ドローンメーカーと言えば、ほとんどのユーザーは「DJI」や「Parrot」など海外企業の名前を思い浮かべるのではないでしょうか。
現に中国の企業であるDJIは、全ドローンメーカーのうち約7割ものシェア率を誇ると言われている最大規模のメーカーです。
海外企業の活躍が目覚ましいドローン業界ですが、日本国内のメーカーにより生み出された「国産ドローン」の魅力にも注目してみてはいかがでしょうか。
今回は、国産ドローンに関して以下のポイントを詳しく解説いたします。
- 国産ドローンの概要や市場規模
- 国産ドローンの魅力
- 日本国内の主なドローンメーカーと機種
- 国産ドローンの今後の展望
- 国産ドローンが活躍している分野
国産(日本製)のドローンはある?
趣味からビジネスまであらゆる分野における高い有用性を秘めたドローンは、世界中で盛んに研究開発が進んでいます。
「DJI」を中心に海外企業から生み出されたドローンが数多く出回っていますが、日本国内のメーカーによるドローンも存在するのです。
国産(日本製)ドローンは個人用より事業者向けのドローンが多い
国内では、個人的な趣味として楽しむホビー用よりも農薬散布や物流などへの活用を前提とした事業者向けの「産業用ドローン」開発が以前より進められています。
例えば、
- 昔から高品質なバイクを生み出している「ヤマハ発動機」
- 歴史は浅いものの赤外線カメラや物体検出機能など最先端の技術を駆使する「PRO DRONE」
など数々の国内企業がドローンの製造・販売に乗り出しているのです。
国内企業のドローン市場参入は海外企業に比べて少し後れを取ってしまったことも事実です
しかしながら、ロボットや精密機器などにおいて優れた産業技術を持つ日本のドローン開発は、これからも進展し続けていくことでしょう。
国産(日本製)ドローンの市場規模
2019年に発表された「日本UAS産業振興協議会(JUIDA)」の独自調査結果によると、2018年に世界で出荷されたドローンの機体数約400万機のうち、国別シェア率でみると日本は3.8%となる15万機を出荷したとのデータが出ています。
日本国内にドローンブームが訪れたときには、既に海外メーカーのシェア率が高い状態でした。
そのため国産ドローンの市場参入が一歩遅れ、シェア率の低さにつながったものと考えられています。
とはいえ、2022年度には航空法改正により「レベル4」の飛行が解禁されるなど、国内に置けるドローンの社会実装への取り組みも着々と進んでいます。
世界的に有名な「ソニー」も2020年度より新たにドローン市場へ参入の動きを見せるなど、航空法改正を見越して国内メーカーの動きが盛んになりつつあるのです。
「DJI」や「Parrot」、「3DRobotics」といった海外メーカーと比較すると、まだまだ及ばないシェア率の国産ドローンですが、これからの成長に期待したいところです。
国産(日本製)のドローンの魅力
モノづくりを得意分野として高い技術力をもつ国産ドローンは、丁寧な造りと性能の高さが特長です。
しかし、性能という面で見ると海外でも優れたドローンが数多く生み出されています。
その点のみを考えると、ドローンは海外製・国産ともに大差がないのでは?と考える方もいるはずです。
ここでは、性能以外で国産ドローンが持つ2つの魅力について解説いたします。
国内企業のためサポートも安心
製品に万が一の不備があった場合、メーカーへ問い合わせて交換などの対応をしてもらわなければなりません。
「DJI」などの大手企業であれば国内でもサポート窓口が設けられていますが、他の海外メーカーでは日本国内用の窓口が設けられておらず問い合わせができない場合があります。
一方、国内のメーカーであれば日本人でも安心して問い合わせができる他、国内メーカー特有の迅速かつ充実したサポート体制も安心材料となるでしょう。
技適マークが標準で適用されている
技適マークと呼ばれている「技術基準適合証明マーク」は、電波法で定められた技術基準に適合している無線機に付与されるマークのことです。
