産業技術総合研究所は5日、複数社と共同で、土砂災害時にドローンを使用し、空中から埋没車両を探査するシステムを開発したと発表。検証実験では埋没車両の位置特定に成功した。ドローンを使用した埋没車両探査の例は少なく、先駆的な試みとなった。
このシステムは、エンルートや日立製作所、八千代エンジニヤリングと共同開発したもので、電磁探査による位置特定システムを搭載したセンサー部を、ドローン部がつりさげる形で運用する。
これまで2004年の新潟県中越地震、2016年の熊本地震の折に起きた土砂災害では迅速な車両の探査は人が立ち入れないために困難だった。近年では不安定な気象による土砂災害も頻発している。国土交通省によれば2016年の土砂災害は1492件にものぼる。
こうした背景もあり、今回の技術開発は進んだ。ただ、実際の災害現場では地面の傾斜が急で険しい場合が多いためにセンサーをつりさげたドローンの航行は不安定になる懸念も。
今後はより起伏が大きい、現実の状況に近づけて実験を重ねていくという。