テクノロジーの進歩により、機能性が年々進化し続けているドローンの用途は多岐にわたります。
中でも空撮映像の撮影にドローンを活用するケースは非常に多く、動画サイトではドローンを使った美しい映像作品の数々が投稿されています。
そこで今回は、国内・海外の動画から思わず息を呑むほど美しいドローン映像作品を8つご紹介いたします。
ドローン映像コンテストの最新情報やおすすめのドローン映像素材サイト、編集ソフトなども記載していますので、自分で撮影に挑戦してみたい方もぜひご覧ください。
- ドローンを使った映像制作の手法
- おすすめのドローン映像
- 自分で映像を撮りたいと思った時に知っておきたいこと
- ドローン映像を撮る際に注意しておきたいこと
ドローンを活かした映像制作の手法
ドローンを使うことで、地上での撮影では実現できないカメラワークで迫力のある映像を制作することができます。
ドローンを活かした映像制作の手法は複数ありますが、特に多く用いられているのが以下5つの手法です。
①俯瞰的な画角によるパノラマ映像
学校や工場といった広く大きな施設の全貌を撮影したり、森林や海岸など広く続く自然環境を把握できる映像にしたりといった場合に役立つ手法です。
ドローン空撮の映像で多い手法のひとつに、俯瞰して風景の広範囲をカメラに収めるものがあります。
カメラを下に向けながら前後・左右・上下・斜めなど、ドローンの動きにも変化を付けながら撮影します。
②上空にある対象物に接近する映像
樹木や塔など、高さのあるものの先端にある被写体を至近距離で撮影するという手法もあります。
地上から上ることはできず、有人航空機のように大掛かりな方法ではかえって接近しにくい微妙な高度にある被写体も、小回りの利くドローンなら簡単に撮影できます。
上空の被写体に近づき、少しずつ引いて周囲の環境も映していくという手法もあります。
③人が入れない場所での撮影
海・河川・湖の上や岩場、林の中など、人が立ち入れない場所や足場が悪く危険な場所での撮影も、ドローンが有用です。
危険でありながら雄大な自然・美しい風景が広がる環境でも、ドローンなら高度・方向を自在に操りながら滑らかなカメラワークで撮影できます。
このメリットから、ドローンは映像制作だけでなく災害現場の調査やインフラ・建造物点検などにも導入されています。
④車やバイクなどの対象物を追いかける映像
車・バイク・モーターボードなど、動く対象物を追尾しながら撮影するケースです。
手動操縦でも可能ですが、近年は認識した対象物を自動で追尾する機能が搭載された空撮ドローンも多く販売されています。
ドローンなら動く被写体を前後だけでなく、横方向・真上など様々な方向からカメラの画角に捉えて追うことができるため、よりスピード感・迫力が伝わる映像になります。
⑤ドローン視点の迫力満点な映像
ドローンを飛ばしながら、機体の視点で見える景色を映像にするといった手法もあります。
ドローンによっては「FPV」という機能が搭載されており、機体視点の映像をゴーグルやスマホなどでリアルタイムに映し出しながら楽しむことも可能です。
ただ上空から撮影する場合よりも臨場感が増し、まるでドローンのコックピットに乗っているかのような感覚の映像になります。
ドローンで撮影された風景映像の事例
ドローンによる風景撮影は、上空からの視点で雄大な自然の美しさをより引き出すことができます。
以下より、ドローンで撮影された風景映像の例を3作品ご紹介いたします。
【一生に一度は見たい北海道の絶景】ドローン空撮 北海道総集編/COOL JAPAN 2020
北海道の各地で見られる、自然風景を中心とした空撮映像の数々が3分弱の動画に凝縮されています。
鮮やかな緑・青い海・低い視点から見た氷河といった、北海道ならではの自然を存分に楽しめます。
あおりのアングルで青空と共に映る函館ハリストス正教会、上空から捉えた煌びやかな夜景にも要注目です。
【絶景空撮】 沖縄・宮古島 ドローン空撮4K映像 Okinawa Aerial Shoot
伊良部島・池間島・伊良部大橋・来間大橋・砂山ビーチ・与那覇前浜ビーチなど、沖縄・宮古島の名所をカメラに収めた映像作品です。
4K画質で撮影された、どこまでも透明な海の青色は息を吞むほどの美しさといえます。
ナウサギバナタ展望施設の「サシバ」を模した展望台も、ダイナミックに映っています。
Kanlaon Volcano(Canlaon) Aerial shoot -Philippines-
デジタルハリウッド ロボティクスアカデミーが主催する、Drone Movie Contest 2017でグランプリを受賞した作品です。
フィリピン・ネグロス島にある標高2,435mの「カンラオン山」を、上空からカメラで捉えています。
大きな火口や荒々しいクレーターを映し出したこの作品は、火山がもつ力強さを間近に感じさせてくれます。
ドローンで撮影された追尾映像の事例
ドローンで対象物を追尾しながら撮影するテクニックを活かした、2つの映像作品をご紹介いたします。