日本国内に販売代理店を設けている海外メーカーの製品であれば、ほとんどの場合技適マークが付いています。
ただ、そうでない海外メーカー製ドローンには技適マークが無い場合も多いのです。
技適マークが無いドローンを日本国内で使用すると電波違法とみなされるため購入の際は十分な注意が必要です。
国産ドローンであれば必ず技適マークが付与されているため、知らず知らずのうちに法律違反を犯してしまうリスクを回避できます。
国産(日本製)ホビードローンの主なメーカーと機種
国内の主なホビードローンメーカーとしては、以下の2社があります。
- 京商
- G FORCE
各メーカーの特徴や、主な機種について詳しくご紹介いたします。
京商
国内ラジコンカーのメーカーとして60年近くの歴史をもつ企業「京商」では、トイドローンやレーシングドローンといった小型の機体を製造しています。
中でも、トイドローンとして初のオプティカルフローセンサーを搭載した「Type-1000HD」はドローンユーザーの間で話題になっています。
高性能かつ、ボディに盛り込まれた画期的なアイディアの数々が京商製ドローンの魅力です。
DRONE RACER b-pod (ビーポッド)
京商のレーシングドローン「DRONE RACER」の新シリーズとして発売された「b-pod」は、電動バイク「zecOO」やトヨタ自動車のコンセントカー「Camatte」や「Setsuna」などの開発を手掛けた根津孝太氏がデザインを担当しています。
“未来のレースバギー”をテーマとし、人間工学と自動車工学の観点からデザインアプローチが行われました。
テールリアライトでクールな印象を抱かせつつ、丸みを帯びたフォルムは愛嬌も感じられます。
DRONE RACER G-ZERO/ZEPHYR
2016年に発売された、京商「DRONE RACER」シリーズのレース用ドローンです。
基本的な仕様は同じですが、G-ZEROは滑らかな流線型とホワイトカラーのボディ、ZEPHYRは直線的な形状とブラックカラーのボディが特徴となっています。
プロポはR/Cカーでおなじみのホイラープロポが採用されており、ドローンでありながらレース用のR/Cカーを操作している気分を楽しむことができます。
なお、機体には柔軟性に優れたポリカーボネートが採用されている他、障害物に触れると緊急停止する機能も備わっており、屋内・屋外問わず飛ばせる安全性もポイントです。
G FORCE
G FORCEは、ラジコン製品を中心に製品企画や輸入販売を行っている国内企業です。
バリエーションは少ないですが、海外製ドローンの販売と同時にオリジナルドローンの製品開発も行っています。
200g未満の小型ドローンが多く、コンパクトな機体に充実の機能とカメラ性能を備えた製品を豊富に取り扱っています。
SKYHIGH
200gにも満たない軽量ボディでありながら、4K画像・2K動画撮影に対応した高性能小型ドローンです。
映像のブレや気圧から機体の姿勢を自動で制御してくれるホバリング機能を搭載しているため、細かな操作に気を取られることなく空撮に集中することができます。
専用アプリをインストールすれば、ドローンが撮影している映像をスマートフォンからリアルタイムに確認することも可能です。
LEGGER
G FORCEの代表的なホビードローンとも言えるLEGGERは、重量わずか60gかつポケットにも入るコンパクトな機体でありながら、高性能なカメラを搭載していることが特徴です。
機体前方に4K写真・2K動画撮影に対応したカメラが内蔵されており、チルト回転のフレキシブルな調整によりどんなアングルからも鮮やかな写真・動画を撮影できます。
また、機体後部には空間認識を行うためのカメラが搭載されており、そのカメラの映像を通してズレを検知し、姿勢を自動で制御。
ドローン初心者がつまずきやすいホバリング操作も、難なく行えます。
INGRESS
INGRESSは、重量182gのGPS搭載ドローンです。
位置情報を取得することで、操作しなくてもその場で留まり続ける安定性を実現しています。
また、ホームポイントに自動で帰還するリターントゥホーム機能、フォローミーモードなど多彩な飛行方法を楽しむことができます。
