ドローンは誰でも自作できる?必要なパーツや作り方を解説

更新日: 2023.02.19 公開日: 2023.02.19
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近年は高性能な完成品ドローンが数多く出回っていますが、集めたパーツを組み立てて自分だけのドローンを作ることもまた楽しみのひとつです。

しかしドローンの自作は難易度が高いというイメージがあり、なかなか挑戦できずにいるとう方も多いのではないでしょうか。

今回はドローンの自作は誰にでも可能なのか?というポイントに加え、必要な道具や自作の手順などについて詳しく解説いたします。

この記事でわかること
  • ドローンを自作するメリット
  • 自作する際に知っておくべきドローンの原理
  • ドローンを自作する方法
目次

ドローンを自作することは可能?

電子機器であるドローンは個人で作ることが難しいと思われがちですが、必要なパーツを用意したうえで正しく組み立てれば誰でも自作が可能です。

ドローンユーザーの中には、「これまでに身に付けた電子工作の知識を活かしたい」「レースで勝てるように性能を極めたい」…など、様々な理由でドローン自作に挑戦する方も多くいます。

どんなドローンを作るかにもよりますが、完成品のドローンを購入するよりも費用が安く収まる場合があるというメリットもあります。

ドローンを自作してはいけないという法律はない

ドローンは航空法や小型無人機等飛行禁止法、電波法など様々な法律が関係しています。

しかしドローンの自作そのものは規制されておらず、特別な許可や資格を得ていなくてもすぐに作り始めることが可能です。

ただし、法律や自治体の条例により規制された場所や飛行方法で自作ドローンを飛ばす場合は、既製品と同じく飛行許可申請を行わなければなりません。

申請の際は自作機であることに加え、機体の製造者・名称・最大離陸重量・製造番号の明記が必要です。

ドローンを自作するメリットとは

ドローンは既製品を購入すればすぐにでも飛行ができるにもかかわらず、あえて自作を選ぶべき理由はあるのでしょうか。

ドローンを自作する方は、以下のようなメリットを理由としていることが多いです。

ドローンの費用を抑えられる

企業が事業目的の特殊な機体を開発・製造する場合とは違い、個人が飛行を楽しめるだけのドローンを作るのであれば費用は比較的安く抑えることができます。

特に組み立てに必要なパーツがすべて揃った「自作キット」であれば、その他プロポやバッテリーを買い足したとしても26,000円前後でドローンを完成させることが可能です。

