ドローンはもとより軍事のために進化したマシーンだ。
軍事のため、などという言い方が甘いなら、ドローンは兵器だ。
現に、イスラム過激派組織ISISが、市販のドローンを用いて爆撃を行っているというなんとも痛ましい事実も判明している。
兵器としてのドローンの怖さは、そのリアリティの希薄さかもしれない。
人の肩代わりの仕事を忠実にこなすドローンは、安全な場所から人を爆撃して容易に傷つけることができてしまう。ボタン一つで我が身を危険にさらすことなく、現実の世界に爆弾が投げ出される。そして現実に人が傷ついていく。
リアリティの希薄さに反して、映し出すカメラの精度は高い。
そのアンバランスさに心乱れる操縦士も多いことだろう(事実、2015年には米軍のドローン操縦士だった45人の退役軍人が、連名で「人権の原則にも反している」任務放棄を呼び掛けている)。
イギリスが2015年に制作した映画「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」は、ドローンの軍事利用を主軸にした映画だ(すでに日本での公開は終了)。なるほど、人々の抱くドローンへの懸念が映画に姿を変えたものかもしれない。
確かにドローン同士が戦うだけであれば「世界一安全」かもしれないが、もちろんその戦場には人間がいるし、中には一般人も含まれている。
「さらに便利になったドローンを使ってあれもこれもできる!」とまだ見ぬ未来に胸を弾ませるのは素晴らしい。しかし、その便利なドローンが私たちに馴染みのない場所で、どのように使われるのかという想像力は常に持っておきたい。