手持ちのスマホに専用アプリをインストールすれば、機体のカメラが撮影している映像をリアルタイムで確認することも可能です。
最大飛行距離の設定にも対応しており、フライト環境やレベルに応じてドローンが移動できる範囲を制限できます。
ESPADA
可変式のアームで、折りたたみながらの持ち運びが可能なドローンです。
折りたたむと文庫本ほどのサイズになり、ショルダーバッグなどコンパクトなバッグにも収納して楽に持ち運ぶことができます。
ESPADA専用アプリも用意されており、スマホやタブレットの画面を指でなぞると機体がそのラインと同じルートで自動飛行します。
ワンタッチで脱着可能なプロペラガードが付属しているため、屋内でも壁や家具などに傷がつく心配がありません。
LUCIDA
アーム・プロペラを含めても手のひらに収まる、重量200g未満のコンパクトなドローンです。
アームを折りたためば名刺ほどのサイズになるため、気軽に外へ持ち運ぶことができます。
コンパクトでありながら1080pFHDカメラを搭載しており、動画・静止画共にきれいな画質で空撮を楽しめます。
専用アプリにより、スマホを通してリアルタイム映像の確認も可能です。
DRESSA
重量32gのコンパクトな機体に、ホワイト・イエロー・マゼンダ・ブルー・ライムグリーンのボディカバーが付属したセット商品です。
気分や好みに合わせてボディの色を変えることができる、新感覚のドレスアップドローンとなっています。
可愛らしい外見とは裏腹に、8分以上の連続フライトが可能というパワフルな性能を併せ持っており、高度維持機能により初心者や子供も簡単に操縦できます。
プロポのスイッチを押せばその場で360°回転するフリップモードも搭載しており、高度な操縦技術がなくてもアクロバット飛行を楽しむことができることもポイントです。
国産(日本製)産業用ドローンの主なメーカーと主な機種
国内の主な産業用ドローンメーカーとしては、以下の5社があります。
- SONY
- TEAD
- ヤマハ発動機
- ACSL
- PRO DRONE
各メーカーの特徴や、主な機種について詳しくご紹介いたします。
SONY
東京都港区に本社を構える総合電機メーカー「SONY」は、ほとんどの方が一度はその名を耳にしたこともあるのではないでしょうか。
音楽プレイヤーやカメラ、ゲーム機などが特に有名ですが、2021年11月にはSONY初となるドローン「Airpeak S1」の出荷が開始されました。
長年築き上げてきた高度なテクノロジーの結晶ともいえるドローンの誕生を機に、国内ドローン産業を盛り上げる一因としても注目が集まっています。
Airpeak S1
SONYグループのAIロボティクスビジネスグループが開発を手掛けた「Airpeak S1」は、最高時速90kmの飛行に加えて最大20m/sの耐風性能を備えているという運動性能の高さが特徴的です。
SONY製イメージセンサーを内蔵したステレオカメラや赤外線測距センサーを採用しており、GNSS(全球測位衛星システム)の電波が届かない屋内でも安定した飛行を実現できます。
TEAD
TEADは様々なビジネス分野における用途に合わせてカスタマイズした業務用マルチコプターを製作している、国内ドローンメーカーです。
農薬散布用ドローンをはじめ、映像制作やサーモカメラ付きドローンなど幅広い用途に対応してドローンを提供しています。
さらにドローンパイロット育成事業にも取り組んでおり、一般社団法人農林水産航空協会指定の教習施設である「TEAD教習所」も運営しています。
TA408-F
自動飛行モードを搭載した「TA408-F」は、積載した農薬を圃場へ自動的に散布してくれる農薬散布ドローンです。
機体に搭載されたカメラにより、付属の送信機ディスプレイから前方の視界をリアルタイムに確認することができるという安全管理のしやすさも特長です。
また、農薬使用量・バッテリー状態・作業経路・散布実績の確認など各種ステータスもディスプレイに表示されます。