既製品のドローンは価格帯の幅が非常に大きいですが、10万円前後で販売されている機体も珍しくありません。

そのため、自作はドローンを安く入手する手段にもなり得ます。

ただし、1万円以内に収まる安価なトイドローンの場合は既製品を購入した方が安く収まる場合もあります。

トイドローンの自作については単に機体を安く入手したい方よりも、性能にこだわりたい方におすすめです。

他の人と被らないオリジナルのドローンが作れる

オリジナリティのあるドローンを生み出せる点は、自作における最大のメリットです。

目的に応じて重量や速度などのバランスを好きなように調整し、自分の手に最も馴染む操作感の機体で飛行を楽しむことができます。

また、デザインにも個性を出して特別感をプラスすれば、ドローンに対する愛着がより深まります。

ドローンに関する知識が得られる

ドローンを自作するにあたって、最初から電子工作や飛行原理などの知識が必要です。

これらの知識を把握しないまま組み立てても、正常に飛行する機体を作ることはできません。

電子工作の初心者にとっては知識面でハードルの高さを感じる方も多いと思いますが、その場合はまずキットで自作に挑戦してみましょう。

キットでの自作を何度か経験するうちに、ドローンの構造や飛行の仕組みについて少しずつ理解を深めることができます。

このように知識を得ればパーツも1から自分で選べるようになり、一層オリジナリティあふれるドローンを作ることも可能です。

ドローンの知識を身に付けることで、自作機・既製品にかかわらず機体に不具合や故障が生じても原因の特定や修理がしやすくなるというメリットにもつながります。

ドローンの自作パターンは大きく2つ

ドローンを自作する手段は、大きく分けて以下の2通りです。

部品キットを購入して自作する

ドローンの組み立てに必要な部品がすべて揃っており、マニュアルに沿って組み立てる方法です。

部品キットからの自作には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

部品キットは最初から部品を自分で選び、調達する必要がありません。

そのためドローンのパーツに関して知識がない初心者の方や、手軽に自作を楽しみたい方に最適な手段です。

組み立てマニュアルも同梱されているため、自作を楽しむと同時にドローンの知識が身に付いていくというメリットもあります。

また、価格も安価な傾向にあるため既製品や自分ですべてのパーツを購入して自作した場合よりも費用を安く抑えることができます。

デメリット

ドローンにおける部品キットは市場の規模が小さく、既製品と比べて探すことが困難というデメリットがあります。

Amazonや楽天市場では既製品・組立品で絞込検索ができるため、購入の際は活用すると良いでしょう。

なお、海外製の部品キットは説明書ではなく参考写真だけが同梱されているケースも珍しくありません。

組み立て方について理解ができず、万が一部品に不具合があっても自分の組み立て方が悪いのか、キットに不備があるのかの判断が難しくなります。

部品キットを使って自作する場合の費用

部品キットでドローンを自作する場合、以下のアイテムを買い揃える必要があります。

・部品キット(8,000円~1,6000円程度)
・受信機(1,000円~3,000円)
・バッテリー(2,000円~3,000円)
・プロポ(15,000円~20,000円)

上記それぞれの費用を合わせると、最も安くて26,000円程度でドローンを作ることが可能です。

部品をひとつひとつ購入して自作する

自分で1から部品を買い揃えて組み立てるという手段です。

すべての部品を購入して自作する場合、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

パーツがすでに決められている部品キットとは違い、すべてのパーツを自分の好みに合わせて選ぶことができます。

そのため、ある程度ドローンの仕組みや組み立て方を理解しており、自作ドローンの性能をとことん極めたいと思う方には最適な手段です。

また、部品を自由にカスタマイズできるため、自作機の改造やグレードアップがしたくなったときは必要な部品だけを買い揃えれば良いという点もメリットです。

デメリット

部品を1から揃えることは手間がかかるだけでなく、ドローンのパーツや組み立てに関して知識が必要です。

部品キットから自作する場合と比較して、初心者にとってはハードルが高い手段と言えます。

また、既製品と違って保証サービスを一切受けることができない点もデメリットです。

自作機が故障または不具合が発生した場合、自分で対処しなければなりません。

一から部品を集めて自作する場合の費用

1から部品を集めて自作する場合の費用について、部品キットと大きな差はありません。

ただし後から改造やグレードアップに伴い部品を買い足すことを考えると、部品キットから自作した場合よりも総額が上回る可能性があります。

自作にあたって最低限知っておくべきドローンの原理

先述の通り、ドローンは必要な部品を揃えたところで「なぜ飛行や方向転換ができるのか」という原理を知らなければ正常に飛行する機体を作ることができません。

自作する前に、ドローンの飛行・方向転換の原理を理解しておきましょう。

ドローンの飛行原理

ドローンは、プロペラの回転による空気の圧力差で発生した「揚力(上方向へ作用する力)」により浮き上がることができます。

プロペラは上部と下部で異なる形状をしており、この構造が空気の流れに差をつけるため揚力が発生するのです。

ただし、すべてのプロペラが同じ方向へ回転すると「反トルク作用」が発生し、機体はまっすぐな姿勢を保つことができなくなります。

反トルク作用とは、モーターの回転方向に対して機体本体を逆回転させようとする力が働いてしまう現象のことです。

そのため隣り合うプロペラを逆回転させ、それぞれのプロペラに発生する反トルク作用を相殺します。

これにより、機体は正面を向いたまま安定した飛行を続けることができるのです。

ドローンの方向転換の原理

各プロペラの回転速度を調整することで、ドローンは前後左右への移動や旋回もできるようになります。

そもそもドローンが空中に留まり続けることができるのは、プロペラの回転による揚力と機体の重量が釣り合っているからです。

その状態で前方のプロペラだけ回転数を落として後方のプロペラの回転数を上げると、機体が前傾姿勢になって前進します。

後方や左右への移動時も同様で、機体を進めたい方向のプロペラは回転数を落とし、逆側のプロペラは回転数を上げます。

このようにプロペラの回転数を調整して揚力の差をコントロールすることで、機体の動きを制御することができるのです。

ドローンの自作に必要なキットやパーツはどこで購入できる?

