ドローンが国の重要文化財を脅かすトラブルが相次いでいる。
今月14日、香港の男性が兵庫県姫路城近辺でドローンを飛行させ、航空法違反で厳重注意を受けたことは記憶に新しい。姫路城は2015年、2016年と同様の被害に悩まされている。
また同じく「天空の城」という呼び名で親しまれる兵庫県竹田城跡でも、ドローン飛行の目撃談が後を絶たない。
長野県善光寺でも2015年、法要が行われていた境内でドローンが墜落するということがあった。これは、操縦者が動画共有サイト上の有名人であったことでも注目された。
上記3つはいずれも重要文化財に指定されており、損傷を恐れる関係者は以前にはなかった「テクノロジー」に頭を抱えている。
ここでいう「損傷」とは、「ドローンが文化財に傷をつけてしまったら」というレベルの問題ではなく(もちろんその程度でも大きな被害だが)、「ドローンが文化財を永遠に損ねてしまったら」という早急に解決するべきレベルの課題なのである。
最も恐いのはドローン事故による火災だ。
ドローンに使われているリポバッテリーはパワフルで軽量である一方、発火しやすいというデメリットを抱えている。衝突などの事故が起きた際、リポバッテリーが発火して火災を引き起こす可能性があるのだ。
長い歴史を持つ木造の重要文化財、それらは当然のことながら火の気を避けなくてはならない。そして、特に山などの自然の中にある重要文化財――まさに竹田城跡である――の場合、周辺の火災は命取りとなる。
もちろん、航空法ないし各施設の条例で重要文化財周辺のドローン飛行は禁じられている。
しかし逮捕された操縦者が「(飛行が禁止されていることを)知らなかった」という言い分を述べることは多い。
なるほど、確かに海外の観光客の場合、ドローンの法規制がほぼ為されていない国もあるため、飛行のルールに無頓着という可能性は無くはない。
しかしドローンを操縦するスキルの人であれば、それが時に人や物を傷つける凶器になり得ることを知らないとは言わせない。操縦者が何者であれ、少し想像力を働かせれば目の前の美しい文化財に対して、してはいけないことくらい分かりそうなものであるが。
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