ドローンが広く普及するに伴い、ドローン産業についても注目が高まってきました。その市場規模は2021年には2兆2,000億円以上にも達する見込みだといいます。今回は、ドローン産業について紹介します。
ドローン産業の例
ドローン産業の例としては、以下が挙げられます。
農業
ドローンを利用した農薬散布など、ドローンの農業への応用はすでに始まっています。農薬散布の他に、農地や農作物の状態を監視する役割も担っています。
軍事
偵察や物資補給など、ドローン産業の一環として軍事利用も進んでいます。航空機や自動車、服飾など、軍事利用をきっかけに大きく技術が発展した産業は数知れません。軍事用の先端技術が発展することで、民間利用でも水準が上がり、その恩恵を受けることになります。
映像
これまで大規模な機材を必要としていた空撮映像制作も、ドローンを使用すればより手軽に行うことが可能です。これまで難しかったダイナミックな映像が実現するようになりました。
輸送
現在米国などでアマゾン社が中心となり、ドローンを利用した配送を試験しています。AIと連携した完全自動操縦も計画されていて、流通の人手不足を解消するドローン産業として注目されています。
また、日本国内では楽天がゴルフ場内で用品や食事のドローン配送サービスを開始しています。ドローン産業において、輸送は今後大きく発展していく分野と見られています。
測量・調査
ドローンを利用した測量、調査も盛んに行われています。人が生身で入りにくい場所での調査に強みを持っていて、災害時の利用も今後広がっていくものと見られています。
海外のドローン産業
ドローン製造に関しては、圧倒的な世界シェアのDJIを擁する中国が他国を圧倒する規模を誇っています。フランスのParrot、米国の3D Roboticsとで「世界3大ドローンメーカー」なる呼称も一部メディアで使用されていますが、DJIだけで約7割の世界シェアを誇るとされ、実質的に一強状態となっています。
しかし、セキュリティに関する懸念から、米軍や豪軍がDJI製ドローンの使用を禁止し、さらにトランプ政権が米国製軍用ドローンの輸出を強化していく方針をとったこともあり、ドローン産業の流れも変化し、今後民間用ドローンにも米国産が増えていく可能性があります。
また、2016年には米連邦航空局(FAA)が産業用ドローンに関する規制を緩和、新たなガイドラインも追加されたことで、企業のドローン産業への参入障壁が低くなることが予想されています。
ただ、海外でドローンと航空機のニアミス事案が多数発生しており、2017年3月にはカナダが、6月には中国が法規制を開始するなど、規制が強まる方向性です。規制に縛られて自由な発展が阻害されるという意見もある一方、より強固な法整備がドローン業界およびドローン産業を、より健全にするという意見もあります。
どちらにせよ、ドローン産業の今後の展開に要注目です。
国内のドローン産業
2017年現在の日本国内のドローン産業は、製造面で大きく後れを取っていると言わざるを得ません。
これは中国以外のどの国にも言えることかもしれません。しかし、日本国内にはフランスのParrot、米国の3D Roboticsのような、DJIの後塵を拝しながらも一定のシェアを持つメーカーも存在しないのが現状です。
2016年ごろまでは、DJI製ドローンの部品の半数以上が日本産ということでしたが、2017年現在はその多くが中国産に置き換わっているとのことです。
今後の国内ドローン産業発展には、DJI製などの既存のドローンを利用して、いかに産業と結び付けていけるか、またより明確なルール整備によるリスク低減で参入障壁をいかに低くしていくかに焦点が当てられます。
現に2017年10月、ヤンマーとコニカミノルタが合弁会社「ファームアイ」を設立し、DJI製のドローンを利用した農業効率化サービスを提供開始することを発表しました。
今後、ドローン産業の発展とともに、このようなソフト面での産業応用で日本が存在感を示せるか、要注目です。
最後に
いかがだったでしょうか。今回は国内外のドローン産業の動向についてまとめてみました。ドローン製造に関しては大きく後れを取ってしまった日本ですが、ドローンの産業利用では巻き返しを図ってほしいものです。
ドローン産業は日進月歩の業界のため、今後の展開に期待しましょう。