ドローンの自作に必要なキットはやパーツの主な購入方法としては、Amazonや楽天市場などの通販サイトがあります。

近年はドローン・ラジコンパーツの専門店が通販サイトに出品していることも多いため、自宅から気軽に購入することが可能です。

また、ドローン・ラジコンパーツ専門店の実店舗へ足を運んで購入する手段もおすすめです。

専門店ならではの品揃え、そして商品知識を持ったスタッフからアドバイスを受けることができるというメリットがあります。

ネットオークションで個人から購入することもできますが、品質面やアフターサポートにおける信用性は高くないため初心者の方にはおすすめできません。

ドローンの自作に必要なパーツ

ドローンの自作に必要となる基本的なパーツと、各パーツの選び方を解説いたします。

フレーム

フレームはドローンの骨格となるパーツで、これをベースに各パーツを取り付けていきます。

フレームの形状は大きく分けて「Xフレーム」と「HXフレーム」の2種類があり、特徴が以下の通り異なります。

XフレームHXフレーム
バッテリーの位置フレーム下部フレーム上部
重量軽い重い
組み立てのしやすさ難しい簡単
空気抵抗低い高い
敏捷性襲い早い

選び方

フレームごとの特徴から考えると、初心者の場合は「HXフレーム」がおすすめです。

HXフレームは比較的大型になるため空気抵抗も大きいですが、そのぶんパーツの搭載スペースも広いため組み立てやすいというメリットがあります。

また、バッテリーは上に設置するため機体のバランスが取りやすく、飛行中にバッテリーを破壊するリスクを下げることができます。

一方で、十分に操縦スキルを身に付けた上級者かつ軽量で空気抵抗の少ないドローンを作りたい方であれば、構造がシンプルな「Xフレーム」がおすすめです。

サイズについては、以下を目安として用途に合ったものを選びましょう。

レース用230ミリ、250ミリ、280ミリなど(大会のルールによって異なる)
フリーフライト100ミリ~120ミリ程度
屋内での飛行35~80ミリ程度

モーター

モーターとは、プロペラの動力源となるパーツです。

後述する「ESC」からの指示を受けながら回転して、プロペラを動かしています。

なお、モーターは大きく分けて「ブラシモーター」と「ブラシレスモーター」の2種類があります。

ブラシレスモーターとは、ブラシ(電極)とコミューター(整流子)が内部についたモーターのことです。

比較的安価ですが、使用するほどブラシが摩耗していくため定期的なメンテナンスが必要になります。

一方、ブラシレスモーターとはその名の通りブラシとコミューターがないモーターのことです。

比較的高価ではありますが、ブラシレスモーターよりもパワフルかつ長持ちするというメリットがあります。

近年のドローンにおけるモーターは、ブラシレスモーターが主流です。

選び方

モーターを選ぶにあたってまず確認したいポイントが、サイズです。

サイズはモーター本体に4桁の数字で表記されており、上2桁が外径、下2桁が厚みを示しています。

例えば「1106」と表記されていた場合、外形11mm・高さ6mmのモーターであることが分かります。

フレームによって取り付け可能なモーターのサイズは異なるため、購入時にフレームの商品情報からモーターの推奨サイズを確認しましょう。

また、モーターには「KV値」や「トルク」といったスペックも異なり、これらの数値と使用するプロペラのサイズ・ピッチを照らし合わせながら選ぶことも大切です。

モーターにおけるスペックの見方や詳細な選び方はこちらの記事で解説しているため、併せてご覧ください。

プロペラ

機体の飛行や移動に欠かせない、揚力を生み出すためのパーツです。

プロペラはそれぞれ2枚羽・3枚羽・4枚羽といった形状の他、材質も異なります。

羽の枚数により、以下の通りスピードや操作感に差が出ることが特徴です。

2枚羽スピードが出やすく操作が難しい
3枚羽スピードと操作性のバランスが良い
4枚羽スピードや機動力はやや劣るが操作性が良い

