ドローンは手軽で便利なツールである反面、一歩間違えれば凶器と化し、人や物への接触など重大な事故を招いてしまう可能性があります。実際に起こった事例と併せてドローンの事故を防ぐ方法を解説します。
避けなければならないのが接触事故
地面や水面に墜落してしまい壊れてしまったという場合はまだしも、最も避けなければならないのは人や物へのドローンの接触事故です。
日本国内で起こったドローンにおける人身事故の事例をご紹介します。
2014年11月31日
湘南国際マラソンにおいて空撮中のドローンが墜落して関係者1名が負傷した事故があり、原因はバッテリー不足だったのではないかと考えられています。
2017年2月18日
神奈川県藤沢市の工事現場で空撮中のドローンが男性作業員に衝突し、顔を数針縫う大けがを負いました。こちらの原因は飛行中に発生した電波障害に起因するものと言われています。
死亡例がないこと、それほど多くの人身事故が起こっていないことは救いですが、今後ドローンユーザーが増えるにつれてこうした人身事故は増加していくものと思われます。
そのほか一般社団法人ドローンビジネスサポート協会のサイトでは、様々なドローンの事故事例が掲載されていますので、ぜひ一度ご覧ください。
怖いのはコントロールアウトによる落下
・初心者の練習
・強風の中飛ばさなければならない
・変電所などの近くで飛ばさなければならない
・人が集まるイベントや学校などの近くで飛ばさなければならない
などといった場合、バランスを失ってコントロールミスをおかし、人や物へ接触してしまう可能性が高くなりますが、機体を目視している操縦者は落下位置をある程度予測して避けることができる可能性があります。
当然それらも危険ではありますが、それよりもコントロールアウトによる墜落、接触の方が大惨事を招くリスクが高くなりますので、より注意・対策が必要です。
意図せず無警戒の人にドローンが衝突してしまうことほど危険なことはありません。
では、こういったドローンの事故を防ぐにはどのような対策があるのでしょうか?
ドローンの事故を防ぐための対策
まず一つ目は「パラシュートコード」です。パラコードとも呼ばれていますが、その名の通りパラシュートにも使われる頑丈なコード(ロープ)です。
通常のロープのような伸縮性がないものを使ってしまうと、引っ張るなどした場合ダイレクトにそのショックが機体に伝わってしまい、逆に機体のバランスを失ったり、故障などに繋がったりしてしまいます。
パラコードは伸縮性があるため機体へのショックも少なく、そういったリスクを低減できますし、飛行範囲を強制的に制御できますので飛び去りや暴走などのリスクも低減できます。
しかし、コードを利用することによって機体のバランスを崩したり、地上で絡まったりする可能性もありますので、操縦者とは別にコードをコントロールする人がいる場合などに利用すると良いでしょう。
続いてはバッテリーアラームです。
2014年のドローン事故ではバッテリー不足が原因だったのではないかとお伝えしましたが、実はドローンの墜落事故においてかなりの割合を占めるのがバッテリー不足と言われています。
機体のバッテリーに関しては多くのドローンが何かしらの形で警告を発してくれるようになっていますが、プロポのバッテリー不足も忘れてはいけません。
プロポ側にバッテリーアラームが搭載されている場合は正しく作動するかを確認し、設定が必要であれば設定しておきましょう。
また、フェイルセーフという機能もあります。
機体バッテリーの残量が低下したり、機体またはプロポの通信を失ったり、GPSが未受信などの異常を検知したり、指定区域外に飛び出したり、といった場合に上空待機あるいは自動帰還することで事故を防ぐという機能です。
なお、自動帰還とはゴーホーム(Go-Home)やRTL(Return to Launch)などと呼ばれますが、スイッチ操作または上記のフェイルセーフ機能によって離陸地点に自動で戻ってくるというものです。
GPSによって帰還が可能となりますので、GPSアンテナに異常が発生していたり、障害物や電波干渉などによって正常に受信できなかったりすると機能してくれない可能性が高くなります。
また、離陸時に機体が現在位置を認識しないまま飛行させてしまうと暴走に繋がる可能性がありますので、電源を入れた後に機体の現在位置を認識してから飛行させる必要があります。
安全を最優先
ドローン人身事故の事例と併せて、事故を防ぐ方法を解説してきました。
しかしこれらは万能ではありません。
どういった条件下で飛行させるのか、操縦者の知識や技術レベルはどの程度か、飛行履歴はどれくらいあるかなど様々な要因によって、何が最適な方法かを判断しなければならないのです。
今回ご紹介したドローン事故防止策を過信せず、危険を伴う飛行は避けることはもちろん、飛行前、飛行中に少しでも不安や危険を感じたら思い切って飛行を中止させる決断力も必要になってきます。
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