長野県伊那市や信州大学山岳科学研究所などは25日、ドローンを松林の上空で飛ばし、松くい虫の被害状況を調べる実証試験を行った。高性能センサーをドローンに搭載し松林を観察、高精度に被害木を抽出して被害の拡大防止を目指す。
今回の実験では、長時間飛行が可能な産業用ドローンに高性能センサーを搭載し、被害木が確認されている松林(約5ヘクタール)の上空で飛ばした。同研究所の開発した被害木抽出技術を活用し、松の葉の太陽光の反射の強さをとらえる。その度合いから、「健全木」「感染木」「枯死木」に分類した。
伊那市では10年ほど前から松くい虫被害が発生しており、昨年度の被害量は過去最高。一帯は松茸の産地でもあることから、その被害は深刻だった。
松くい虫の被害状況は目視調査が中心で、自治体職員らの負担も大きい。また、目視では誤差や見落としが皆無ではない。ドローンとセンサーの活用により、1本の木をより詳細に観察して被害の見落としが減るという。
同研究所の加藤教授は「森林所有者やマツタケ生産者、自治体職員に貢献できる技術開発を伊那市と連携して進めていきたい」と話した。