ドローンによる農薬散布の求人状況や今後の需要について徹底解説

更新日: 2021.11.22 公開日: 2020.02.22
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農薬散布のためのドローン操縦士の求人状況

農林水産省が推進するスマート農業により、農業用ドローンの導入を検討する農家が増えています。

農業用ドローンにより種まき、作物のチェック、害獣駆除、そして農薬散布等も行うことができます。

そこで気になるのが農薬散布のためのドローン操縦士の求人情報についてです。

2016年10月に行われたドローン操縦士協会(DPA)のイベントでは、これからドローン操縦士が14万人必要になると紹介されました。

農業(農薬散布、スマート農業)では24,000人のドローン操縦士が必要になると言われ、これからドローン操縦士の求人が増えるのではないかと心を弾ませた人もいたことでしょう。

とはいえ農薬散布のドローン操縦士を求人サイトで探そうとすると、求人数はそれほど多くないことが分かります。

一例として、農家が人材募集をしていて、業務内容にドローンによる農薬散布を記載している場合があります。この場合はドローンの操縦に専念するのではなく、農作業全般が任されることが分かります。

農業散布を依頼したい農家とドローンパイロットのマッチングサイトも見つけることができました。

ドローン操縦士としてサイトに登録していると、農薬散布などの依頼を受けることができます。データの納品や報告書はサイトで指定された通りに行い、金銭のやり取りも仲介してもらうことができます。

 

ドローンで農薬散布を行うために資格はいるのか

農薬散布をするドローン操縦士は特別な免許や資格を必要としません。つまりドローンの操縦が上手にできれば誰でも作業することが可能だということになります。

とはいえ、マッチングサイトを利用する場合は特に、農薬散布用の講習受講や資格取得をしていると依頼者からの信頼を得ることができますし、飛行の申請には一定の技能や飛行経歴が必要なので、民間団体で講習を受けることが勧められています

ドローンを使った農薬散布の申請に関しては、2019年7月に「空中散布等における無人航空機利用技術指導指針」が廃止されたので、農林水産航空協会による認定や申請の仕組みも廃止されました。

しかしドローンによる農薬散布は「危険物輸送」と「物件投下」に該当するので、国土交通大臣の承認を得るために事前に申請する必要があります。

飛行承認の申請は飛行予定場所を管轄する航空事務所か地方航空局で行い、申請書、機体と操縦者、体制について安全確保のための基準に適合していることを示す書類や資料を提出します。

「空中散布ガイドライン」を確認して、安全な散布計画を立てる必要があります。

事故発生の際は、ドローン機体の事故や紛失の場合は地方航空局、農薬の流出やドリフトの場合は都道府県の農薬指導部局に報告します。

ドローン操縦士として特別な免許や資格は必要ありませんが、関係する法律(航空法、農薬取締法)を熟知して安全に作業が行えるようにする必要があることが分かります。

 

ドローンによる農薬散布のメリットと今後の需要について

温暖で雨量が多く多湿な日本は病害虫が発生しやすい環境であるため、農薬散布は必要不可欠な作業です。

農業従事者の高齢化、人材不足などを考えると、農薬散布にドローンを活用することには大きなメリットがあります。

農薬散布用ドローンとして代表的なものに、DJI社が開発した「AGRAS MG-1S」があります。

重量は9.5㎏、折りたたみ可能でコンパクトな農薬散布用のドローンで、10分のフライトで1ヘクタールに10リットルの農薬を散布することが可能です。

人力だと1時間以上かかる作業が、ドローンを利用すると10分に短縮できるのは画期的なことだと言えます。

コストの面でも従来の無人ヘリコプターに比べると農薬散布ドローンにメリットがあります。

無人ヘリコプターを使用する際の初期投資は1千万円と言われていますが、農薬散布ドローンは100万円を切るものもあり、購入すれば後は農薬代がかかるだけです。

稲作を中心に、日本の農家では毎年100万ヘクタールの空中散布を実施しています。

コンパクトで持ち運びに便利なドローンは、無人ヘリコプターでは困難な狭いエリアでの農薬散布も可能で、操縦も簡単なことから、今後さらに需要が増えていく可能性があります。

スマート農業が推し進められていることも考えると、これから農薬散布のためのドローン操縦士の求人情報が増えていくかもしれませんね。

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