【超!迫力映像】MotoGPレース中継に革命か!?世界最速ドローン撮影映像|スペインGPルーキーズカップ
ロードレース世界選手権(MotoGP)のレースを、ドローンで追尾しながら撮影した映像です。
ハイスピードで走行し続けるオートバイに、ドローンで遅れることなく追尾しながら撮影を続ける操縦技術も評価されています。
ただ後方から追うだけでなく引きのアングルでコースの遠方を望んだり、低空飛行で選手に近づくなど、ハイスピードを維持しながらカメラワークを変化させているテクニックもポイントです。
World’s Fastest Camera Drone Vs F1 Car (ft. Max Verstappen)
オランダのドローンメーカーであるDutch Drone Godsが開発した、時速350kmでの飛行が可能なドローンを用いて撮影された映像です。
時速300km以上でサーキットを周回するF1マシンに対し、終始追従しながら上空からの視点で撮影しています。
白煙を立てながら走行するF1マシンのスピード感、プロドライバーの見事なステアリングを、今までにない視点で楽しむことができます。
ドローンで撮影された一人称視点映像の事例
ドローン空撮ならではの手法である、一人称視点映像を活かした作品を3つご紹介いたします。
ドローン×忍者〜大樹寺〜 DRONE×NINJA DAIJUJI
Drone Movie Contest 2020にて審査員特別賞、クールジャパンコンテスト2020では動画部門において奨励賞を受賞した映像作品です。
愛知県岡崎市の徳川将軍家菩提寺・大樹寺を舞台として、木々の間・屋根の上・室内でマイクロドローンを縦横無尽に飛ばして撮影しています。
主人公である忍者や敵の武士の姿も織り交ぜ、大樹寺を駆け回る忍者の視点を共有しているかのような演出となっています。
Why Should you fly Freestyle at 800mW? | FPV
姿勢制御を使わず、アクロバティックにドローンを操縦する「フリースタイル」の技術を利用したFPV映像です。
廃墟の内部・周囲を撮影しながら飛行しており、建物の窓・屋根の穴・玄関とあらゆるスペースをすり抜けて自由自在に飛ぶ様子を一人称視点で楽しめます。
絶えず細やかな操作を行う操縦者の手元にも要注目です。
MY YEAR IN FPV 2023 | FPV Drone Freestyle Compilation
投稿者自身がドローンを用いて撮影した、FPV映像の総集編です。
フリースタイルでテニスコートや廃墟、林の中など様々な場所で飛行を試みている様子がFPVカメラで記録されています。
前半は飛行難易度の高い場所で失敗することがありつつも、後半には安定的にアクロバット飛行を成功させ、飛行技術のさらなる上達が感じられるような映像作品です。
ドローンで撮影された人が入れない場所の映像の事例
上空を飛ぶドローンだからこそ撮影できた、人が立ち入ることのできない場所の映像作品を2つご紹介いたします。
ド迫力!360度花火ドローン映像「打ち上げ花火を真ん中から見たい」
岩手県陸前高田市にて行われた三陸花火大会の様子を、ドローンで撮影した映像です。
現実では不可能な、「打ち上げ花火を空中で真ん中から見る」という体験ができます。
無数に弾ける色とりどりの火花が視界いっぱいに広がり、画面越しでも花火の迫力が感じられる一作です。
200万再生 ドローンで10メートルの巨大波を撮影 世界チャンピオン JohnJohnFlorence BigWave Jaws Pe’ahi Maui 2018
世界で最もレベルの高いサーファーが参加してサーフィンの技術を競う、World Surf Leagueを撮影した作品です。
10mもの大波は現実とは思えないほどのインパクトを感じさせると同時に、その大波に乗るサーファーたちの姿は観る者に感動を与えます。
ドローンを使った映像制作に必要な機種
自分でドローンを使って映像制作をするにあたって、空撮に対応したドローンが必要になります。
どんな映像を撮影したいかによって使用に適したドローンも異なるため、まずは空撮ドローンの選び方について知っておきましょう。
カメラの性能にこだわるなら5万円以上のドローンが必要
より高画質な映像をドローンで撮影したい場合に注目したいポイントが、カメラの画質です。
一般的に、高性能なカメラを搭載しているドローンほど本体価格も高くなる傾向にあります。
4K画質の映像撮影に対応したドローンだと、安くとも5万円以上はかかることを留意しておきましょう。
5万円台で購入できる空撮ドローンとしては、「DJI Mini 3(機体単体)」があります。
また、高画質な映像はその分データ容量も大きくなります。
長時間の映像を撮影したい場合は、ドローン本体と併せて容量の大きいmicroSDカードも用意しましょう。
一人称視点の映像を撮るならFPV機能が必須
すべての空撮ドローンがFPVに対応してるわけではないため、一人称視点の映像を楽しみたい場合はFPV機能の有無も確認しておきましょう。