また、サイズやピッチもプロペラにより様々です。

ピッチとはプロペラが1回転したときにどれだけの推進力を発揮するかという数値のことを指し、サイズと一緒に4桁の数字で表記されています。

具体的には上2桁がサイズ(プロペラの直径)、下2桁がピッチを表す数値です。

例えば「5030」と表記されているプロペラは、直径5.0インチ・ピッチは3.0インチであることが分かります。

選び方

プロペラは、フレームの胴体部分またはプロペラ同士が接触しないサイズを選ぶ必要があります。

フレームの商品情報から、プロペラの適合サイズを確認しましょう。

また、ピッチの大きなプロペラにはトルクが強いモーター、ピッチの小さいプロペラにはKV値が高いモーターを使います。

実際に使うモーターが決まったら、その仕様に合わせてプロペラのピッチを決めましょう。

プロペラはサイズやスペックだけでなく、材質にも注目して選ぶことが大切です。

プロペラの材質は「プラスチック」や「カーボン」が主流ですが、それぞれ以下のような特徴があります。

プラスチック安価だが劣化しやすい
カーボン高価だが丈夫で劣化しにくい

カーボン製のプロペラは産業用ドローンに使われることが多いですが高価で入手が困難なため、個人的な趣味で楽しむドローンであればプラスチック製がおすすめです。

ESC(エレクトロニック・スピード・コントローラー)

ESCとは、モーターの回転速度をコントロールするための制御装置です。

この装置がなければ、モーターやプロペラを取り付けても適切に回転させることができません。

ESCは製品によって搭載されている機能が異なりますが、代表的な機能としては以下の7つがあります。

カットオフ機能バッテリーの電圧が下がると自動的に電圧をカットする
BEC出力機能1つのバッテリーから複数の部品に電力を供給する
スタートパワーモーターの回転開始時の速さを自動的に調整する
ブレーキタイプモーターの回転の止め方を設定できる
アクセラレーションプロポの操作に対するモーターの反応速度を設定できる
ガバナーモーターの回転数を一定に保つ
クーリングESCの過熱を防止する

選び方

ESCを選ぶときは、飛行の安全性を維持するための「カットオフ機能」「クーリング機能」の有無を確認しましょう。

そのうえで、自分の飛行スタイルに合った機能を搭載しているESCを選ぶことをおすすめします。

機能だけでなく、ECSの最大出力値も事前に確認しておきましょう。

使用しているモーターの最大出力値に対し、ESCの最大出力が低いとモーターの性能を十分に発揮することができません。

また、先述の通りモーターにはブラシモーターとブラシレスモーターの2種類があります。

ESCごとに対応しているモーターの種類が異なるため、購入前に必ずチェックしましょう。

フライトコントローラー

フライトコントローラーとは、ドローンの飛行を総合的にコントロールする制御装置です。

具体的にはプロポからの操作命令とジャイロなどの各種センサーから伝送される情報を統合したり、モーターの適切な回転数を算出してESCに命令を出す役割があります。

人間に例えると、「脳」にあたるパーツです。

フライトコントローラーは、主に以下のような構成となっています。

マイコンCPU、メモリ、入出力用ポートなどで構成された小型コンピューター
IMUジャイロセンサー、気圧センサーなど外部情報を取得するセンサー類

IMUで外部の情報を取得し、その情報を元にマイコンが演算処理を行ったうえで、プロポからの司令に従いながら機体を適切な状態に制御しているのです。

選び方

フライトコントローラーには飛行に関わる演算を行うチップが搭載されており、性能によって以下のような種別に分けられています。

種別振動周波数内部メモリUART(外付けパーツ接続端子数)
F7(STM32F746)216MHz1MB8系統
F4(STM32F405)168MHz1MB3系統
F3(STM32F303)72MHz256kB3系統

