現在ドローンは、自律型飛行のセキュリティや、災害時の支援に役立つ長距離飛行など、さまざまな試みがなされています。今回はセキュリティや災害でドローンがどのように力を発揮するのかを中心に紹介します。
ドローン×セコムのセキュリティサービス
近年、ドローンは産業方面でも大きく躍進をしています。
例えば農業事業では農薬散布に、建築事業では測量といった部分でドローンを使うことが増えてきました。
しかしそれだけでなく、最近ではドローンを使った「セキュリティ」に注目が集まっています。
特にセコムが防犯用サービス「セコムドローン」を始めたことで、ドローン×セキュリティへの関心は一段と高まりました。
このサービスは「自律型」であることが大きな話題を呼び、2017年には山口県のPFI刑務所「美祢社会復帰促進センター」にて巡回監視サービスを開始。セキュリティの強化に一役買っています。
ちなみにこの自律型飛行のセコムドローンは何をするのかというと、例えば敷地内に怪しい車が侵入してきた場合、ドローンが自分から車に近づきナンバープレートを撮影。その情報をセコムコントロールセンターに送ります。
特に夜間に無人になる倉庫あたりで役立つシステムとして提供されています。
また、AIなどに建物や周辺地域の様子を学習させておけば、外壁の劣化など、何か異変があればすぐに分かるようになります。
業界初!ドローンでの屋内管理システム
このセコム×ドローンのセキュリティサービスは主に建物外の敷地が対象ですが、大きな施設では施設内の点検や警備にも役立つ「巡回監視サービス」が開発されています。
先ほど紹介した刑務所を巡回するサービスがこれにあたります。このサービスでは、ドローンはあらかじめ設定された経路に従って自律飛行を行います。
警備員が敷地内等を巡回をするように、ドローンに巡回させることができるのです。
さらに巡回の開始時間を設定しておけば、設定した時間に合わせて巡回を開始してくれます。
経路の他、飛行速度・飛行高度・向きを設定可能なので、人が巡回するには危ない場所や死角になりやすい場所も逃すことなくライブ撮影を行えます。
このサービスはまだ実験段階なので、実証実験がうまくいけば正式導入される予定です。
ドローンは災害時にこんなに役立つ
安全を守るドローンの仕事はこのような警備だけではありません。最近ではドローンを災害時でも役立てようという動きが見られます。
といってもドローンで直接人命救助をできるわけではありませんが、ヘリを飛ばせない場所の撮影やカラーボールを使ったマーキング、また道が遮断されてしまった場合に簡易的な物資の宅配がこれにあたります。
また、KDDIは災害対策としてドローンを携帯電話の基地局にする試みを行っています。現在のところ、ドローンを飛ばすわけではなく、基地局として常駐させ、災害時に通信が行えない地域をカバーするのが目的です。
そして同じくKDDIは日本で初めて「4G LTE運航管理システム」を搭載したスマートドローンの4G LTE完全自律飛行実験を行い、約2kmほど離れた住宅に長距離飛行で荷物を運ぶことに成功しました。
「4G LTE運航管理システム」とは、4G LTEを使いドローンを飛行したり映像を送ったりするシステムです。すべてを4G LTEネットワークで制御できるため、長距離完全自律飛行が可能となり、災害時の支援などに役立ちます。
このようにドローンは、人では難しいセキュリティや災害対策での有用性が認められつつあります。人間だけに任せずドローンを活用することで、セキュリティにあたる人たちの安全も確保可能です。ドローンは今後も一層セキュリティ、災害での進歩が望まれています。