未来の物流を担う存在として、世界では急速にドローン関連法の整備や、物流専用ドローンの開発が進められています。さまざまなメリットと同時に、実現に向けた課題点も多くある「ドローン宅配便」ですが、現状どのような企業が開発に参入し、どの段階まで実用化が進められているのでしょうか?
本記事では、世界各国のドローン宅配便のサービスに携わる会社や、テスト段階などをまとめ、ドローン宅配便がもたらすメリットと、実用化に向けた問題点を紹介していきます。
国内で開発・法整備が進む「ドローン宅配便」のメリット
ドローン宅配便は、もし実用化が進めば物流業界に革命が起こると言われています。現在、物流業界が直面している2つの問題である、
・配達時間の短縮
・人件費の削減
の解決が、新たな輸送手段としてのドローンを利用すれば可能となります。
国内でも大手物流企業「ヤマト運輸」の人手不足が取り上げられたように、物流業界の人的コスト問題は深刻化しています。ドローンによる宅配便の自動化が進めば、現在抱えている問題も払拭できる可能性が非常に高いです。
小規模かつ短距離の迅速な輸送手段として活躍
飛行機による空輸は、海を超えて長距離へ荷物を運ぶのに適した輸送方法です。一方、ドローンによる空輸は、短距離を迅速に輸送するのに適しています。そのため、主にネット通販で注文された荷物を運ぶ際の活躍が期待されています。
とはいえ、現状のドローンのフライト時間は長くて30分程度なので、荷物を載せて運ぶことも鑑みると、10キロも先の目的地にフライトさせることは難しいでしょう。そこで、大手物流会社ではドローン宅配便について、以下のような活用手段が検討されています。
近距離の輸送手段としてのドローン宅配便活用の仕組み
米大手物流企業UPSでは、ドローン宅配便の活用方法として、以下のような現実的な仕組みでの導入が予定されており、実際に実験も進んでいます。
1.トラックで配達地域(目的地の1~2km付近)まで荷物を運ぶ
2.ドローンに荷物を積載し、自動操縦で目的地に飛ばす
3.トラックはドローンの到着を待たずに出発する
4.配達が終わったドローンは自動でトラックを追尾し、帰還
ドローン宅配便というと、物流倉庫から一斉に宅配ドローンが出動するといったようなイメージを持ってしまいますが、飛行可能距離や荷物の重さなどを考慮すると、やはり現実的ではありません。
そのため、上記手法のように1~2km程度までは人の手で運び、軽い荷物のみをドローンに任せるというのが現状の性能では妥当といえます。
ドローン宅配便は過疎地でこそ活躍する?
このように、短距離しか飛ばせないものの、山間部など地形をものともせず最短距離で目的地にたどり着ける「空輸」の性質を持つドローンは、地方をはじめとする過疎地でこそ有効性を発揮します。
過疎地であれば盗難の危険性もそれほど高くはないですし、もし実用化された場合、地方から普及が始まっていくのではないかと思われます。また、過疎地が物流拠点になることで、新たな雇用と需要も生み出せますので、地域活性化にも一役買うでしょう。
ドローンを物流に活用するには、上記の他にも盗難の可能性や法規制など、さまざまな課題が積み重なっています。ですが、「Amazon」「Google」「楽天」など、各国の大企業が参入しているほどに、将来性は高い分野といえます。
まとめ
ドローン宅配便は配達時間を短縮し、それに伴う従業員のコスト削減を実現します。深刻な人手不足が叫ばれる物流業界に新しい革命をもたらす可能性を秘めていると言えるでしょう。
ただし、現状のバッテリー性能や、モラルの問題など課題も多く、最初はあくまで人の手をサポートする程度のガジェットとして活躍する可能性が高いです。
荷物を抱えたドローンが飛び交う日常は、まだちょっと想像しにくいですが、10年後にはそんな風景が見られるようになるかもしれません。
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