振動周波数の数値が高いほど高性能なフライトコントローラーであり、演算を高速で行うことができます。

ハイスペックドローンの製作を追求したい方、レース用のドローンを作りたい方はF7のフライトコントローラーが適しています。

100g未満で気軽に飛行を楽しめるようなドローンを求めるのであれば、F4で問題ありません。

また、プロポ受信機とフライトコントローラーの通信規格が合っているかを事前に確認しましょう。

通信方式が合わないと、フライトコントローラーへ操作信号が伝達されません。

さらに、フレームに搭載できるフライトコントローラーを選ぶことも重要です。

基盤の穴の間隔と、フレームにある取付穴の間隔が合わないと取り付けることができません。

プロポ送信機

プロポ(送信機)は、操縦者の命令をドローンに伝達する「コントローラー」です。

ゲーム機のコントローラーと同じく、スティックの角度や倒す深さを調整してドローンの動きを直感的に操ることができます。

なお、プロポの操作方法には「モード1」「モード2」という規格が存在します。

モード1スティックで上下左右移動、左スティックで前後移動と左右旋回
モード2右スティックで前後左右移動、左スティックで上下移動と左右旋回

日本国内ではモード1、海外ではモード2による操作が主流です。

選び方

プロポを選ぶうえで、「技適マーク」の有無は最も重要なポイントです。

日本国内ではドローンのプロポを含め、技適マークのない無線機器を使用すると電波法違反とみなされます。

並行輸入品プロポは技適マークがついていない場合もあるため、特に注意深く確認したうえで購入しましょう。

また、詳細は後述しますがドローンにはプロポからの電波を受信する「受信機」というパーツがあります。

この受信機との通信規格が適合していないプロポは操縦ができないため、注意が必要です。

ドローンにおける通信規格の例としては、以下の通りです。

  • DMSS
  • DSSS
  • ACCST
  • S-FHSS
  • FASST

使用する受信機に適合する通信方式を確認してからプロポを選ぶと良いでしょう。

プロポ受信機(レシーバー)

プロポ受信機とはプロポからの命令を受け取るための装置で、ドローン本体に取り付けます。

ドローンは「プロポ→受信機→フライトコントローラー→ESC→モーター→プロペラ」という順に命令が伝わっており、受信機がなければ正常な飛行以前に動くことすらできないのです。

