「ドローン特区」「国家戦略特区」という言葉を聞いたことがありますか?これは国からドローン飛行の実証実験の許可が下りている地域という意味があります。徳島県那賀町(なかちょう)は「ドローン特区」となりました。今回は、気になる徳島県那賀町のドローン特区としての活動に迫ってみました。
那賀町がドローンに適している理由
徳島県那賀町は林業、農業が盛んな地区で、有名な特産物は「ゆず」「茶」「仏花ケイトウ」などが挙げられます。
那賀町は県内自治体2番という広域を持つ町なのですが過疎化が進んでいます。そのようなマイナス面を払拭するために、那賀町は「日本一ドローンが飛ぶ町」というコンセプトを打ち出したのです。
ドローンの飛ぶ町、那賀町には、美しく神々しい樹氷や、日本の滝100選にも選ばれるほどの名瀑(めいばく)である大釜の滝、季節ごとに色とりどりに輝く渓谷などが身近にある町なので、ドローンでの空撮にはもってこいなのではないでしょうか。
那賀町はこのような大自然をドローン撮影愛好者の人々に楽しんでもらいたいと考えています。
那賀町でのドローンを使った実験と活動は?
2015年4月に首相官邸屋上にドローンが落下した事件直後の2015年5月に、徳島県は産学官35名による「徳島UAV活用検討会」を設置しました。
その後、那賀町はドローン特区に指定、2016年4月に「ドローン推進室」が設置された那賀町は、実証実験への積極的取り組みを複数行い、見事に成功させています。
那賀町は林業が盛んであり、木材運搬のワイヤーロープを高所に架けるためにドローンを使った実験を実施し成功しました。
今後正式にドローンが林業に取り入れられれば、林業に携わる作業員の山での上り下りが軽減されることになり、鳥獣被害対策のひとつともなるでしょう。
また、那賀町は人口減少・過疎化も大きな問題となっており、特に高齢者は行動範囲に限りがあるためにドローンを取り入れた実験が2016年2月に行われました。
プログラミングをしたドローンを使って牛乳やパンなどを輸送させるという実験で約500メートルの飛行が成功しました。こちらも日常的に利用できる身近な存在となれば、ドローンが飛ぶ町である那賀町だけではなく、日本全国で取り入れられてますます利便性の高い生活になることでしょう。
2017年7月には西納地区で土砂災害が発生した想定での合同訓練が行われました。これは、那賀町役場、那賀町消防本部をはじめ、徳島県ドローン安全協議会などの参加があり、カメラを搭載したドローンによる現地内部の映像をモニターで確認できるという画期的な実験でした。
これにより現地の被害状況や捜索活動、救助活動にも役立つということも確認できました。那賀町はドローンを用いた土砂災害調査以外にも、今後、南海トラフ巨大地震も予想されている地域のためにこのドローンを使った実験結果を活用していく方針で、非常に意味のあるものであったと思われます。
今後のドローンに関する那賀町の取り組みとは?
那賀町では「ドローンを全国に普及させていこう」という取り組みのひとつでもある「10月6日 とくしまNAKAドローンの日」を、正式に町議会で可決させました。
また、那賀町町営ドローン練習場は2017年度末に完成予定となっており、この練習場にはドローンの組み立てや充電が可能となるスペースや、ドローン飛行練習のための備品設置も計画されています。
周辺には桜の名所もあるため、ドローン空撮愛好者にはもちろんのこと、ドローンをこれから体験したいという人にも人気が高まりそうです。
更に隣接地も将来的にはドローンレース会場とすることも考えているそうで、ドローンと那賀町の発展の広がりに期待が高まります。那賀町から、ドローン普及の流れが全国に波及していくかどうか、注目していきましょう。