現在流通しているドローンには、100g未満の小型で軽量な機種もあれば、1kgをはるかに超える大型な機種もあるため、用途に適したものを選ぶ必要があります。
しかし、小型ドローンは趣味目的の空撮や操縦練習に適している一方で、大型ドローンはどんな用途に適しているのか気になりますよね。
今回は大型ドローンについて、主な用途や価格相場と共に詳しく解説します。
人気の大型ドローン機種もご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
大型ドローンとは
大型ドローンは主に機体重量が1kg以上かつ産業目的で開発された高性能な機体のことを指します。
一口に「ドローン」と言っても、その形状やサイズ、重量は機種によって様々で、サイズとしては小型・中型・大型の3種類に分けられますが、明確な定義は決まっていません。
ただ、一般的には100g未満で手のひらに収まるサイズ感の機体を「小型ドローン」、100g~500g程度で小さすぎずとも持ち運びやすさが保たれたサイズ感の機体を「中型ドローン」と呼ぶことが多いです。
どちらも趣味目的の空撮に適している他、中型は高性能なモデルが多く映像制作や点検などの業務にも十分活用できます。
そして、1kg以上の大型ドローンでは、映画の撮影・配送・農薬散布などの業務活用を前提としており、用途に応じてカメラや農薬タンクなどを積載できます。
小型・中型ドローンよりも飛行は安定していますが、機敏な動きを苦手とするため狭所での飛行には向いていません。
最大積載200kgの超大型ドローンもある
多様な産業分野での活躍が期待されている大型ドローンは日々進化を遂げており、重い荷物も積載できるよう耐久性やパワーに優れた機体の数々が登場しています。
その中でも大きな話題となったのが、ドイツのベンチャー企業Volocopter社と世界最大級の農機メーカーDeere社が開発した「VoloDrone」です。
VoloDroneは最大200kgの積載が可能な農業用大型ドローンで、最大飛行距離40km・最高時速110kmと圧倒的な動力性能を誇ります。
農業用の薬剤タンクだけでなく、コンテナや災害救助に使う道具などの運搬も望めるため幅広い分野での活用が見込まれます。
さらに、国内でも三菱重工が積載量200kgのドローンを開発中です。
ドローン=小型のイメージが強いですが、このように超大型ドローンの開発も積極的に行われています。
人が乗れる大型ドローンもあるドローンと言えば無人航空機というイメージが強いですが、実は人員輸送が可能な機体も存在します。
「自動操縦装置を備えた電動式の機体」という点が特徴で、乗員を必要としない次世代モビリティとして世界各国で開発が進んでいます。
国内でも政府と企業が一体となって有人ドローンの社会実装に向けて積極的に取り組んでおり、2023年度には有人ドローンを活用した事業の開始が目標となっています。
有人ドローンの詳細や機種などについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
大型ドローンの主な用途
大型ドローンは、具体的にどのような分野で活用されているのかを解説します。
大型ドローンの主な用途を知っていきましょう。
空撮
ドローンによる空撮であれば、機体にカメラが備わった中型モデルでも十分なスペックを備えています。
しかし、一眼レフカメラやシネマカメラなど、大きく重量があるカメラでの撮影が必要な場合は大型ドローンに積載するケースもあります。
特に、映画やテレビCM、プロモーションムービーなど高いクオリティが求められる映像制作の際に大型ドローンが使われることが多いです。
その一方で、基本的にはカメラ機材の知識や撮影技術を身に付けたプロ仕様となっているため、個人的な趣味で行う空撮に活用することは適していません。
災害救助
ドローンは遠隔操作や自動操縦による飛行が可能なため、災害現場に人が立ち入らなくても被害状況を調査することが可能です。
具体的には、機体に搭載したカメラで現場の状況を撮影のうえリアルタイムで映像を伝送し、調査員がモニターから状況を把握することができます。
他にも、機体に消火剤を搭載して火災現場の消火活動を進めたり、赤外線カメラを搭載して災害現場から逃げ遅れた被災者を捜索したりなどの活用が可能です。
また、大型ドローンなら大型の物資を運搬することもできるため、陸路が遮断された被災地へ救援物資を運べるというメリットがあります。