選び方

受信機とプロポの間には様々な通信方式があり、互いに整合性のとれたものを使う必要があります。

また、フライトコントローラーの通信規格に合ったものを選ぶことも大切です。

受信機とフライトコントローラー間における通信規格としては、以下の3つがあります。

  1. PWM方式
  2. PPM方式
  3. S.BUS方式

PWMはオン・オフのスイッチングで制御を行うアナログ方式の規格で、モーターと同じ数の配線で受信機とフライトコントローラーをつなぐ必要があります。

PPMもPWMと同じアナログ方式ですが、1本の配線につき8個までのモーターを制御することが可能です。

S.BUS方式はデジタル方式の通信規格で、Futaba社やFrsky社製などのプロポに採用されています。

デジタル信号で制御を行う方式なので、アナログのように外的要因で信号が乱れることはありません。

なお、1本のケーブルで最大18チャネルまでの信号制御を行うことができます。

VTX・アンテナ

VTXとはドローンに搭載したカメラからの画像・映像をモニターやFPVゴーグルに伝送するための装置で、電波を受信するためのアンテナと合わせて搭載します。

なお、FPVによる無線通信は5.8GHz帯の電波を使用するため、電波法により無線局の開局申請と無線免許の取得が義務付けられています。

申請の際はVTXの系統図が必要で、メーカーや販売店によっては公式サイトで入手が可能です。

選び方

VTXは、電波を飛ばす強さを示した「送信出力」という数値があります。

FPV用ドローンとしては主に以下の送信出力を発揮するVTXが使われており、製品によって数値が異なります。

  • 25mW
  • 100mW
  • 200mW
  • 600mW
  • 800mW

ドローンを飛ばす場所が狭いほど数値が低く、広いほど数値の高いVTXを使うことで映像が乱れにくくなります。

必ずしも数値が高ければ良いというものではなく、飛行させる場所に合わせた選び方が重要です。

BEC(Battery Eliminator Circuitry)電源

BECとはバッテリーから供給される電力を降圧させ、フライトコントローラーに送るための電気回路です。

バッテリーからはECSを経由して、フライトコントローラーに11.1または14.8ボルト程度が給電されます。

しかしフライトコントローラーに5ボルト以上の電圧がかかるとその負荷に耐えきれず、故障の原因になります。

そのためBECを使い、バッテリーから供給される電力の電圧を5ボルトまで下げ、フライトコントローラーに送る必要があるのです。

ただし近年多く出回っているBEC機能つきのESCまたはフライトコントローラーを使用する場合は、別途BECを用意しなくても問題ありません。

バッテリー接続端子

ESCとバッテリーを接続するためのコネクターです。

ドローンのサイズごとに、以下のコネクターが使われています。

マイクロドローンJST PH 2.0
3インチまたは80HDタイプXT30
5インチXT30

選び方

コネクターごとに給電の効率や供給可能な電圧・電流が異なります。

まずはドローンのサイズに適したバッテリーから選び、それに対応したコネクターを揃えましょう。

バッテリー

ドローンの動力源となるパーツが、バッテリーです。

バッテリーには様々な種類がありますが、ドローンの場合は「リチウムポリマー」という田プのバッテリーを使用します。

リチウムポリマーのバッテリーはリポバッテリーとも呼ばれており、大容量かつ高出力という特徴があります。

リポバッテリーは「セル」という単位で構成されており、そのセルを1つにまとめたものが「バッテリーパック」です。

ドローンには1〜4セルのバッテリーパックがよく使われていますが、中には6セルの大容量バッテリーも存在します。

選び方

バッテリー接続端子と同じく、ドローンのサイズごとに適したバッテリー容量は異なります。

マイクロドローン1~3セル
3インチまたは80HDタイプ3~4セル
5インチ4~6セル

5インチ機の場合、レースやフリースタイルなど機動力が求められる場での飛行であれば6セル、空撮で長時間飛行を楽しみたいときはパワーが控えめな4セルがおすすめです。

カメラ・FPVカメラ

空撮やFPV飛行を楽しむ場合は、カメラやFPVカメラも必要です。

選び方

ドローンに搭載するカメラは、フレームのサイズに合ったものを選びましょう。

サイズが極端に小さいと映像にフレームが映り込み、逆に大きすぎるとカメラをフレームで保護できずクラッシュ時にレンズが割れる恐れがあるからです。

また、FPVカメラの場合は画面比率もチェックしましょう。

基本的には「4:3」または「16:9」である場合が多いですが、この比率がゴーグルと一致していなければ伝送される映像が圧縮または間延びした映り方になっていまいます。

実際に使用するFPVゴーグルと、画面比率が一致するカメラを選ぶことをおすすめします。

その他組み立てに必要な道具

ドローンの自作にはパーツだけでなく、パーツを取り付けるための道具も用意しましょう。

必要な道具はどのようなドローンを作るかによって異なりますが、基本的には以下のような道具が必要です。

はんだこて

ドローンのパーツは、はんだという合金を使って継ぎ合わせる「はんだ付け」で組み立てます。

そのはんだを熱で溶かすための道具がはんだこてです。

Amazonや楽天市場などの通販サイトには、はんだこてを含めはんだ付けに必要な道具が一式揃ったセットも販売されているため、初心者の方はセットを活用しても良いでしょう。

はんだ

はんだは金属などの接合に使われる合金で、通販サイトや100円ショップなどで販売されています。

基本的にはんだこてとセットで必要なアイテムと考えましょう。

ネジ

フレームやフライトコントローラー、ESC、モーターなどの各パーツを固定するためのネジです。

パーツを購入すると付属している場合もありますが、レース用ドローンなどアクロバティックな飛行を頻繁に行う方はクラッシュによりネジを紛失することも多いです。

そのため、予備として多めにネジを用意することをおすすめします。

なお、ネジのサイズは「M2」や「M3」といった表記で示されており、Mのあとに記されている数字がネジの外径(mm)となっています。

ドライバー類

ネジを回すためのドライバー類です。

プラス・マイナスドライバーに加え、六角ドライバーや精密ドライバーセット、特殊ドライバーなども用意しておくと効率よく作業することができます。

各種ドライバーがセットになった商品もおすすめです。

自作ドローンを作る方法

ドローンを作る基本的な手順は、以下の通りです。

STEP
フレームを組み立てる
STEP
モーターをマウントする
STEP
ESCを取り付ける
STEP
FCを取り付ける
STEP
VTXを取り付ける
STEP
アンテナを取り付ける
STEP
支柱(スタンドオフ)を立てる
STEP
カメラを取り付ける
STEP
天板を取り付ける
STEP
電源が入るか確認する

