スイス政府は2017年3月、人口が密集している都市を対象とした、無人物流ネットワークの運営企業に米Matternetを認定した。
患者ケアと病院のコスト削減の為、ドローンを用いた同社の血液サンプル・医療情報収集システム「Matternetステーション」を10月より運用開始するという。
Matternetステーションは、自律型ドローンとクラウドにより、医療施設間ネットワークを構築していくシステムだ。
ステーションには、ドローンの充電と、スムーズな離着陸ができるパッドが完備され、病院は迅速に血液サンプルや医療情報を送受できるようになるという。
緊急に輸血が必要な患者の血液型を判定することできないとき、血液サンプルをタクシーなどで運搬することは難しい(通常、血液サンプルは機密扱いだ)。そこでドローンを用いて空輸で血液サンプルを運搬するのがMatternetステーションである。
Matternetステーションを利用した血液サンプルの運搬は、以下の流れで行われる。
1、QRコードがついたボックスに血液サンプルをパッケージングする
2、ステーションのQRコードをスマートフォンでスキャンし、ボックスを預ける
3、ステーションは待機していたドローンにボックスをセットして離陸する
4、ドローンは正確な信号で案内されながら飛行し、検査施設に設置されたステーションに着陸する
5、血液サンプルが到着したことをアプリを通じて通知されたら、検査施設の技術者がスマートフォンでQRコードをスキャンし、ステーションのロックを解除して受け取る
最後に、アプリを通じて結果をクラウドに上げれば、現場で参照可能となる。
この空輸システムを使えば運転手が不要で渋滞も関係なく、しかも直観的な操作であるため、医療技術者の負担が少ない。これで30分以内にどの医療施設にも医療アイテムを配送することができるようになるとのことだ。
まずは一部での運用が始まり、年末にはスイスの医療施設間ネットワークの運営を開始する運びとなっている。
参照:「血液サンプルを運ぶ自律型ドローンがスイスの空を飛び回る」