ボタン一つが正義につながるのか?無人戦闘機を操縦する兵士の葛藤を描く映画「ドローン オブ ウォー」のご紹介

更新日: 2017.10.07 公開日: 2017.10.07
img

2014年頃から「ドローン」という言葉が世界中に広まり、現在では幅広いドローンが発売されています。国際的なドローンレース大会、空撮用と使用用途はそれぞれで、たくさんの楽しみ方をすることができる画期的なガジェットです。しかし、その一方でプライバシーや人権の侵害など社会問題も発生してきています。また、昨今では無人戦闘機として利用されることすらあります。今回は、そんな戦闘用ドローンの操縦士に焦点をあてた映画「ドローン オブ ウォー
のご紹介です。

 

項目1 「ドローン」の幅広い使用用途

ドローンが発売された当初、革新的なラジコンをイメージした方も多かったのではないでしょうか?今や、空撮用として一般人からメディア関係まで幅広く使用される他、世界にはすでに8つのドローンレース開催組織が存在します。そして現在もなお、その市場は拡大し続けています。

その一方、無差別な空撮がプライバシーや人権の侵害の問題にかかわるなど社会問題化しているのです。日本でも、首相官邸にドローンが着地したニュースが流れるなど、様々な問題が取り上げられています。そして今では戦争で利用されることも増えてきており、画期的なドローンの発明は、これまでにはなかった様々な社会的な問題を生み出す諸刃の剣ともなっているのです。

そんな中、戦闘用のドローンの操縦士の日常に焦点をあてた映画「ドローン オブ ウォー」が話題になっています。ラジコンを操縦するように人の命を奪う……そんな異常な日常を過ごす兵士のメンタルをリアルに描く、スリリングかつ非常に考えさせられる映画です。

 

項目2 映画「ドローン オブ ウォー」とは

2014年にアメリカで公開された「ドローン オブ ウォー
。無人戦闘機ドローンを遠隔操縦するアメリカ兵が主役になっている映画です。

「ガタカ」で一躍有名になったイーサン・ホークとそのガタカを手掛けたアンドリュー・ニコル監督の再タッグで制作された作品です。ドローン操縦士の異常な日常のリアルが描かれた、行き過ぎたテクノロジーが生み出す現在の新たな問題が露になっています。

この物語は、イーサン・ホーク演じるアメリカ軍兵士が主役。戦闘機パイロットとして活躍していた主人公が、国内の基地で無人戦闘機「ドローン」を遠隔操作し、遠く離れた異国のテロリストを殺害する任務を遂行する日々が映し出されていきます。

実際に戦地に赴かない安全性はあるものの、ボタン一つでテロリストを殺すことが可能という現実にアメリカ米兵も疑問を抱いていきます。座ったままでも人を殺せるその異常な手軽さの裏に隠された葛藤は測りきれないものです。

しかし、上官からの指示には逆らえないもの。だんだんと善悪のラインが曖昧になり、正義とは何なのか悩み、苦しむ姿が刻々と描写されていきます。

上官からの指示に歯向かってボタンを押さないという選択でテロが終わるものでもなく、ワンクリックで命を奪い続けたその葛藤は一生付きまとうものになるでしょう。この葛藤の末に主人公が行き着いた最後の正義もまた、誰かにとっては悪にもなり、誰かには感謝されることもある……ドローン オブ ウォーは、「正義とは何なのか」「正義は人々を救えるのか」という善悪の揺らぎを改めて深く考えさせられる作品です。

映画の導入部分には「2001年の9.11以降 米軍は対テロ戦争に攻撃型無人機を使用。これは“標的殺人”が最も激化した2010年の物語である。事実に基づいている」とメッセージが添えられた、真実を含めた作品となっています。

ドローンという無人機は自由自在な空撮や競技レースなどを楽しむことのできる華やかな一面を持っているガジェットですが、裏にはこのような戦争に用いられている現実もある……テクノロジーの正しい使い方とはいったい何なのか、そして真の善悪とは何なのか。そんなことを考えながら観て頂きたいおすすめの1本です。

利用目的からドローンに
ついて知る