自動発着機能や高度維持機能、飛行速度維持機能など各種安全機能も搭載されており、ドローン初心者の方や操縦のブランクがある方にも安心です。
高輝度LEDの採用により、早朝の暗い時間帯でも機体を見失わず飛行させることができます。
AC101
「AC101」は、軽量・コンパクト・低燃費をコンセプトに開発された農業用ドローンです。
機体重量は7.3kgとなっており、10kgを超えることも珍しくない産業用ドローンとしては軽量と言えます。
女性でも1人で運搬可能な機体重量、そして各種備品も軽トラ1台で運搬できるコンパクトな仕様で、非常に扱いやすい機種です。
バッテリーは機体上部に配置しているため、腰を下ろさずに交換できることも嬉しいポイントです。
別売りのタンクも揃えれば粒剤を散布することもでき、農業における様々なシーンで活躍する汎用性の高さを備えています。
ヤマハ発動機
バイクや楽器でおなじみの国内メーカー「ヤマハ発動機」ですが、クルーザーや除雪機、農機など様々な事業に対応した機器を開発・製造しています。
ヤマハ発動機は世界で初めて農薬散布ドローンを完成させたメーカーとしても知られており、現在もなお農薬散布に特化したドローンの開発を続けています。
日本国内でドローンを取り入れている農家の大半がヤマハ発動機の製品を使用しており、その信頼性も折り紙つきです。
YMR-08
YMR-08は、ヤマハの産業用無人ヘリコプターの開発を通じて培われたノウハウに基づき開発された農業用ドローンです。
独自に開発した「二重反転ローター」を採用しており、液剤の力強いダウンウォッシュを可能としています。
これにより、移動しながら作物の株本までしっかりと液剤を散布することができます。
ノーマルモード・自動クルーズコントロールモード・自動ターンアシストモードという3つの飛行モードを搭載していることも特徴です。
ノーマルモードでは完全なマニュアル操作、自動クルーズコントロールモードはスピードを維持しながらの自動飛行、自動ターンアシストモードは一定間隔でターンと往復を繰り返す自動飛行モードとなっています。
YMR-Ⅱ
ヤマハ製ドローンとしてはYMR-08から約5年ぶりとなる、2023年春に発売された新型の産業用ドローンです。
YMR-Ⅱは農薬散布はもちろん、画像撮影からデータ連係まで1台で完結可能な高い性能を備えています。
機体の取得データ流出や乗っ取りなど、サイバー攻撃から生産者のリソースを守るために強力なセキュリティ機能を搭載しており、機体との通信は「AES256」による暗号化通信を採用していることも特徴です。
6枚の回転翼とボックスフレーム構造の採用により、強風にも強く高い安定性を発揮します。
ACSL
ACSLは、ドローン専業メーカーとして世界初の上場企業になったことで知られている日本企業です。
ACSLの大きな特徴は、ドローンの制御を担うフライトコントローラーはすべて自社で開発している点です。
多岐にわたる用途に応じて柔軟なカスタマイズを可能とし、あらゆる産業分野のニーズを満たすドローンの数々を販売しています。
さらに日本郵便など外部と積極的に連携しながら、多数の飛行実験を行っている点も特筆すべきポイントです。
小型空撮ドローン(SOTEN)
民間企業だけでなく、警察庁や消防庁などの官公庁にも配備された実績を持つ産業用ドローン「蒼天」に改良が実施された機種です。
ISO15408(コンピューターセキュリティのための国際規格)に基づくセキュリティ対策を施しており、データの漏えい・抜き取りの防止や機体の乗っ取りへの優れた耐性を実現しています。
LTE通信を活用してインターネットを介した操縦も可能となっており、山間地やプラント内などの遠隔地においても「自動飛行による補助者なし目視外飛行(レベル3)」を実施できる点も特徴です。
PF2-AE 物流
「蒼天」で開発されたセキュアなシステムを搭載した、物流向けドローンです。
LET通信を用いた映像伝送やテレメトリ伝送により、見通しの悪い場所でも通信を確保しながら目視外飛行を実施することができます。
物流機構や輸送箱が標準搭載されていることが特徴で、内容物量1.5kgの搬送に対応しています。