物流分野
インターネット通販の需要が高まる近年、物流業界は人員不足や交通渋滞の慢性化、さらに再配達に伴う時間・労力の消費という問題を抱えています。
しかし、多くの労働力を確保したところで、輸送トラックの往来が増えればCO2排出に伴う環境負荷への負担が懸念されます。
上記のような問題を解決するべく、物流の分野でもドローンが導入されつつあります。
ドローンは電動かつ上空を移動するため、交通渋滞の影響を受けず地球環境への負荷も抑えることが可能です。
自動操縦による運用も可能なので、人手不足をカバーできるというメリットもあります。
国内では、すでに数多くの企業が物流ドローンの開発やサービスの実証実験に取り組んでいます。
しかし、その一方で法規制や人や荷物の損害リスクを防ぐ環境整備などの課題が立ちはだかっているため、物流分野におけるドローンの本格的な実装はまだ時間がかかるでしょう。
農業
農業分野では、すでにドローンの活用が広がりつつあります。
代表的な活用方法としては農薬散布で、ドローンを飛ばしながら機体に搭載したタンクから薬剤をミスト状に散布します。
従来は無人ヘリコプターや噴射器による農薬散布が一般的でしたが、無人ヘリコプターは運用コストが高く、噴射器は背負って使う必要があるため体に負担がかかることが難点でした。
一方、ドローンであればヘリコプターよりも比較的低コストでの運用が可能かつ、操縦者は遠隔操作で体に負担をかけず農薬を散布することができます。
また、今後の技術開発における進化しだいでは肥料散布や播種、圃場・作物のモニタリング、自動操縦による農薬散布など、より広範で便利な存在になっていきます。
高齢化が進む日本の農業分野において、作業に伴う肉体的負担の軽減につながるドローンは需要が高まり続けるでしょう。
エンターテイメント
大型ドローンの存在は産業分野だけでなく、エンターテイメントの分野でも浸透し始めています。
2022年8月には、大型ドローンを使ったエンタメ企画を考えるアイデアソンが開催されていました。
空撮や点検など産業分野を中心に活躍している大型ドローンの可能性が、今後もさらに広がることでしょう。
他にも、近年はサッカー・ラグビー・スノーボード・スノーモービルなど様々なスポーツ中継にドローンが活用されています。
スピード感があり人の手による撮影ではカメラが追いつかないスポーツでも、上空を飛ぶドローンであれば選手全員の様子をカメラに収めることが可能です。
空飛ぶクルマ
空飛ぶクルマは、ドローンに人を乗せてタクシーのような用途で活用するものです。
渋滞などの影響を受けずスムーズな移動を実現する空飛ぶクルマは、まさに未来の乗り物といえるでしょう。
クルマが空を飛ぶのはまだ先と思っている人も多いですが、大阪・関西万博では空飛ぶクルマの計画が行われています。
さらに、SkyDrive社では人を乗せて飛行するドローンが開発されています。
土木建築
土木建築の分野では主に資材の運搬などの用途で大型ドローンが活用されることが期待されています。
トラックなどでの移動が困難な現場でも、柔軟かつスムーズに資材運搬ができますし、運ぶだけでなく具体的な作業をドローンで行う活用法もあります。
人の手を使わずに効率的な資材運搬や作業ができますし、作業員のリスクや負担の軽減に繋げられます。
林業
林業では苗木や資材の運搬に大型ドローンが用いられています。
トラックなどが入れない山奥で伐採した苗木や資材でも、ドローンを使うことでスムーズな運搬が可能です。
高低差がある場所や急斜面での資材の運搬は作業員の危険リスクが高くなるのですが、大型ドローンを使えばこれらの負担も軽くできます。
軍事
ドローンは軍事利用を目的に開発された機体もあり、海外の紛争地域では敵地の偵察や攻撃にドローンが使われている事例も存在します。
ドローンには人が乗って操縦する戦闘機とは違い、操縦者の命を危険にさらすことなく戦場での活動が可能になるという点が最大のメリットです。
また、戦闘機よりも目立ちにくく、防衛システムから探知されずに攻撃対象の施設へ侵入することもできます。
しかし、その一方で戦闘とは無関係の民間人に向けて誤爆し、複数の死傷者を出してしまった事例も存在します。
操縦者にとって安全かつ低コストでの運用が可能な軍事用ドローンは、今後も世界各国で開発が続くことでしょう。
せめてもの対策として、無関係な人々を傷つけない機体を開発できるよう技術の進歩を望むばかりです。
大型ドローンは購入できる?価格は?
