ドローンは実用性が高いことで知られていますが、「ドローンのアート作品」は見たことがない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、文化庁メディア芸術祭で優秀賞に輝いた2つのドローンの作品を中心にご紹介していきます。
文化庁メディア芸術祭とは何か?
文化庁メディア芸術祭とは、「アート」「エンターテインメント」「アニメーション」「マンガ」の4部門からそれぞれ優れた作品を選出し、受賞作品に関する展覧会等を実施する、メディア芸術のイベントです。
1997年より毎年開催されており、第20回の受賞展では世界88の国と地域から4,034作品が集まりました。優秀賞に輝いた作品の中には、2016年に話題となった映画「君の名は。」や、大人気携帯アプリ「Pokemon GO」なども選出されています。
第17回優秀賞 ドローンスタグラム
第17回文化庁メディア芸術祭展では、アート部門で「Dronestagram(ドローンスタグラム)」という作品が優秀賞を受賞しました。
▼Dronestagram
https://www.instagram.com/dronestagram/?hl=ja
この作品は、イギリスのアーティストJames BRIDLE氏によって製作されたものです。
ドローンスタグラムは、軍事用ドローンによって攻撃された場所を、報道記事・地図データ・ソーシャルメディア等を通して明らかにし、その場所の衛星写真を「Instagram」や「Twitter」などのSNSサービスに投稿した作品です。
以前よりドローンは戦場で暗殺等を目的に実際に使用されていましたが、最近まではその事実が明るみに出ることはありませんでした。それは技術的・政治的な背景によるもの、つまり隠蔽等が行われてきたためです。この作品はそうした事実を浮き彫りにしたもので、私たちがこれまで知る術もなかった現実を如実に突きつけています。
第18回優秀賞 ドローンサバイバルガイド
第18回文化庁メディア芸術祭展では、アート部門で「Drone Survival Guide (ドローンサバイバルガイド)」という作品が優秀賞を受賞しました。
▼Drone Survival Guide
http://www.dronesurvivalguide.org/
この作品は、オランダの大学で教鞭をとるRuben PATER氏によって製作されたものです。
ドローンサバイバルガイドは、26種類の軍事用ドローンのシルエットと、それらの使用用途、国籍、そしてドローンの偵察・攻撃から身を守るための方法が記載されたパンフレット型の作品です。
特設ウェブサイトからは、32ヶ国語(日本語もあり)に翻訳された説明資料をダウンロードできたり、ドローンの監視センサーを妨害する反射性アルミ用紙の印刷が注文できたりするなど、ユーモアあふれるプロジェクトとなっています。
PATER氏は、次のような想いから、ドローンサバイバルガイドを製作しました。
「近い将来ドローンは身近なものになるので、今のうちに慣れ親しみよく知っておこう」
ドローンサバイバルガイドは、ドローンに関する知識をより普及させ、今後のドローンの在り方を議論していく必要性を示唆している作品なのです。
増え始めているドローンを使ったアート作品
ドローンはアート作品としてだけでなく、最近はプロモーションビデオやイリュージョンショーといったエンターテインメント分野でも頻繁に使用されています。
その中でもおすすめは、YouTubeでアップロードされている「sky magic live at Mt.Fuji」という動画です。
高城剛氏がクリエイティブディレクターとして携わっている作品で、富士山を舞台にした20台を超えるドローンの編隊飛行と三味線の生演奏によるライブパフォーマンスです。
日本の伝統音楽「三味線」と近代技術の結集「ドローン」を組み合わせたパフォーマンスは、まさに斬新で革新的な作品に仕上がっています。
今回はメディア芸術祭で選出された2つのドローン作品、その他のおすすめのドローン作品「sky magic live at Mt.Fuji」について見てきました。
今後も、どのようなドローンを使ったアート作品が出てくるのか、非常に楽しみです。