PF2-AE Survey レーザー測量
PF2-AE Surveyは、国産のセキュアなドローン「PF2」にYellowScan社製LiDARを搭載したレーザー測量特化の機種です。
RGBカメラも搭載しており、点群の色付けも可能としています。
LiDARは「Mapper+」と「Surveyor Ultra」の2種類が用意されており、用途に応じて選ぶことができます。
物流専用ドローン(AirTruck)
平坦なボディに6つのアーム・プロペラが搭載された、特徴的な形状の物流専用ドローンです。
「少子高齢化・過疎化が進む地域での日常的な買い物が困難になっている」「物流業界の人手不足が深刻化している」などの課題解決に向けて開発されました。
「4D GRAVITY」による重心制御技術を採用し、運搬中の荷物の揺れを抑えながら安定的な飛行を実現しています。
ペイロードは5kgと従来機よりも大幅に向上しており、大型の荷物や複数の荷物も安全に運ぶことができます。
荷物は平坦なボディの上に搭載する仕様となっており、どの利用者も簡単に扱える点も特徴です。
PRO DRONE
愛知県名古屋市に本社を構える「PRO DRONE」は2015年設立と比較的新しいメーカーですが、国内を代表するドローンメーカーのひとつです。
災害救助用ドローンや運搬用ドローンの開発や実証実験を盛んに行っており、新規性・有用性のあるドローンを生み出しています。
防水機能や自立飛行機能を搭載したモデルや、折りたたみで持ち運びがしやすいモデルなどを取りそろえた「PDシリーズ」が代表的製品です。
PD4-XA1
汎用性の高いズームカメラを機体前面に搭載し、前方視界を広く確保した産業用ドローンです。
片手で持ち運べるサイズ感とバッテリー交換がしやすい設計で、点検や警備など様々なシーンに活躍します。
PD4B-M
小型レーザー測量機用ドローンのPD4B-Mは、最大10kgのペイロードで5kgの小型レーザー搭載時には30分の飛行が可能です。
ペイロード最大30kgを誇るフラッグシップモデルPD6Bと比べて搭載可能な装備の幅は狭まりますが、その分電子デバイスなどの点数が減ったことで導入しやすい価格も実現しています。
測量技術者を含めた開発陣が試験飛行を実施しており、測量用ドローンとしての使いやすさも追求。
軸間は130~150mm、12mmのパイプで測量機を固定することができます。
空力特性の優れたクローズドボディにより耐風性と防水性を兼ね備え、全天候に対応しています。
PD4-AW-AQ
PD4-AW-AQ最大の特徴は、フロートを搭載した防水仕様の機体により上空への飛行だけでなく水面に浮きながらの運航も可能という点です。
これにより、ダム点検や漁場の管理、サンゴ礁の生育観察など多岐にわたる業務で利用することができます。
機体が撮影中の水中映像は伝送装置で手元のモニターへリアルタイムで映し出される他、オプションのセンサーを使えば水深調査などの水際業務にも活用できるドローンです。
PD6B-Type3
国内で初めてドローン配送事業の本格運用に採用された、物流特化のドローンです。
2020年に長野県伊那市の商品配達サービス「ゆうあいマーケット」の配送ドローンとして提供され、現在も毎日の配送事業にて活用されています。
高出力モーターと大径プロペラの組み合わせで最大30kgのペイロードを実現し、大型の荷物も難なく運搬できるスペックを備えています。
リーグルレーザーや超高精細カメラなどの装備も搭載可能なため、物流だけでなく測量や点検業務でも活躍します。
マゼックス
マゼックスは2009年の創業以来、農林業向けドローンを中心に開発・製造を手掛けている日本企業です。
国内トップクラスのコストパフォーマンスを誇る農薬散布ドローン「飛助」シリーズが主力製品ですが、他にも林業用運搬ドローンや延線・架線用ドローンも展開しています。
いずれも価格・操作性という面で導入がしやすく、機体に関する相談や申請手続きなどのサポートも受けることができ、安心感のあるメーカーです。
飛助DX
