ドローンに関わったことがある方なら、誰しも一度は「DJI」という言葉を聞いた経験があるはずです。
DJIとは世界的に有名な大手ドローンメーカーであり、スタイリッシュで機能性に優れたドローンの数々を生み出しています。
今回は「DJIとはどんな会社なのか?」というポイントを主軸に、DJIの特徴や歴史、代表的な機種なども解説いたします。
気になる新製品情報も記載していますので、ぜひ最後までご覧ください。
世界最大手のドローンメーカーDJIとは
DJIとは、中国広東省深圳に本社を構える民生用ドローンメーカーのことです。
世界で販売されているドローンのうち約70%ものシェア率を誇る、「世界最大手のメーカー」とも言えます。
趣味だけでなく映像制作の仕事にも活用できる高性能な空撮ドローンをはじめ、測量・点検・農業などの産業分野向けドローンも開発しています。
日本にはDJI JAPAN株式会社という支社を設立しており、全国各地に正規販売代理店を展開しています。
DJI JAPANはドローンやその関連商品の開発・製造だけでなく、「DJI CAMP」と呼ばれる操縦者向け民間資格を主催していることも特徴です。
トップシェアを誇る大手メーカーならではのノウハウを活かし、主にDJI製のドローンを正しく安全に扱うための講習を受講することができます。
DJIの歴史
DJIは2006年、汪滔氏らによって創業しました。
初めて製品を発売したのは2009年のことで、ドローンの飛行を制御するためのフライトコントローラーシステムをリリース。
2011年よりドローンや関連商品の展開を本格化させ、2012年にはDJIの象徴的ドローン「Phantom 1」を発売しました。
その後も「Mavic」や「Spark」など数々のカメラ搭載ドローンを生み出し、世にドローン空撮という分野を浸透させる一因となったのです。
世界・日本から見るDJIの現在の立ち位置
現在の社会において、DJIはどのような企業なのでしょうか。
世界と日本の視点から、DJIの立ち位置を見てみましょう。
世界における立ち位置
先述の通り、DJIは世界の民生用ドローン市場において70%以上ものシェア率を獲得しているドローンメーカーです。
Drone Indusry Insight社が公表したデータによると、米国のドローン市場においては76.1%以上をDJIが占めている状態となっています。
民生用ドローン市場の大半を独占している状態であり、圧倒的なブランド力とそれに相応しい高機能なドローンの数々で、世界中に熱狂的なファンを生み出しています。
日本における立ち位置
ドローンの開発・製造を本格的に取り組む国内企業は、年々増加している傾向にあります。
しかし、やはり大手ECサイトやドローン専門店などを見てみると7~8万円以上のドローンのほとんどはDJI製となっており、例に漏れず高いシェア率を誇ります。
従業員100人以上規模の日本法人を構えている他、全国的に正規販売代理店を展開していることもシェア率を高めている一因です。
DJIは東京虎ノ門や福岡博多などに店舗を置く「株式会社セキド」、大手ECサイトAmazonの日本法人「アマゾンジャパン合同会社」、国内の各主要家電量販店などと正規販売代理店契約を交わし、海外製品でありながら国内で気軽に純正品を購入できる体制を構築しています。
DJI製ドローンの特徴
DJI製ドローンの大きな特徴は、独自のテクノロジーがもたらす高い機能とコストパフォーマンスです。
多くのDJI製ドローンには「VPS(ビジョン・ポジショニング・センサー)」というセンサーが搭載されています。
このセンサーが機体の真下の状況を自動的に検知して飛行を制御させるため、初心者でも安定したホバリング操作が可能です。
飛行中に風が吹いてもその場で留まろうと働きかけるため、ロストするリスクの低減にもつながっています。
また、送信機とドローンの通信が途絶えた際の安全機能も設定することが可能です。
通信が切断されてもいきなり墜落はせず、事前に以下3つの挙動からいずれかを選択のうえ設定しておくことで故障や事故を防止できます。
- RTH(リターントゥホーム):ホームポイントへ自動的に帰還
- ホバー:その場でホバリングを維持し、バッテリー切れと共にゆっくりと着陸
- ランディング:その場で着陸
また、DJI製ドローンはバッテリー・プロペラ・カメラレンズなど各種パーツも流通量が多く、パーツに不具合が起きてもすぐに買い替えて長く使い続けることができます。
