ドローンの産業利用が進むにつれ、ドローンに関するニュースが頻繁に世間を賑わせるようになってきました。
2017年上半期もドローン関連のさまざまなネタが話題にのぼりましたが、特に重要なものをピックアップしてご紹介します。
物流倉庫火災の情勢把握にドローンが活躍
2017年の2月に起きた、事務用品通販大手企業の倉庫火災。
燃え上がる大きな炎の映像を今でもはっきりと覚えている方も多いことでしょう。
2月16日の午前に使用済みの段ボール置き場から出火し、
200億円以上をかけた一大物流拠点の1階部分、約7万平方メートルのうち、約4万5千平方メートルが焼けました。
さいたま市消防局は、火事の状況を把握するために、ドローンを利用しての空撮を行いました。
これまで、災害時の不明者捜索に使われたことはありましたが、
火災の際に利用されたのはこれが初めてのこと。火災の規模が大きいこと、
建物の高さが高いこともあり、上空30mから50mあたりから撮影することで、
地上からは確認できない燃焼状況の把握に役立ちました。
今後は、ドローンの性能についての知識を浸透させるなど、消防隊との連携をさらに深め、消火活動にも役立てていくことが課題と言えるでしょう。
アマゾンがドローン配達の公開実験に成功
ドローンの産業利用のひとつとして、配送サービスへの利用への関心が高まっています。
2017年上半期の話題をさらったのが、米アマゾンによる公開実験の成功です。
アマゾンはかねてより進めていたドローンによる配送サービス「Amazon Prime Air」の実用化に向けて、
3月23日、公共の場での配達を初めて行いました。
今回、ドローンが届けたのが、数本の日焼け止めクリーム。
総重量はおよそ1.8kgとそれほど重いものではありませんが、
注文から30分での配達を目標とするアマゾンにとって、これは大きな一歩。
人手不足が社会問題となる配送ビジネスにとっても、重要なトピックであると言えるでしょう。
スイス政府が配送ドローンの自律飛行を認可
4月にはスイス連邦民間航空局は、ドローンスタートアップ企業に対し、
配送ドローンをいつでも都市部上空での自律飛行の許可を与えるというニュースが話題となりました。
認可されたドローンは航続可能距離が20kmで、平均飛行速度は時速36km。2kgまでの荷物を運ぶことが可能です。
これによって期待されているのは、医療分野でのドローンの利用です。
血液サンプルなどの比較的小さな荷物の病院間での空輸が可能となることで、
渋滞のリスクがないばかりか、ヘリコプターのような機体の準備にも手間がかからないため、迅速な配送が可能になります。
先進国における医療分野でのドローン配送が認められたのはこれが初めて。今後広く普及していくことが期待されます。
ドローン操縦士育成のオンライン講座が開始
一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA)は、 4月1日、会員専用もサイト上にて、
オンライン講座の提供を開始しました。
配信第一弾となったのは「安全運航管理・基礎講座」。この講座を修了すると、
そのままライセンスの申請手続きをすることも可能です。
オンライン講座には、繰り返し受講することができるため、
反復学習によって知識をより確実に定着させられるというメリットがあります。
スマートフォンなどの端末を利用して、手軽に受講できるこうしたオンライン講座は
今後ますます需要が高まっていくはずです。
災害時の空撮やドローン配送の実用化に向けた取り組みなど、
2017年の上半期はドローンの産業利用に関する話題が目立ちました。
いずれドローンが社会の中で重要な役割を果たすことを予見させる話題に引き続き注目しながら、
来るべきドローン社会の到来を見守りたいものです。