ドローンでの農薬散布導入にはどれくらいの費用がかかるのか

更新日: 2021.11.22 公開日: 2020.01.04
img

ドローンの産業活用として活躍している分野の1つが「農業」です。特にドローンによる農薬散布は、農業の課題やデメリットをカバーするものとして注目されています。

しかし導入費用がかかるため、農薬散布用ドローンの導入を足踏みしている農家が多いのも事実です。

実際ドローンによる農薬散布を導入するためにはどれくらいの費用を考えておくと良いのでしょうか。農薬散布用ドローンの導入を検討する材料として、費用の相場とメリットを比較してみましょう。

目次

ドローンによる農薬散布のメリットは費用の削減

ドローンによる農薬散布には様々なメリットがあります。まず、広い範囲の農薬散布を短時間で行うことができます。機体によって異なりますが、10haを10分ほどで完了することが可能です。

無人ヘリと比べて小型なので、狭い敷地や高低差がある場所でも小回りが利き、一人でも持ち運べるという利点もあります。

これらのメリットは作業の効率化だけでなくコストの削減にもつながります。

短時間、少人数で農薬散布ができれば、その分農薬散布に割く人件費が削減できます。その費用を他の作業に回すことで生産性を上げることも可能です。

また農薬散布の外注費用は年間数十万円かかることが一般的です。年間の散布回数や、散布範囲が多くなるほど、外注費用はかさみ年間100万円近くになることもあります。

農薬散布用ドローンを購入してしまえば、外注費用の削減ができ、導入コストも3年から5年ほどで回収できます。

ドローンによる農薬散布のメリットや将来的に外注費用よりも安くなることを考えれば、導入費用をかけて農薬散布用ドローンを購入することには価値があるといえるでしょう。

 

農薬散布用ドローンの機体と費用の相場

ドローンによる農薬散布の導入にかかる費用で大きく占めるものは、機体購入費です。相場として100万円から300万円を見ておくと良いでしょう。

代表的な機種を価格にはこのようなものがあります。

・マゼックス社「飛助DX」 約92万円

・エンルート「AC1500」 220万円から250万円

・ヤマハ「YMR-08」 255万円

・ナイルワークス社「自動飛行型農薬散布マルチコプター」 約350万円

価格の差は、積載量の大きさや自動航行などの性能の違いです。

例えば最大積載量やバッテリー容量が大きいと、一度の飛行で広範囲の農薬散布ができます。雨天時も作業できるもの、液体、粒剤両タイプの農薬が使用できるものなど機種によって特徴が異なります。

作業の効率化のためなので、安価なものを選ぶのではなく、作物の特徴や散布範囲に合った性能がついているがどうかを検討しましょう。

 

ドローンの農薬散布導入にかかるその他の費用

機体価格以外にドローンによる農薬散布導入にかかる費用の内訳には、以下のものがあげられます。

・任意保険

無人ヘリと比べて安価とはいえ、農薬散布用ドローンは100万円以上するものです。また農薬を積んで重量が重いと墜落リスクも大きくなります。

体破損や接触事故を考え、機体保険、人身対物保険など任意保険に加入しておくと良いでしょう。

プランにもよりますが、安いものなら16,000円ほどで入れます。

・ドローンスクール費

ドローン操縦の技術を学ぶのであれば、ドローンスクール費用がかかります。費用は10万から30万円くらいが一般的です。ドローン操縦の経験がないのであれば、安全に農薬散布を行うためにきちんと学んでおくと良いでしょう。

農薬散布のための講習を設けているドローンスクールもありますし、資格取得ができる講習だと、飛行禁止エリアでの飛行許可申請時に資格を活用できます。

これらの費用をかけてドローンによる農薬散布を導入するまで思い切れないという方は、ドローンでの農薬散布代行を利用することもひとつの手でしょう。

無人ヘリよりも低コストで行え、ドローンの農薬散布の良さを体感できます。

まずはドローンによる農薬散布がどのようなものなのか見てから、農薬散布用ドローンの導入を検討するのも良いかもしれません。

 

費用が気になるなら農薬散布用ドローン購入に利用できる補助金制度を活用しよう

導入コストという課題をクリアするために利用できる方法が、補助金や融資制度です。農業用ドローンの普及を推し進めるために、国や自治体が農薬散布用ドローンの導入のための補助金や支援をしてくれることがあります。

これまでにあった農業向けの補助金、融資制度をいくつかあげてみましょう。

・「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」

農林水産省が行っている農家向けの補助金「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」では、融資を活用して農業用機械を導入した際、補助率に応じて上限300万円の補助金が出ます。

・「スーパーL資金」

こちらの農家向けの融資制度では機械の購入のための融資を受けられます。

他にも地方自治体が農業用ドローンの補助金を出していることもあります。

利用できる融資制度や交付条件は年ごとに変わるので、該当する融資制度があるかその都度確認するようにしましょう。

費用が高い機械の導入は、なかなか踏み切れないものです。しかしメリットを考えると、農薬散布用ドローンは導入の価値があるといえます。

農作業の効率化、コスト削減で生産性をアップさせることはもちろん、高齢化、人手不足といった農業の問題点もカバーできます。数年先のことを考えると導入費用は安いものかもしれません。

融資制度や支援金をうまく活用し、農薬散布用ドローンの導入を検討してみましょう。

この記事と一緒によく読まれている記事