第4次産業革命の柱の一つとして注目されているドローン。
だが、そういえばこのマシーンが誕生したのはいつだろうか。
そもそもラジコンヘリなど今のドローンに類似した製品は以前から存在しており、近年注目されていること自体が不思議であるとも言えやしないか。
ドローンの歴史は第二次世界大戦中に遡る。
危険な場所で任務をこなす無人機の研究開発に始まり、射撃用の訓練機や偵察機として軍事用にアメリカで実用化されたのがドローンである。余談だが当時のドローン製造の軍需工場には、その後の世界的女優が女工として在籍していた(「ドローン工場で働いていたマリリン・モンロー」)。
その後、技術の進歩によって小型化が進むものの、民間利用としてはまったく一般的ではなかった。しかし1970年代には日本のヤマハが農業散布用にラジコンヘリを開発するなど、世界に先んじて無人機の産業利用を行っていたことは特筆すべきことだろう。
状況が変わったのは2010年にフランスのパロット社が「AR.Drone」を世に送り出してからだ。スマートフォンで操作可能な上に、空撮まで行えるというまったく新しいドローンに世界中が注目した。スマートフォンが普及した現代社会に後押しされる形で、ドローンが表舞台に登場したのである。
その後、現在に至るまでのしのぎを削るような企業競争を、きっと皆さんもご存じのことだろう。現在のドローンブームの火付け役となったパロット社は、DJIをはじめとする中国企業に苦戦を強いられ、ドローン部門を縮小したというから、まさに戦国時代に突入している(「仏Parrot ドローン部門を整理縮小へ」)。
そして、コンパクトなサイズのドローンが続々と登場し、カメラの性能も格段に上がっている今、ホビー用の機体が家電量販店で気楽に購入できるほどにまでなっている。それでもまだ一般的になったとは言い難いが、ドローンを専門に教える高校が登場するなど私たちの日常に少しずつ入り込んできているのは確かである(「ドローンを学べる高校、操縦士不足の福音となるか」)。
ドローンが当たり前に活用される社会を「ドローン前提社会」と呼び、これが今後5年以内に訪れるという意見もある(「5年以内に訪れる?ドローン前提社会とドローンバブルとは」)。5年以内に、という予想はさておき、今後ドローンがさらに身近な存在になることは間違いがない。