小型・中型ドローンについては、ドローン専門店だけでなく通販サイトや家電量販店などで誰でも気軽に購入が可能です。
一方で大型ドローンを購入する場合、どのようにして買い求めれば良いのでしょうか。
ここでは大型ドローンの購入について、価格相場と共に解説します。
大型ドローンは個人でも購入可能
大型ドローンは産業用途の機体として開発されたものが多く、操縦には一般的な小型・中型ドローンよりもはるかに高い技術レベルが求められます。
そのため、個人が使用するケースは非常に少ないですが、購入すること自体は不可能ではありません。
機体価格は高額
大型ドローンは特定の用途に支障をきたすことがないよう、高性能な仕様となっている機種がほとんどです。
そのため、価格も相対的に高く、一般的な小型・中型ドローンよりも購入は難しいと言えます。
ただし、長期的に使用しない場合は「ドローンレンタル」を利用するという手もあります。
決められた日数だけドローンをレンタルすれば、購入よりも低コストでドローンを導入できます。
なお、レンタル業者によってレンタルできるドローンの機種が変わるだけでなく、法人向けなのか個人向けなのか、どちらも利用可能なのか…なども異なります。
個人で大型ドローンをレンタルしたい場合、事前にレンタル業者のホームページを確認したり問い合わせてください。
業務用大型ドローンの価格相場
50万~300万円前後が相場となっており、通常販売ではなくメーカー見積もりを受けて購入というケースがほとんどです。
高額ではありますが、基本的にドローンの機体性能は価格と比例するため、価格の安さだけを重視して機体を導入すると効率よく運用することが困難となり、かえってコストパフォーマンスが悪くなりかねません。
さらに、機能性に優れたドローンを導入すれば、他の航空機よりも比較的低コストでの運用が可能です。
総合的なランニングコストを考えると、ある程度の初期費用をかけて機能性・安全性ともに優れたドローンを購入した方が賢明といえます。
運搬用大型ドローンは車1台分の価格になることも
産業用大型ドローンの具体的な価格は、どんな業務に適した性能かによって異なります。
例えば、重量物の運搬が可能な大型ドローンは相応の耐久性と機能性を兼ね備える必要があるため、最大で300万円程度かかります。
高性能なドローンほど高額になりやすく、機種によっては軽自動車と同等の価格がつくこともあります。
大型ドローンの人気機種を紹介
ドローンについて産業分野における需要の高まりと合わせて、大型ドローンも多くの機種が登場しています。
ここでは、特に人気度・注目度が高い大型ドローンの機種をご紹介いたします。
DJI Matrice 600 Pro
サイズ | 1668 mm × 1518 mm × 727 mm |
重量 | 9.5 kg |
最大離陸重量 | 15.5 kg |
飛行時間 | 最大38分 |
DJIの産業用ドローンシリーズ「Matrice600」の上位グレードにあたる機種です。
Matrice600は6つのローターを搭載したヘキサコプター型のドローンであり、最大で6kgまでの撮影機材などが積載可能です。
同じくDJIが販売している大型3軸ジンバル「Ronin-MX」の装着に対応しており、DJIアプリとの連携が可能なことに加え、カメラの安定性をより向上させることができます。
また、GPSが届かない場所でも安定感のある飛行をサポートする「A3フライトコントローラー」を採用していることも特徴です。
産業用の大型ドローンとして、思わぬ墜落事故を防ぐための安全対策も抜かりなく施されています。
そんな、Matrice600の機能をすべて継承しつつ、さらに飛行性能を向上させたモデルがMatrice600 Proです。