ここでは、基本的なドローンの作り方における各ステップの詳細を解説いたします。

1.フレームを組み立てる

最初にベースとなるフレームから組み立てます。

ネジやドライバーを使い、プレートにアームを取り付けましょう。

なお、フレームを構成するパーツや組み立て方は製品によって異なりますが、基本的に難易度の高い工程ではありません。

最初のうちは手間取っても、慣れればスムーズに組み立てることができます。

フレームには設計図がないため、自分で考えながらゆっくりと自由に組み立てましょう。

2.モーターをマウントする

フレームの組み立てが終わったら、各アームの先端にモーターをマウントします。

モーターが上手く回転しないとプロペラも回らず、ドローンを正常に飛行させることができません。

アーム先端の上下左右4つの隅にネジをしっかりと留めてモーターを固定しましょう。

モーターを取り付けたら、その上に同じくネジでプロペラも取り付けます。

3.ESCを取り付ける

ESCはフレームの向きに合わせて取り付けます。

製品によっては基盤部分に矢印などでESCの向きが示されているため、参考にしましょう。

なお、矢印ではなく基盤部分の四隅に印字された1~4の番号で向きが分かる場合もあります。

ドローンの機体後方を自分に向けたとき、各番号が以下の位置になるよう取り付けましょう。

・1:左手前
・2:左前前方
・3:右手前
・4:右前方

ESCを取り付けたら、マウントしたモーターをはんだ付けで接続しましょう。

ESCにはモーターとの接続位置となる四隅に3本ずつ端子があり、それをモーターの端子に接続します。

次にESCへバッテリー接続端子をはんだ付けします。

基盤部分にあるプラス端子・マイナス端子にはんだ付けしますが、このとき必ずESC側にオスがくるように付けましょう。

オスとメスが逆になると、バッテリーがショートする恐れがあります。

また、必ず赤い配線ケーブルをプラスに、黒い配線ケーブルをマイナスにはんだ付けします。

4.FCを取り付ける

ESCにフライトコントローラーを接続します。

主な接続方法としては、以下の3通りです。

・はんだ付け
・コネクタケーブル
・双方の基盤同士をピン端子で接合する

はんだ付けまたはコネクタケーブルで配線する場合、フライトコントローラーに付属している図面をよく確認しながら正しい配列で接続しましょう。

配列を間違えると、フライトコントローラーの故障につながります。

フライトコントローラーとECSがセットになった製品の場合は、基盤同士をピン端子で接合するパターンが多いです。

双方の基盤をピン接合するだけなので配列を間違えることはありませんが、上下方向のクリアランスが大きくなりフレーム内に収めることが難しくなる可能性があります。

接続できたら、フライトコントローラーをフレームにマウントしましょう。

ESCと同じくフライトコントローラーにも向きがあり、矢印などで前方にあたる箇所が表記されています。

5.VTXを取り付ける

FPVドローンを作る場合は、フライトコントローラーにVTXを接続しましょう。

VTXの基盤には「VIDEO_IN(RX)端子」と「5V、Ground端子」があり、接続するべきフライトコントローラー側の端子が異なります。

・【VTX側】VIDEO_IN(RX)端子→【FC側】VIDEO_OUT(TX)端子
・【VTX側】5V、Ground端子→【FC側】5V、Ground端子

なお、VTXに「VBAT端子」があるときは以下のように対応します。

・5V端子は使わない
・VTXのVBAT端子を、フライトコントローラーとESCのVBAT端子に接続する
・VTXのGround端子を、フライトコントローラーとESCのGround端子に接続する

VTXを接続したら、フレームにマウントします。

できるだけESCやフライトコントローラーとの間隔を確保して、排熱の影響が少なくなるよう考慮しながら組み込むことが大切です。

また、VTXには電波を受信するアンテナがついています。

フレームのどこにアンテナを出すのかをあらかじめ決めてから搭載しましょう。

組み立て中にアンテナを取り付けないままVTXの電源を入れると発熱するため、注意が必要です。

6.受信機を取り付ける

先述の通り、送信機と同じ通信規格の受信機を取り付けます。

受信機はフライトコントローラーにはんだ付けで接続するため、フライトコントローラーの基盤図面を参考に受信機用の端子を確認しましょう。

受信機からは、以下3本の配線が出ています。

・5ボルト(赤)
・Ground(黒)
・S.BUSなどの信号線(白)

