人の力だけで行われてきた警備も、最近ではドローンを活用する動きが出てきました。今回はドローン導入事例を紹介しながら、人に代わってドローンが警備することのメリットについて紹介していきます。
セコムがドローンでの刑務所警備を実証実験
大手警備会社であるセコムは、2017年4月に「巡回監視サービス」の実証実験を山口県の刑務所ではじめたと発表しました。このサービスはカンタンにいうと、ドローンが敷地内を一定時間になると自律飛行して巡回するというもの。警備員が巡回パトロールをする代わりに、ドローンがパトロールをしてくれるのです。
時刻は事前に設定することも、警備室などで遠隔で指示を出すこともできます。搭載したカメラが撮影したライブ映像のチェックも、もちろん可能です。人間では巡回が難しいような危険な場所や死角も、ドローンに任せれば上空からで容易に監視ができます。
もちろん巡回監視技術が発達したからといって警備員が不要になるわけではありません。ドローンが撮影した映像を、モニターなどでのチェックは現状人の手で行う必要があります。また重要な場所であればあるほど、人間の目で直接監視するべきという考えもあるでしょう。
それでもお願いできそうな所をドローンに任せるだけで、警備員の負担が減ることが間違いないありません。
将来的には人による映像監視を省略化できるように、画像技術やAIの活用も視野に入れているようです。
屋内ドローンが警備員に代わり社内巡回
セコムの巡回監視は屋外ですが、屋内ドローンを使ったパトロール技術も開発が進んでいます。
2017年3月、大成株式会社、ブルーイノベーション株式会社、東日本電信電話株式会社の3社は「T-FREND」と呼ばれるサービスのために提携したと発表しました。このサービスはただの監視だけに留まらず、自動で巡回するドローンによって残業の抑制ができるという画期的なものです。残業の抑制により職場環境を改善していき、社員の健康と安全を守ることができます。
T-FRENDの特徴は主に3つ。1つ目が定期巡回で監視と就業管理です。基本的には夜間巡回になるのが特徴。社内を全自動走行しながらセキュリティチェック、また巡回時間に社員が在席していたら退社を促します。
全貌がまだ明らかにはなっていませんが、人間を感知したらドローンが音声で退社するようなイメージでしょう。
2つ目は屋内走行です。基本的にドローンといえば屋外で使うイメージが強いですが、GPSを使わない飛行システムで自動の屋内走行を可能にしています。
3つ目が安全性の高い通信環境です。撮影した映像や画像、飛行ログをNTT東日本が提供するサービスを組み合わせることで、ネットの回線を使わないで閉域ダイレクト接続ができるようになります。つまりは秘匿性の高い映像データは流出することを防げるということです。
今後は試作機による実用実験やサービス提供の開発を進めるとしています。
人の力を拡大した警備方法で人手不足解消
このような警備業界でのドローンの活用はより高度な技術で警備ができる他、人手不足も解消することができるという大きなメリットがあります。
警備員は雇用形態として正社員が少ないのが現状です。非正規だと昇給や賞与も望めないために、他の業界への人材流出が多くなります。
建物が大きいところでは巡回も1回に1時間以上かかるため、定期巡回は負担も大きいでしょう。
元々警備員は長時間勤務が多い職種です。それが人手不足で連勤になってしまうと、体調を崩して人がドンドンと離職してしまいます。
ドローンの導入は警備員の負担を減らすことができるため、人材の定着に役立ちます。
特に2020年の東京オリンピックでは警備需要が激増することが予想されています。高度人材の育成と大幅な増員はなかなか難しいのが現状です。これから開発が進めばドローンは警備員の右腕としてだけでなく、警備員の代わりとしてできることが増えて人手不足の懸念も解消されるでしょう。
これからのドローンの巡回監視が技術の発達がますます期待されます。
ドローンによる屋外、屋内での巡回監視は、警備業界の現状からも早めの実用化が望まれています。今後数年で大きく発展していくかもしれません。警備員の負担を減らし、人手不足も解消するドローンに今後大きな注目が集まることでしょう。