2015年に、首相官邸の屋上に放射性物質入りのドローンが墜落して以来、ドローンの知名度は爆発的に上昇し、同時にドローンが原因となる事故も話題に上るようになりました。1kgを超えるものが多いドローンは、50m上空から落下しただけで大きな事故に繋がるおそれがあります。
本記事では、過去に発生したドローンでの墜落事故の件数を調べ、ドローンがどのようにして墜落してしまうのかを解説していきます。
2015年から2017年までのドローン墜落事故件数は「106件」
国土交通省が発表している「無人航空機に係る事故等の一覧(国土交通省に報告のあったもの)」によると、2015年から2017年までの3年間で起こった、ドローン関連の事故件数は106件です。
これは、国土交通省に届けられたデータのみの集計で、15年に都道府県警に届け出があったドローンの拾得・遺失届の件数は「拾得336件、遺失119件」の計455件です。ですから、実際に墜落したドローンは少なく見積もっても1,000機以上が墜落しているということになります。
ドローンの墜落事故件数に関しては、河川敷や田畑で拾われたものもありますが、第三者の敷地内に落ちていたものもあります。以下は、国交省発表した3年分の「無人航空機に係る事故等の一覧」です。
平成27年度
http://www.mlit.go.jp/common/001125882.pdf
平成28年度
http://www.mlit.go.jp/common/001201976.pdf
平成29年度
http://www.mlit.go.jp/common/001213034.pdf
リストでは、個人よりも空撮事業者や報道機関など、プロによる事故を中心に取り上げられているため、事故原因がどのようなものなのかが把握できます。いったいなぜ、ドローンの墜落事故は起こってしまうのでしょうか?
墜落事故が起こる原因は?
いったい、なぜこれだけドローン墜落事故の件数が多いのでしょうか?墜落事故に陥る直接の原因は、ほぼすべてドローンが「制御不能」になってしまうためですが、なぜ制御不能に陥ってしまうのか、その原因を紐解いていきましょう。
ベテランのドローンパイロットでも墜落事故は起きる
飛行時間がのべ400時間を超えるような、ベテランの事業者であってもドローンは少しの原因で墜落してしまいます。知識と技量があっても、墜落原因を見過ごしてしまう(予期せぬ原因で墜落する)ことはままあるのです。
墜落事故が起こってしまう原因としては、以下のようなものが考えられます。
最も原因として多いのが「バッテリー切れ」
意外なことに、墜落原因として多くの件数を占めるのが「バッテリー切れ」です。その他、以下のような原因が墜落に繋がっています。
・整備不良(プロペラに土が付着しているなど)
・バッテリー残量の判断を誤った
・突風に煽られた
・GPSモードの動作不良
・枝や建物との接触
・天候判断誤り(雨や霧の中での飛行)
ドローンの墜落は、木や建物との接触が多いと思われがちですが、突風に煽られて制御不能になる、バッテリー残量判断の誤り、GPSの不調などが、直接の原因としては多くの件数を占めています。
飛ばす前のバッテリーのチェック、風向・風速の計測、機体整備を怠ってしまうことで、墜落に繋がる可能性が高いということです。
まとめ
ドローンの墜落事故件数は2017年までで106件、遺失・拾得届のあったものを含めると最低1,000件は超えています。これはドローンを飛ばす数に比例して増えており、そのほとんどはDJI社の空撮ドローン「Phantom」シリーズです。
Phantomシリーズは、GPSやトラッキングなど、多様なセンサーとDJI社独自の姿勢制御メカニズムで、抜群の安定感を誇るドローンですが、それでも無理な飛行は墜落につながってしまいます。
原因として多いのは「バッテリー切れ」「突風」「機体の整備不良」です。これらが原因とならないよう、飛行の際は事前点検を行い、充分に注意しておきましょう。
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