DJIを代表するドローン機種
現在もなお新しいドローンを続々と生み出しているDJIですが、その中でも代表的と言える機種を7つご紹介いたします。
1.DJI Phantom4 Pro V2.0
出典:https://www.dji.com/jp/phantom-4-pro-v2
DJIの代名詞とも言えるセミプロ仕様の空撮ドローン、「Phantom」シリーズの最新機です。
4K/60fpsの映像や20MPの写真撮影に対応したカメラを搭載している他、「メカニカルシャッター」で動きながら撮影しても被写体が歪むことがありません。
また、5方向に対応した障害物検知機能を搭載し、過去モデルからさらに安全性を向上させています。
「OcuSync2.0 HD伝送システム」により、接続の安定性に優れていることも特徴です。
2.DJI Mini 2
出典:https://www.dji.com/jp/mini-2
従来の人気モデル「Mavic Mini」のアップグレード版で、小型かつ比較的手頃な価格が特徴です。
機体に搭載されているカメラは4K/30fpsの映像撮影、加えて最大4倍のデジタルズームに対応しており、従来モデルよりもハイクオリティな映像を制作することができます。
機体重量は200g未満と軽量ながら、最大風圧抵抗は8.5-10.5 m/sと風に強い仕様も魅力です。
映像伝送システムは「OcuSync2.0」を採用し、最大伝送距離は従来の3倍となる6kmにまで拡大。
最大飛行時間は18分で安定感のある飛行を長く楽しむことができ、空撮初心者にもおすすめな機種となっています。
3.DJI Spark
2017年に発売となった空撮ドローンで、当時は「DJI最小のドローン」として話題になりました。
小型ながら機体に搭載されたカメラは/2.3インチCMOSセンサーを搭載しており、1080p30fpsの映像・1200万画素の写真撮影に対応と十分な性能を備えています。
さらに、腕の動き(ジェスチャー)で機体をコントロールできる点も大きな特徴です。
飛行させた機体に向けて手を動かせば、その場でカメラのシャッターを切り簡単にセルフィーの撮影を楽しむことができます。
安全機能としては「フライトオートノミー」と呼ばれる、正確なホバリングと最大5m先の障害物を検知・回避するシステムを採用。
カメラ性能・安全性に優れた高機能ドローンでありながら定価は6万円台(本体のみ)となっており、DJI製品としては比較的リーズナブルです。
4.DJI Inspire 2
出典:https://www.dji.com/jp/inspire-2
DJIにおけるプロ仕様の空撮ドローンシリーズ、「Inspire」の現行モデルです。
Inspire 2の機体にはカメラが内蔵されておらず、代わりに別売りのカメラを付け替えて撮影します。
装着に対応しているカメラは、「ZENMUSE X4S」「ZENMUSE X5S」「ZENMUSE X7」の3種類です。
画像処理システムはInspire 1からアップグレードが施され、6K動画の撮影が可能に。
映画やミュージックビデオなど、高いクオリティが求められる映像を制作することができます。
また、停止状態から5秒で最高時速80kmまでの加速が可能となっており、最高速度は時速94kmと圧倒的な動力性能を誇ります。
Inspire 2は現行モデルとは言え発売は2016年となっており、ファンの間では6年以上経過した今でも新作の登場に期待がされています。
5.DJI FPV
出典:https://www.dji.com/jp/dji-fpv
ドローン本体に加え、送信機やFPVゴーグルなどがすべて揃ったオールインワンのセット商品です。
FPVドローンと言えば自作型かつすべてのパーツ・アイテムを自分で揃えるケースが一般的であり、初心者がデビューするには高いハードルが立ちはだかっていました。
DJI FPVさえ購入すれば必要なものはすべて揃うだけでなく、電波帯は2.4GHzを使用しているため、無線免許の取得や開局申請をしなくてもすぐにFPVドローンの操縦を楽しむことが可能です。
他のDJI製品と同じくGPSや赤外線高度センサーなども搭載しており、安定した飛行で初心者も安心して操縦できます。
機体に搭載されたカメラは1/2.3インチセンサーを搭載し、4K/60p画質の映像撮影に対応。
映像ブレ補正機能「RockSteady」も搭載しており、純粋な空撮ドローンとしても優秀な性能を備えています。
