東日本大震災から6年――あの日から今日までの間には熊本でも震災が起き、日本列島の火山の活発な運動は続いている。
防災や危機管理の意識は高まりつつも、いざという時にはどうしたらいいのかという不安感を抱える人もいるだろう。
災害時の調査や支援にも、ドローンを用いようとする動きがある。遠隔操作のできるドローンは、被害の状況をいち早く知るための有力なツールとなるだろう。ヘリコプターよりも小回りが利くという点も実にいい。
災害時の運用にあたっては、業界内の連携が肝となるだろう。
ドローンの機体の開発とシステムの開発、双方の努力が不可欠である、しかも、実証研究も積み重ねなければならないことを考えると、まさに官民一体の一大事業となる。
熊本地震の際は、残念ながらドローンはさして役立たなかった。
それは、ドローンを飛ばそうにも「混乱のさなかの被災地ではドローンの飛行を求めるクライアントがいない」というマイナス地点からのスタートとなったからだ。
もしものことが起きた際に、事前にクライアントと「ドローンをどのように活用するか・災害発生時からどのくらいのタイミングで飛ばすか・どう飛行するか・ドローンには何ができて、何ができないのか」そのような具体的な話にまで落としこんでいなければ、ドローンを抱えて現地に行っても、何もできずに歯がゆい思いをするだけだ。
「いざという時にはドローンがあるさ。だからきっと大丈夫」という漠然とした考え方も、私たちの災害時への不安を、多少は軽くしてくれるかもしれない。
が、万一のときのために、事前にドローンが何をどこまでしてくれるのかを知っておくほうが、ずいぶんと建設的だろう。マシーンができないことをわかっていれば、それを人の手で埋める、或いは事前に埋めるために何をすべきか考えることができる。
これが私たちの不安を軽くするはずだ。
現在、KDDIとゼンリンが本格的に業務提携するなど、業界内でドローンを架け橋にいくつもの企業が結ばれつつある。このような取り組みの中から、災害時のドローンの運用にまで落とし込んだものが早く生まれることを切に願う。