日本でも実用化に向けて加速しているドローン宅配は、宅配業界の救世主となりうるのでしょうか?この記事では、日本で行われているさまざまなドローン宅配の事例や、そこから見えてきた課題などを交えて、ドローン宅配について解説します。
日本でも実用化が近いドローン宅配とは
ドローン宅配とは、文字通りドローンを使った宅配サービスです。
日本はこれから、生産年齢人口が減少し、少子高齢化社会がいっそう進むことがほぼ確実とされています。宅配に限ったことではありませんが、あらゆる業種で人手不足になることが予想されます。
ドローンが、人に替わってさまざまなサービスの一端を担ってくれるということは、日本経済にとっても非常にメリットがあるため、大きな期待が寄せられています。
ドローン宅配のメリットとしては、以下が挙げられます。
・目的地をセットして荷物を積み込めば自律飛行で荷物を届け、自動帰還してくれる
・渋滞などもないためスムーズに荷物が運べる
・車での宅配が難しい山間部などへも容易に宅配できる
・従来の車などによる宅配と併用することでドライバーの負担軽減が可能
日本では、測量やインフラ点検、警備、農業といった分野でドローンの導入が進んでいますが、宅配分野でも、本格的に実用化するためのさまざまな実証実験が進められています。
日本で行われているドローン宅配の実証実験事例
日本で行われたドローン宅配の実証実験をいくつか紹介します。
近いところでは2018年10月、国と千葉市、楽天などの企業で構成される「千葉市ドローン宅配等分科会」が行った実験です。
ドローンが、目的地(600mほど離れたマンション)に荷物を届け、マンションに設置されている地上配送ロボットに荷物を移し、ロボットがエレベーターなどを通過して部屋まで荷物を届けるという一連の流れの実証実験です。
また、日本郵便も2019年3月までの予定でドローン宅配(郵便)の実証実験を行っています。2kgまでの荷物を完全自律制御で飛行させるというもので、日本では初の試みとなる「目視外飛行」による宅配を行っています。
そのほか、楽天はゴルフ場でプレイヤーがスマホから依頼したドリンクなどを、ドローンで宅配(デリバリー)するという実験を行い、無事に成功させています。
日本政府が2016年に発表した「小型無人機の利活用と技術開発のロードマップ」では、「都市を含む有人地帯における目視外飛行による宅配」は、2020年代頃以降の実現を目指すとしています。
日本各地で行われているドローン宅配の実証実験は、まさに2020年代の実現を目指して、着々と進められているというわけです。
日本でドローン宅配が普及するにはどんな課題が?
日本では、このようにさまざまなドローン宅配の実証実験が行われ、実用化に向けて着々と進んでいます。しかし、課題が多いことも確かです。
例えば、分かりやすいところでは荷物を落下させてしまった場合や、ドローンが墜落してしまった場合はどうなるのか、受取人の本人確認の方法はどうするのか、ドローン専用の航路を作り、管制塔のように統括する仕組みを設けなければならなくなるのでは?など、課題は山積みになっています。
しかし、日本におけるドローン宅配の実用化は、人手不足や超過労働問題に揺れる宅配業界に明るい未来をもたらしてくれるのではないかという期待が持たれています。
あるいは、日本でドローンを使った仕事に就きたいと思っている人も、ドローン宅配の分野で活躍できるチャンスが生まれるかもしれません。日本でも実現が近いドローン宅配、今後の動向をぜひチェックしておきたいところです。
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