フライトコントローラーは「A3 Proフライトコントローラー」に変更となり、より精密な制御で飛行の安定性が向上しています。
冗長構成IMUには防振ボールが加わり、振動とノイズを低減する性能も強化されました。
機体にはアームとアンテナがあらかじめ組み込まれており、セットアップ時間が短縮したことに加え追加モジュールの取り付けも容易です。
Sony Airpeak S1
サイズ | 526.8mm x 591.9mm x 511.8mm |
重量 | 約3.1kg |
最大離陸重量 | 約2.5kg |
飛行時間 | 最大30分 |
日本の大手総合電機メーカーであるSonyが開発したドローンとして、大きな話題となったプロ向け大型空撮ドローンです。
Sony製で8K撮影が可能な一眼レフカメラ「aシリーズ」を搭載しており、ダイナミックな撮影表現ができます。
さらに、プロペラはAirpeak S1専用に開発されており、低回転で浮力を得るための空力特性を重要視しています。
ペイロード・障害物ブレーキ機能無効時で最高時速90kmに及ぶ優れた飛行性能も魅力です。
また、クイックリリース機構を採用しているため簡単に着脱が可能です。
他にも小型・軽量・高トルクなブラシレスモーターや飛行制御システムも独自開発し、他の空撮ドローンを圧倒するエネルギー効率や耐風性能も兼ね備えています。
ALIGN RM48001XT M480L
サイズ | 590mm × 484mm × 430mm |
重量 | 2.7kg |
最大離陸重量 | 不明 |
飛行時間 | 最大10分 |
有名なラジコンヘリメーカーであるALIGNの代表的な空撮ドローンです。
独自に開発された折りたたみ式のプロペラは、パワフルな飛行を可能とする大きさなのですが、ノイズが小さいという特徴があります。
ペイロードが大きいため、カメラをはじめ搭載可能な撮影機材が幅広いという点も魅力です。
GPS機能を搭載しており、飛行中に通信が途絶えた場合は自動的にホームポイントへ帰還する安心設計となっています。
GRIFF 135
サイズ | 2405×2485×525mm |
重量 | 約70kg |
最大離陸重量 | 約100kg |
飛行時間 | 最大30分 |
株式会社Drone Future Aviationから販売されている、世界最大級の大型ドローンです。
ノルウェーの大手ドローンメーカーGRIFFが製造している機体で、約30kgの圧倒的なペイロードを誇ります。
機体は密閉されたアルミニウム構造で、バッテリーが接続されてない場合にもホコリや水しぶきなどから電気部品を保護していることも特徴です。
衝撃吸収機能を内蔵した着陸装置も搭載されており、硬い路地で着陸しても機体に傷が付くことを防ぎます。
ペイロードを活かして建築・土木・災害現場における資材輸送の用途を想定して開発されましたが、アタッチメントを装着すれば農薬散布ドローンとしての活用も可能です。
DJI Inspire 2
サイズ | ー |
重量 | 3.4kg |
最大離陸重量 | 4.2kg |
飛行時間 | 最大27分 |
DJIにおけるプロ仕様の空撮ドローンとして人気なシリーズが「Inspire」の現行モデルです。
カメラは内蔵されていないため、高性能な撮影機材を搭載して空撮に臨むことができます。
搭載に対応しているカメラは「ZENMUSE X4S」「ZENMUSE X5S」「ZENMUSE X7」の3種類で、最大6K画質での撮影が可能です。
停止状態から5秒で時速80kmの加速が可能かつ最高時速は94km、連続飛行可能時間は最大27分と驚異的な動力性能を誇ります。
Inspire 1と比べてバッテリーがアップグレードされており、冬山など気温が著しく低い場所でも自己発熱型システムにより性能を最適化できる点も強みです。
