通販大手がドローンによる荷物の運搬の実用化を計画しています。物流はドローン活用法の中でも特に注目されています。未来の運搬業を変える可能性があるドローンですが、メリット、デメリットや今後の課題について解説します。
血液から現金まで?ドローン運搬業の発展
数十年後、私たちの生活の中でドローンが空を飛び交い、様々なものを運搬する光景が当たり前になるかもしれません。大手通販企業をはじめ、世界中でドローンによる運搬業が注目されています。
世界各国では通販業界以外でもドローンを運搬に活用する計画や実験が行われているのです。
ロシアでは、大手銀行が将来的には現金をドローンで運搬したいという意向を示しています。日本国内では、浜松市が災害時の救援策の一つとして、ドローンによる医薬品の運搬実験を行い、市の政策の一つとしてドローン活用計画を進めているようです。
世界中でドローンを運搬手段として活用する計画が行われていますが、実用化は数年先になるでしょう。日本では、2015年に航空法が改正され、ドローンの利用ルールが明確になり、一般から企業までドローンの普及が急速に広まっています。
血液、現金、医薬品など運搬業以外でも様々な業界でドローン活用が計画されていく中で、安全性を高めるための新たな規制案やドローン利用に関する保険サービスを作るなど、様々な課題も生まれてくるはずです。今後、ドローンによる運搬業がどのように発展していくのか目が離せませんね。
ドローンで運搬するメリット・デメリット
ドローンで物を運搬することで期待できるのは、運搬コストの削減、緊急時の物資運搬が可能になることの、2点でしょう。年々高騰するガソリン代でトラックによる運搬コストは増加していますが、ドローンの導入で削減することが可能になります。
実際、中国ではネット通販の大手JDがドローンによる宅配実験を行い、結果として配送コストが70パーセントも減ったと報告しているのです。
緊急時の物資運搬というのは、災害が起こった際に起こりうる交通網の混乱をドローン運搬により避け、物資の支給がストップすることを防ぐことが期待できます。そのためには、今後長距離を安定して飛行できるドローンの開発、飛行ルートの整備などが課題になってくるでしょう。
一方デメリットは、物資の重量制限や飛行禁止区域、盗難被害などがあり、これには企業も解決策を模索している様子です。重量制限に関しては、より重いものを運搬できるドローンの開発と燃料サイクルの効率化など、新たな技術の開発が求められています。
デメリットの解決には、運搬サービスを計画する企業だけではなく、ドローン開発企業、システム開発企業など、様々な企業の協力が必要になるため、実現への道はまだまだ長く続くのかもしれません。
運搬用に使用するドローンも続々登場!
運搬用に特化したドローンの開発は、世界中で進められています。イスラエルでは、スタートアップ企業がスマートフォンで荷物の追跡記録が確認できる運搬用ドローンを開発したという事例もあるようです。
日本国内でも様々なメーカーが開発を進めていますが、NTT東日本はDJI製のドローンを改造し、運搬用ドローンとして活用する試みを行ないました。
DJI製のドローン機体に、衝突回避システムや緊急時でも周囲と一定の距離を保つための飛行維持機能が追加されています。最大積載量は20キログラムで、改造ドローンによってケーブルの運搬を計画しているとのこと。このように、企業が運搬に必要な機能を追加して改造するというケースもあります。
運搬業の革命的存在になるであろうドローンですが、メリット同様デメリットとなる課題点も多数あります。しかし今後、通販企業だけではなくドローン製造メーカーやシステム開発会社などの様々な手で解決策が探られています。数十年後にはドローンが私たちの家庭に宅配物を届けるようになるのかもしれません。