ドローンに求められる役割のひとつに警備があります。空からの監視や夜間警備など、人間だけでは賄いきれない範囲をカバーしてくれるため、大きな期待が寄せられています。警備会社がドローンを導入している例を中心に、ドローンと警備について解説します。
世界初となるドローン監視を実現したのは日本の警備会社だった
民間の防犯用として世界で初めて、自律飛行型ドローンを用いた監視サービスを開始したのは、実は日本の警備会社であるセコム株式会社です。
セコム株式会社といえば、知らない人はいないくらい大手の警備会社ですが、ヘリコプターによる農薬散布を参考に、独自に小型飛行機の開発を行ってきた経緯があります。
2015年から登場したドローンによる監視サービスは、施設に設置したセンサーが車や人を検知するとドローンが対象物に近づき、ナンバーや色、人の顔などを撮影し、情報をコントロールセンターに送信するというものです。
ドローンを活用することで、広い敷地ではなかなか把握しきれない侵入者などの情報を的確に捉えることができるようになったため、警備の品質向上に成功したと言えるでしょう。
ドローンを用いたオフィス巡回サービスを開始した警備会社もある
総合ビルメンテナンス大手の大成株式会社は、ドローンによるオフィス巡回サービスを開始しています。
警備会社としての側面を持つ大成株式会社は、ドローン関連事業を展開しているブルーイノベーション株式会社やNTT東日本などと提携し、夜間のオフィス巡回にドローンを活用しています。
営業時間外にドローンが定期的にオフィスを巡回し、撮影した映像をクラウドにアップするというサービスで、管理者はリアルタイムでモニタリングしたり、翌日に確認したりできます。
赤外線センサーや画像センサーを搭載することで、GPSを使わない自動航行が可能で、プロペラの風で書類が飛んでしまわないように工夫するなど、高度な技術が組み込まれています。
警備会社の需要拡大に伴いドローン監視が普及する可能性
警備会社ではありませんが、アメリカやイギリスではすでに、警察にドローンでパロトールを行う部門があると言われています。
夜間のパトロール、犯罪者や行方不明者の捜索、事故や事件現場の撮影など、人間だけでは賄いきれない範囲をカバーしてくれることからも、大きな期待と信頼が寄せられているようです。
日本は2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控えていることもあり、警備会社に対するニーズは、今後も高まる一方と予想されます。
しかしながら慢性的な人手不足、長時間労働に夜間警備などの過酷な環境、人間による警備の限界など、さまざまな課題を抱えているのが現状です。
そこへきて、警備会社がドローンを導入することで「人×ドローン」で効率よく、高精度の警備が実施できるようになれば、これほど心強いものはないでしょう。
ドローンを導入することで高品質のサービスを提供できるうえ、人員削減にも繋がりますので、警備会社としてもメリットがあると言えます。
しかしながら、改正航空法や初期コスト、事故や事件が発生した場合の責任の所在、どこまでが監視の範囲になるのかなど、クリアしなければならない課題も残っています。
さらに、オフィス巡回では監視されることに抵抗感を持つ社員も少なくなく、導入の実現は思ったほど進んでいないのが現状のようです。
確かにプライバシーなどデリケートな問題は関わってきますが、警備会社がドローン監視を導入するメリットは多くの方が感じていることと思います。
課題こそ山積ですが、今後、警備会社によるドローン監視サービスが普及する可能性は非常に大きいと言えるでしょう。
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