上記3本の配線を、それぞれフライトコントローラーの端子に接続します。

7.支柱(スタンドオフ)を立てる

ESC・フライトコントローラー・VTXの取り付けが完了したら、天板を固定するための支柱を取り付けます。

8.カメラを取り付ける

FPV飛行や空撮をする場合は、カメラの取り付けも必要です。

FPV用カメラの場合は3本の配線が出ており、それぞれ以下のようにフライトコントローラーへ接続します。

【カメラ側】信号線(VIDEO_OUTまたはTX端子)→【FC側】VIDEO_IN(またはRX)
【カメラ側】5V(VBAT端子)とGround端子→【FC側】5V(VBAT端子)とGround端子

9.天板を取り付ける

すべてのパーツを搭載したら、仕上げに天板を取り付けます。

必要に応じて、バッテリーを固定するベルクロファスナーも取り付けましょう。

10.電源が入るか確認する

正常に電源が入るかを確認します。

余裕があればESC・フライトコントローラー・VTXを接続する各工程でも電源を入れて見ると、万が一のトラブル時に原因を特定しやすくなります。

正常に電源が入ることを確認したら、各パーツのケーブルを結束バンドで固定しましょう。

ドローンの組み立てが一通り終わったら、「Betaflight」と呼ばれるファームウェアをインストールしたパソコンとフライトコントローラーを接続し、各種設定を行うパターンが一般的です。

フライトコントローラーはラズパイ(Raspberry PiやArduino)を使用して直接設定値を変えることもできる

「ラズパイ」と呼ばれることも多いRaspberry PiやArduinoは、電子工作の際によく使われているマイコンです。

これらマイコンをフライトコントローラーとしてドローンに搭載すれば、パソコンを接続してプログラミングで自由に制御することができます。

例えばジャイロセンサーを取り付けたうえで機体の角度制御に関して独自のコントロールシステムを作ったり、フォトリフレクタを取り付けてドローンに近づいたらスイッチを入れるなどの動作を作るなど様々な機能の搭載が可能です。

プログラミングの知識は必要ですが、アイデアしだいで自作ドローンの可能性が無限に広がるというメリットがあります。

ラズパイやArduinoを使いこなせるようになれば、ドローンに留まらず様々な電子工作に応用できるため楽しみ方の幅がより広がることでしょう。

ドローンの自作に関するよくある質問

ドローンの自作に関してよくある質問を、回答と一緒にまとめました。

ドローン自作に必要な材料は100均でも揃えられますか?

ドローンには飛行や給電を制御する基盤やバッテリー類が必要なので、100均で揃えることは困難です。

ただし、組み立てに必要なはんだこてやドライバーなどの道具は100均で販売されていることも多いです。

小学生でもドローンを自作することはできますか?

ドローンの自作は小学生が電子工作を学ぶ機会としてもおすすめです。

通販サイトなどでは、はんだ付け不要で小学生でも組み立てることができる部品キットが販売されていることがあります。

部品を1から揃えて作る場合は、できるだけはんだ付けがなくても接合可能なパーツを意識して選びましょう。

マイクロドローンを自作することはできますか?

マイクロドローンの自作も可能です。

1から部品を集めての自作はもちろん、マイクロドローン用の部品キットも販売されているため自分で部品を集めなくても作ることができます。

まとめ

既製品のドローンでは自分が求める飛行を実現しきれない、自分だけのドローンで周りと差別化を図りたい…といった考えがある方は、ドローンの自作がおすすめです。

初心者のうちは部品キットから始めてドローンの組み立て方や制御の仕組みを覚えていき、ある程度自作に慣れてきたら自分で部品を揃えることをおすすめします。

ドローンは使用するパーツ次第で、いかようにも飛行性能を変えることが可能です。

自分だけのドローンを生み出す楽しさ、そして自分が作ったドローンを操縦する楽しさのどちらも味わえることは、自作ならではの大きな魅力です。

利用目的からドローンに
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