日本国内では、2015年に可決されたドローン規制法案によって、都内など人口密集地での飛行、目視できない範囲の飛行禁止など、ドローンに関して厳しい規制が敷かれています。
ですが、商用利用の本格化に向けて、今年になってドローン規制緩和への取り組みが進められていることをご存知でしょうか。本記事では、現在進められているドローン規制緩和への取り組みを、海外のドローンに関する法整備と比較しながら解説していきます。
春には規制緩和か?目視外飛行や第三者上空・私有地の飛行見直し
国土交通省は、ドローン配送業の実現に向け、「無人航空機の目視外及び第三者上空等での飛行に関する検討会」第一回を9月1日に開催しました。
現状の航空法では、操縦者が機体を目視できない範囲での飛行(目視外飛行)と第三者・私有地上空の飛行には、国交省の事前承認が必要です。実は、商用利用を本格化させるため、これらの規制に関しては、以下のように見直しが進められています。
政府では、「未来投資戦略2017」及び「空の産業革命に向けたロードマップ」において、「2018年に山間部等における荷物配送を実施し、2020年代には都市でも安全な荷物配送を本格化させる」という目標を掲げています。
参照:国土交通省報道・広報
同検討会は、12月現在までに全3回が開催されています。この改訂は、来春を目処に行われるようで、民間のドローン配送の本格化も視野に入れたドローン規制緩和の取り組みが進められています。
FPVドローンレースのハードルが下がる?
おそらく、新法案が適用されるのは、機体性能が一定の水準を満たしているドローンのみだと思われます。
ですが、もし目視外飛行や第三者・私有地上空での飛行が可能になれば、国内で非常に限られた場所でしか楽しめない「FPV(一人称視点)ドローンレース」のハードルがグッと低くなることが予想できます。
FPVゴーグルを装着してのドローン操縦は「目視外飛行」にあたるため、今までは屋内の承認されたスペースで飛ばす必要がありました。しかし、ドローン規制緩和によって、これからは屋内であれば国土交通省の承認を得ること無くFPV飛行を楽しめる可能性が出てきます。
さらに、時代の変化とともに無線電波の利用方針も見直す方向にあるようで、FPVゴーグルに使われる5.8Ghz帯の電波制限(アマチュア無線免許取得・無線局開局の必要性や極力屋外で飛ばさないようにするなど)も緩くなれば、本格的に自由なレースが楽しめるようになるでしょう。
米国ではドローン商用利用の規制が全面的に緩和
2017年10月27日、ドナルド・トランプ米大統領が、ドローン商用利用の規制を緩和する大統領令を発しました。これにより、現在制限されている頭上飛行・夜間飛行・長距離飛行などの規制緩和や、州政府に対する飛行テストプログラム承認への迅速化が進められています。
逆に、ドローンの本場といえる中国では、250グラムを超えるドローンは実名での登録が義務付けられるようになっています。この「空の産業革命」にどう向き合っていくかは、世界の国々の課題になっており、将来的なドローン市場の掌握に向けて全面的な見直しが図られているといってよいでしょう。
まとめ
来春にはドローン荷物配送の実現に向け、国内では「目視外飛行」「第三者・私有地上空の飛行」を中心に、ドローンに関する規制緩和への取り組みが進められています。米国でもドローンの規制緩和に関する大統領令が発令されたように、この取り組みは世界的なものといってよいでしょう。
墜落の危険が伴うドローンは、法整備をする側にとってかなりデリケートなものです。もちろん性能向上に伴い、墜落の危険は年々減ってきてはいます。ですが、ドローンを商用利用したい事業者がスムーズかつ安全に使えるようにするには、まだまだ乗り越えねばならない課題が多くあるのが現状です。
数年後、ドローンがわれわれの日常に寄り添うために、まずは安心して使えるような法整備がなされることを待ちましょう。
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