デュアルバッテリーなため、片方のバッテリーに不具合が生じた場合はもう片方のバッテリーで飛行を維持しつつ、安全に着陸します。
また、「フライトオートノミー」という障害物センサーを搭載しており、前方なら最大30m先の障害物を検知することが可能です。(最大時速54kmまで対応)
上部の赤外線センサーは5mまで障害物の検知が可能で、狭所でも安全に飛行させることができます。
YOROI 12D1750F
サイズ | 1853mm × 1625mm × 805mm |
重量 | 30kg |
最大離陸重量 | 140kg |
飛行時間 | 最大17分 |
サイトテック株式会社が開発した大型産業用ドローンです。
最大ペイロードは50kgと業界トップクラスの積載量でありながら、機体はカーボンシェル採用で軽量かつ優れた防水性・防塵性を兼ね備えています。
アーム部分は折りたたみが可能なので、収納や持ち運びも容易な点が魅力です。
また、2つの送信機による操縦に対応しており、片方のオペレーターから接続を切り替えれば別の場所に配置されたオペレーターと操縦を交代できることも大きな特徴です。
山間部など通信・電波状況が悪い場所で万が一制御不能になっても、片方のオペレーターと送信機で迅速に対応できます。
運搬用リールとボックス・レーザー測量機・特殊カメラ・農薬散布機など多種多様なアタッチメントが用意されており、幅広い業務に導入可能です。
積載量100kg以上の超大型ドローンの主な機種
次に積載量が100kg以上の超大型ドローンを紹介します。
サイズがより大きくなることで機能や用途がどのように変わるのか詳しくみていきましょう。
アラセ・アイザワ・アエロスパシアル「AZ-1000」
サイズ | 1000mm × 3020mm × 2860mm |
重量 | 110kg |
最大離陸重量 | 310kg |
飛行時間 | 最大6時間 |
AZ-1000は、アイザワグループの無人航空機開発会社でもあるアラセ・アイザワ・アエロスパシアルが開発した機体です。
最大離陸重量は310kgのパワフルなスペックを有している上に、飛行時間が最大6時間と長時間の航行を可能にしています。
さらに、低燃費・無振動といった高い技術力による機能性の高さも備えています。
驚異的な航行時間によって防災目的のライブカメラなど、さまざまなプロジェクトで活用されています。
FlyingBasket「FB3」
サイズ | 1600mm × 1600mm x 412mm |
重量 | 70 kg |
最大離陸重量 | 170kg |
飛行時間 | – |
FlyingBasketが開発した「FB3」は、積載重量100gを実現した重量貨物ドローンです。
高重量の貨物の積載を可能にすることで汎用的な活用が期待できる上に、運搬できる貨物の形状や寸法も柔軟に選べるのが特徴です。
パワフルな運搬性能がありながらも機体はコンパクトで車に積んでの移動も容易です。
大型ドローンを飛行させる上でのポイントを解説様々な分野での活躍に期待されている大型ドローンですが、導入する前にドローンに関する法規制を理解しておくことが大切です。
飛行場所・飛行方法の規制
ドローンは主に「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」という法律で、以下の場所・方法での飛行が禁止されています。
飛行場所(航空法) | ・空港の敷地内や周辺 ・150m以上の上空 ・人口密集地・緊急用務空域 |
飛行場所(小型無人機等飛行禁止法) | ・国の重要施設の敷地や区域の上空 ・国の重要施設の周囲おおむね300mの上空 |
飛行方法(航空法) | ・夜間の飛行 ・目視外の飛行 ・人や建物などに対し30m以上近づきながらの飛行 ・催し場所での飛行 ・危険物(火薬類や毒物類など)を輸送する飛行 ・ドローンから物件を投下する行為 |
