「ドローンの活用」というとSFのようなものを想像してしまいがちだ。たとえばそれは、自動運転の車の中から複数のドローンが舞い上がり、宅配の荷物を届けるといった光景である。
もちろん、そういった未来が来ないとは言わない。
しかし、現状ドローンは「SFではない」仕事にいそしんでいる。
ドローンビジネスが先行しているのは農業分野なのである。
日本では1980年代にすでにヤマハ発動機の無人ヘリが農薬散布を行っていたことから、この分野へのドローンの活用が先んじたのは当然の成り行きであっただろう。
しかし、今のドローンが無人ヘリができなかったことをやろうとしている。ドローンは農薬散布だけではなく、データを収集するマシーンとして役立てようとする研究と開発が進んでいるのだ。
たとえば、ドローンに葉色センサーや放射温度計を搭載し、作物に病害や発育の遅れなどがないかチェックするというわけだ。お茶処の静岡でも、新茶の収穫時期を見るため、高解像度カメラを搭載したドローンが使われている。
このようなIT技術を活かした農業を、ずばり「IT農業」と呼ぶ。
IT農業が広がっていけば、「SF的」な利用ももちろん増えていくだろう。
そのひとつが、ミニドローンを用いてミツバチの代わりに受粉させようとする試みだ。現在世界中でミツバチの激減が報告されており、ドローンがミツバチの「代行」までもしてくれるのではないかと期待は高まっている。