売るからには撮影技術も必須となります。
このように、空撮をビジネスにする場合は、手続きに関する知識や航空法を正しく理解し、操縦技術・撮影技術どちらも磨いておかないと、仕事としては成り立ちません。
とはいえ、これらを乗り越えてフリーのドローンカメラマンとして活躍している方も多数いますから、不可能ではありません。以下のようなマッチングサイトを見ながら、どのようなパイロットが居るのか探してみるのもよいでしょう。
・ドローンマスター(https://dronemaster.jp)
・ドローンマーケット(https://www.dronemarket.jp)
まとめ:ビジネスチャンスは「ドローンで代替可能な分野」にあり?
農業・測量・公共インフラの点検は、今まで人力あるいは高価な機器で行われていた分野です。低コストで小型・高性能なドローンが参入する余地は大いにあるとみてよいでしょう。ドローンと何かをかけ合わせたビジネス、という面ではもっともチャンスが転がっている産業です。
逆に、空撮分野は競争率が激しいため、ただ起業しただけでは鳴かず飛ばずで終わってしまう可能性が高いです。空撮映像にどのような付加価値を付けて提供できるかを示せば、ドローン空撮のビジネスチャンスは広がるかもしれません。
とはいえ、近年ではドローン操縦士やエンジニアなどの需要が大いに高まっています。拡大する市場規模に期待しつつ、参入への道を探ってみましょう。
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