6.Tello
出典:https://m.dji.com/jp/product/tello
Ryze Tech社がDJIやIntelと共に開発のうえ、2018年に発売したトイドローンです。
1万円台で購入可能かつ機体重量は80gで機体登録が不要なため、購入したらすぐにでも飛行させることができます。
誰でも気軽にドローンの操縦を楽しめることから、発売から4年以上経った現在もなお「ビギナー向けドローンの決定版」という立ち位置にあります。
専用の送信機だけでなく、アプリをインストールしたスマホ(iPhone・Android)から操作が可能なことも特徴です。
離陸・フライト・着陸にいたるまですべての操作をサポートしてくれるため、初心者でも簡単にアクロバット飛行や空撮を楽しむことができる仕様となっています。
また、専用のコントローラーとVRゴーグルがあればFPV飛行も可能です。
Telloが一台あれば、アクロバット飛行・空撮・FPV飛行とドローンならではの遊び方を初心者でも堪能できることでしょう。
7.DJI Mavic 3
出典:https://www.dji.com/jp/mavic-3
DJIの人気ドローンシリーズ「Mavic」のひとつで、2021年に発売となった比較的新しい機種です。
機体に内蔵されたカメラには1200万画素1/2インチCMOSセンサーを採用しており、最高で5.1K/50fps・4K/120pの動画撮影に対応。
映像伝送システムは「OcuSync 3+」を採用し、最大伝送距離を15kmにまで拡大させました。
また、最大飛行時間はシリーズ最長の46分間であることに加え、複数の広角ビジョンセンサーにより全方位の障害物の検知・回避が可能に。
Mavic 3は、まさしくDJIが持つ高度な技術力を見せつけるかのような傑作機となりました。
コンシューマー向けドローンとして開発された機種ですが、映像制作会社やプロのクリエイターなどもターゲットに含むハイエンドモデルとなっています。
DJI直近の新製品発表の動向
DJIより直近で発売された新製品は、2022年11月2日に発表・販売開始となった「Mavic 3 Classic」です。
Mavic 3には搭載されていた望遠カメラを取り除きつつ、他のスペックはしっかりと継承することでコストを抑えながらハイクオリティな映像を制作できる機種となりました。
「ハイスペックな空撮ドローンが欲しいけれどMavic 3は高額で手を出しにくい…」と考えるユーザーには最適です。
ドローン本体以外の新製品としては、FPVドローンをアップグレードできるアクセサリー「O3 Air Unit」や新たなFPVゴーグル「Lite」の情報も出ています。
すでに公式からプロモーションムービーも公開されていますが、日本での発売時期は未だ不明です。
DJIに関するよくある質問
最後に、DJIに関してよくある質問を回答と一緒にまとめました。
Q1.DJIはどこの国のメーカーですか?
DJIは、中国広東省深圳に本社を構える企業です。
日本にも「DJI JAPAN株式会社」という支社を設立し、全国各地の企業と正規販売代理店契約を交わしています。
Q2.DJIという会社名の意味は?
DJIは中国語で「大疆創新科技有限公司」、英語で「Da-Jiang Innovations Science and Technology Co., Ltd.」と表記します。
英語表記における一部のアルファベットをとり、「DJI」という略称が用いられています。
Q3.DJI製ドローンの特徴は何ですか?
DJI製ドローンはスタイリッシュなデザインや幅広いユーザー層に対応したラインナップなど多くの魅力がありますが、大きな特徴としては以下の2つを挙げることができます。
・「VPS(ビジョン・ポジショニング・センサー)」がもたらす飛行の安定性
・通信が切断された際に作動する優れた安全機能
まとめ
現代のドローン業界を牽引する存在として、ハイスペックなドローンの数々を生み出しているDJI。
その中でも「Phantom」や「Spark」、「Mavic」などのドローンシリーズは特に知名度が高くプロからアマチュアまで親しまれています。
スペックの高さだけでなく、各ユーザー層のニーズに合わせて機能を調整し、複数の派生機種を展開してラインナップに含めていることも人気を集める理由のひとつです。
今後もDJIがどのようなドローンを生み出していくのか、その動向に要注目です。