マゼックスにおいて代表的なドローンが、液剤9L/粒剤10kgまでの農薬散布が可能な飛助DXです。
1箇所あたり50a以下であることも多い日本の圃場で効率的な運用を可能とするため、バッテリー容量・構成や推進部品の設計、フレームの軽量化を実施。
これにより、1つのバッテリーで最大16L=2haを薬剤散布できる性能を実現しました。
また、4枚プロペラのクアッドコプターとすることで薬剤が風に流れにくくなり、作物の葉裏から根元まで均一に散布することができます。
飛助mini
飛助DXよりも小型の機種で、液剤7L/粒剤7kgまでの農薬散布が可能な農業用ドローンです。
農業用ドローンとしてはかなりの低価格といえる、50万円台で導入することができます。
1回のフライトで最大87.5aまで連続で農薬を散布することができるうえに、大型機と同等の散布幅も確保されているためUターン回数も抑えられます。
森飛morito15/森飛morito25
「森飛morito」シリーズは林業用運搬ドローンとして開発された機種で、最大ペイロードは15kg・25kgのどちらかを選ぶことができます。
人が歩けば往復80分程度かかる山(水平距離400m/高低差150m)でも、森飛なら5分で移動することができ、運搬作業の効率化と人件費の削減にもつながります。
2つの送信機で1台の森飛を操縦できる点も特徴です。
自動飛行や微調整が難しい現場でも、出発地点と目的地点に2人のオペレーターを配置すれば、スムーズな運航が可能となります。
延助Ⅳ
国内初の電設用ドローンとして開発された延助Ⅳは、延線・架線・索道などの作業を実施するための機種です。
2つの送信機で1台の機体を操縦する2オペレーション構造を標準装備しており、作業時間の大幅な短縮につなげます。
また、従来の電設に関わる作業では空撮用ドローンが利用されていましたが、突風が吹くと機体が流されるため、安全性の確保が困難とされていました。
また、牽引に軽量の紐などを利用する必要があり、空中や樹木に絡まるトラブルも発生する可能性があります。
延助Ⅳなら最大150N(15kg)の力で牽引することができ、頑丈なロープも使えます。
国産(日本製)ドローンの今後
世界のドローン市場において、国産ドローンはまだまだ発展途上の段階です。
日本国内でもドローンの社会実装への動きが本格化してきているため、これからの国産ドローンの進歩は注目するべきと言えます。
特に物流や農業といった様々な産業分野に特化した高性能なドローン開発の動きに関しては、今後も目が離せません。
なお、インプレス総合研究所が発表した「ドローンビジネス調査報告書2023」によると、国内のドローンビジネス市場規模は2028年度には9,340億円にまでのぼると言われています。
市場の拡大に合わせ、ドローン事業に参入する国内企業はより増えていくことでしょう。
参考:ドローンビジネス調査報告書2023 | インプレス総合研究所
自衛隊でも導入?国産ドローンが活躍している分野とは
国内でも数々の企業が産業用ドローンを開発していますが、それと同時に国産ドローンの活用事例も増えつつあります。
現状として、国産ドローンが用いられている主な産業分野は以下の通りです。
- 空撮
- 測量
- 点検(家屋、インフラ、橋梁など)
- 警備
- 物流
- 自衛隊による災害救助
国内の各メーカーは日本企業ならではの技術力を駆使し、セキュリティ性が高く優れた飛行性能を発揮するドローンを生み出し続けています。
技術力のさらなる発展、そして202212月に施行された改正航空法によるレベル4飛行の解禁も追い風となり、国産ドローンの活躍の場が広がる未来に期待ができます。
まとめ
中国の「DJI」を中心に数々の海外メーカーがドローン業界を席巻しています。
しかしながら、品質の高さと安心のサポート力を武器とする国産ドローンも負けてはいません。
市場参入のタイミングは後れを取りましたが、国内におけるドローンの社会実装に向けた動きは今後も更に活発化していきます。
それに伴い、国産ドローンの市場規模は更なる成長を遂げていくと期待したいものです。