なお、航空法で禁止されている場所・方法に該当する場合は、国土交通大臣へ許可申請を得ることで飛行が可能になります。
小型無人機等飛行禁止法の規制も、施設の管理者や所有者本人から許可を得た場合は適用されませんが、都道府県公安委員会等への通報が必要です。
上記の法律以外にも、飛行場所や飛行方法によっては河川法・民法・道路交通法・市区町村条例などに抵触する恐れがあるため、事前確認は必ず行いましょう。
大型ドローンは機体登録が必要
航空法では、重量が100g以上のドローンを飛行させる場合「機体登録」が必要です。
ドローンの所有者に関する情報や機体情報を国土交通省に申請し、個別IDが交付されたら登録完了となります。
もしも登録していない機体を飛行させた場合、50万円以下の罰金または1年以下の懲役が科されるので注意してください。
重量100g未満の大型ドローンは存在しないため、機体登録が絶対に必要なことを覚えておきましょう。
大型ドローンの免許について
基本的に、ドローンは機種に関わらず無免許での操縦が可能です。
ただし、2022年12月5日よりドローンの国家資格制度が新設され、資格取得者は「第3者がいる上空での飛行」や「目視外での飛行」が国土交通大臣の許可申なしでもできるようになりました。
業務で大型ドローンを活用する予定の方は、許可申請の手間を削減するためにも受験を検討しておくと良いでしょう。
また、機体重量25kg以上の機体については、通常の国家資格を取得するのに加えて「限定変更」が必要となります。
限定変更を行うと25kg以上の機体でも上記に該当する飛行も許可申請なしでできます。
国家資格の取得は国から認定を受けた講習機関(ドローンスクール)の講習を受講した上で受験するか、独学で受験するかを選ぶことが可能です。
しかし、ドローンの飛行には法規制や機体の仕組みといった座学だけでなく、安全に操縦するための技術も求められます。
そのため、基礎知識・技術をしっかりと身に付けて試験に臨むなら、あらかじめドローンスクールを受講するのがおすすめです。
大型ドローンに関するよくある質問
大型ドローンに関するよくある質問をまとめました。
ここまでの内容で疑問が思い浮かんだ人は参考にしてみてください。
小型・普通ドローンと大型ドローンで飛行規制は異なる?
ドローンの大きさによって飛行規制が異なることはありません。
基本的にルールは同じで国家資格を取得して許可申請なしで特定飛行を行う場合、25kg以上の機体については通常の国家資格に加えて限定変更を行う必要があります。
また、農薬散布など大型ドローンの用途によっては規制の対象になるケースもあります。
大型ドローンの飛行時間はどれぐらい?
機体によって差はありますが、平均的な飛行時間は10〜30分程度で、一般的なサイズのドローンと変わりません。
大型ドローンはレンタルで使える?
大型ドローンをレンタルで提供しているサービスは数多くあります。
1回のみの利用など、飛行回数が少ない場合にはレンタルの方がお得です。
まとめ
「大型ドローン」の明確な定義はありませんが、一般的に重量が1kgかつ産業用に開発された高性能なドローンのことを指す場合が多いです。
空撮だけでなく災害救助・物流・農業・エンターテイメントなど幅広い分野で活用されており、様々な企業から分野ごとに特化した大型ドローンの新機種が販売されています。
業務の効率化や人手不足の補填といったメリットがある大型ドローンですが、実際に導入する際は法規制について十分に理解を深める必要があります。
基礎知識・技術ともに独学では身に付けることが難しいため、国家試験の取得を見据えてドローンスクールを受講しておくといいでしょう。