ドローン自作には必須!モーターの仕組みと選び方を詳しく解説

更新日: 2023.05.31 公開日: 2022.09.13
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近年のドローンは数多くの完成品が出回っていますが、自分でパーツを集めて自作することもまたドローンにおける楽しみ方のひとつです。

ドローンに必要なパーツの中でも、「モーター」はドローンの飛行性能に大きく影響します。

そのためよく考えて選ぶことが大切ですが、初めてドローンを自作する方は具体的にどう選べばいいのか分からない方が多いことでしょう。

今回は自作ドローンにおけるモーターの仕組みや種類と共に、選び方を詳しく解説いたします。

この記事でわかること
  • ドローンのモーターの仕組み
  • ドローンのモーターの種類
  • モーターの選び方
目次

ドローンのモーターの仕組みとは

そもそもドローンは、時計回りのプロペラと反時計回りのプロペラを対角線上に配置することで上昇し、回転数を調整して上下・左右・前後へと自由に動き回ることができます。

プロペラの動力源となる部分がモーターであり、プロポを介した操作でモーターの回転数を調整すればそれに合わせてプロペラの回転数も変わります。

これにより、ドローンのスピード・高度・方向を調整することが可能です。

そのためモーターはプロペラと同じ数を搭載する必要があります。

ドローンのモータースピードをコントロールするESC

ドローンのモーターは自力で回転数を調整しているわけではなく、「ESC」による制御を受けながら回転しています。

ESCとは、プロポから発信されるスピード・高度・方向の命令をモーターに伝える役割を果たす制御装置です。

ドローンを動かすにはモーターだけでなく、操縦者の指示通りにモーターを回転させるESCも必須なのです。

ドローンのモーターは2種類に分けられる

ドローンに使われるモーターは、大きく分けて以下の2種類があります。

ブラシモーター

ブラシモーターとは、「ブラシ(電極)」と「コミューター(整流子)」が内部についたタイプのモーターです。

ブラシとコミュータの接触により電流を送ることができ、「ステーター(固定子)」が発する磁力でモーターが回転するという仕組みになっています。

ブラシレスモーターよりも比較的安価ですが、使用しているうちにブラシが摩耗するため定期的なメンテナンスが欠かせません。

ブラシレスモーター

ブラシレスモーターとは、その名の通りブラシがないタイプのモーターです。

ブラシと整流子の機能を電子回路に置き換えており、ESCによる指示で回転数を制御することができます。

ブラシモーターよりもパワフルかつ長持ちするため、ドローンにブラシレスモーターを搭載すればスピーディな飛行が可能です。

完成品においても、ブラシレスモーターを搭載している機種が主流となっています。

モーターの選び方

自作ドローンに搭載するモーターは、主に「スペック」「プロペラサイズとの関係」「必要な数」というポイントに注意しながら選ぶことが大切です。

モーターのスペックの見方

ドローンに使われるモーターの場合、スペックとして主に以下のような項目が表記されています。

項目意味
KV値電圧1Vあたりのモーターの回転数(例:KV4500=1Vあたりの回転数は4500)
大きさ(4桁の数字)上2桁がステータ外径、下2桁がステータの厚み
電圧(単位:V)電流を送ろうとする力
使用電圧範囲使用可能な電圧の範囲
適正電圧モーターが性能を発揮するのに最適な電圧の数値
トルク(単位:N・mm)モーターの回転を維持する力
電流(単位:A)電気が流れる量
適正負荷時の消費電流適正電圧で使用した際の消費電流

上記の中でも注目したい数値が、「KV値」と「大きさ」です。

一般的にステータの外形が大きくなるほどトルクの数値も高くなり、操縦に対するレスポンスが向上します。

また、KV値が高いほど馬力が向上するためパワフルな走りが可能になります。

ただし馬力が上がれば必然的に消費電流が増えるため、電力消費効率の悪化に注意が必要です。

モーターとプロペラサイズ・ピッチの関係

ドローンのプロペラには4桁の数字が表記されており、上2桁が高さ、下2桁がピッチを示しています。

例えば「5030」と表記されていたら、そのプロペラはサイズが5.0インチ、ピッチが3.0インチということです。

なお、ピッチはプロペラが1回転したときのひねり具合を示しています。

サイズ・ピッチが大きいと推進力が向上しますが、トルクが弱いモーターでは推進力を得ることができません。

モーターの特徴としてトルクの強さに反比例してKV値が低くなるため、サイズ・ピッチの大きなプロペラほどトルクが強い(KV値が低い)モーターが必要です。

逆にKV値が高いモーターはトルクが弱くなるため、サイズ・ピッチの小さいプロペラと合わせることになります。

必要なモーターの数

ドローンを動かすには、プロペラと同じ数のモーターが必要です。

一般的なドローンの形状はクアッドコプター(プロペラが4つ)なので、ほとんどの場合はモーターを4個用意することになります。

ドローンのモーターに関するよくある質問

最後に、ドローンのモーターに関してよくある質問を回答と一緒にまとめました。

おすすめのモーターはありますか?

モーターの種類としては、「ブラシレスモーター」がおすすめです。

先述の通りブラシやコミューターがないため消耗品が出ず、メンテナンスが不要かつパワフルで長持ちというメリットがあります。

スペックについては空撮用やレース用など、どのようにしてドローンを飛ばしたいのかによって異なります。

例えばカメラを搭載して空撮を楽しんだり、長距離飛行や高高度飛行をしたい場合は浮力と推進力を向上させるためにサイズ・ピッチの大きなプロペラが必要です。

そのため、トルクの強いモーターが適しています。

モーターの交換時期はどれくらいですか?

ブラシモーターとブラシレスモーターは、どちらも寿命があり長期間使用しているとパワーが低下していきます。

使用状況によって寿命は変わるため一概に「どれくらいもつか」を断言することはできませんが、以下のような兆候が見受けられたら早めに交換することをおすすめします。

  • 飛行後のモーター温度が60℃を超えている
  • 操作をしていないのに横へ緩やかに旋回する
  • 水平移動時の傾きが弱い

ブラシレスモーターのおすすめドローンはありますか?

ブラシレスモーター搭載のドローンとしては、以下の機種が人気です。

●Holy Stone HS420

約31gの超軽量型トイドローンです。

付属のプロポだけでなく専用アプリをインストールしたスマホから体感的な操作ができる機能も搭載しており、初心者の方も簡単に操縦することができます。

高速旋回やホバリング、3Dフリップなどの飛行モードも搭載しているため、誰でもアクロバティックな飛行を楽しむことができます。

●DJI MINI 2

同社製「Mavic Mini」の後継モデルであり、大幅に進化したカメラ性能・耐久性・機能性が特徴です。

4K動画撮影に対応している他、200g未満と軽量ながらも非常に安定した操作性でプロ並みのハイクオリティな映像を撮影することができます。

まとめ

ドローンを自作するうえで欠かせないパーツのひとつ、モーター。

飛行性能の良し悪しに直結する重要なパーツなので、種類や他のパーツとの関係性をよく理解したうえで選ぶことが大切です。

モーターはインターネット通販やドローン専門店などに販売されていますが、モーター選びにどうしても迷ってしまう場合は知識を持ったスタッフに相談できる実店舗の利用をおすすめします。

自分が思い描く飛行スタイルに最適なモーターを見つけ、ドローン作りを楽しんでみてください。

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