また、同じFPV対応ドローンでも、機種によって映像をゴーグルで見るのかスマホで見るのかが異なります。
より臨場感を味わえる映像を求めるなら、視界一面にリアルタイム映像が映し出されるゴーグルを使用しましょう。
なお、先ほど「ドローンで撮影された一人称視点映像の事例」でご紹介した作品にもある通り、ドローンレースやフリースタイルなど競技に使われるマイクロドローンで一人称視点映像を撮影することも可能です。
しかしマイクロドローンは無線免許が必要なものがあったり、姿勢制御機能がなく操縦が難しかったりして、初心者には適していません。
初めて一人称視点映像の撮影を試みる方やドローンの操縦に不慣れな方には、DJI製のFPVドローンである「DJI FPV」がおすすめです。
DJI FPVは無線免許が不要な2.4Ghz帯の電波を使用しており、障害物センサーや下方ビジョンセンサーの搭載により安定的な飛行ができます。
機体・プロポ・ゴーグルなどFPV飛行に必要なアイテムが一式揃ったものもあるため、FPV飛行の入門機として最適です。
被写体を追う撮影をするなら自動追尾機能が必要
動く被写体を撮影するにあたって、手動操縦で被写体を追いながら撮影することも可能です。
しかし、被写体と適度に距離を保ちながらドローンを操縦しつつ撮影を続けるには、一定以上の操縦レベルが必要になります。
そこで便利な機能が、自動追尾機能です。
あらかじめ被写体になるものを設定しておくと、離陸後は被写体と一定の距離を保ちながら自動で飛行を続けます。
これにより、ドローンの操縦経験が浅い方でも簡単に動く被写体をメインとした映像を撮影できます。
自動追尾機能は多くのDJI製空撮ドローンに加え、数千円~1万円前後のトイドローンに搭載されていることもあります。
ドローンで撮影した映像を披露する方法
ドローンで撮影した映像は、世界の人に披露することでコメントや評価をもらえることがあります。
同じ空撮の趣味を持つ仲間が見つかる、制作のモチベーションアップにつながるといったメリットもあるため、撮影した映像は積極的に公開することをおすすめします。
ここでは、ドローンで撮影した映像を他の人に披露する3通りの方法をご紹介いたします。
Youtubeにアップロードする
映像作品を披露する場として主流となっているのが、動画投稿サイトであるYouTubeの利用です。
Googleアカウントがあればすぐにチャンネルを開設できるため、初心者の方も気軽に始めることができます。
多くのユーザーから再生・高評価・チャンネル登録をしてもらうことで、収益化も可能になります。
SNSにアップロードする
Facebook・Instagram・X(旧Twitter)・TikTokなど、SNSに映像を投稿するという手もあります。
基本的にSNSは短時間の映像投稿にしか対応していないため、自身のYouTubeチャンネルを宣伝するための手段として利用するクリエイターも多いです。
また、WeClipというSNSでは自分の「コミュニティ」を作って同じ趣味の仲間と交流することができます。
同じ趣味を持つ仲間で集まって交流したい方、自分のYouTubeチャンネルやブログへのアクセス数を増やしたい方にもおすすめです。
コンテストに応募する
ある程度映像作品の制作に慣れてきたら、ハイレベルなクリエイターが集まるコンテストに自分の作品を応募するのも手です。
ドローン空撮に関わるプロの目で審査してもらえる、貴重な機会となります。
有名なコンテストだと、デジタルハリウッド ロボティクスアカデミーが毎年開催している「Drone Movie Contest」などがあります。
ドローンで映像を撮る際に注意しておきたいこと
ドローンによる空撮はやり方を誤ると、「知らなかった」では済まされない深刻なトラブルに発展する恐れがあります。
安心・安全な空撮を楽しむため、以下のポイントには十分な注意が必要です。
法規制に抵触しないように配慮する
日本国内の屋外でドローンを飛ばす際、「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」により定められたルールの遵守が義務付けられています。
飛行場所・方法によっては各関連機関へ飛行許可申請を行う必要があるため、ドローンを飛ばす前に必ずルールを確認しておきましょう。
他にも公道でドローンの離着陸を行う場合は「道路交通法」、誰かの私有地でドローンを飛ばす場合は「民法」などにも抵触する恐れがあります。
なお、ドローンの飛行に関わる法律は以下の記事で詳しくご紹介しています。
ドローン空撮をしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
長距離の映像を伝送する場合は無線局免許が必要
一般的なドローンに使われている周波数は2.4GHz帯。
一方、産業目的での空撮映像伝送には長距離かつ高伝送な周波数が必要になるため、「5.7Ghz」帯の周波数が使われています。
5.7Ghz帯の周波数は電波法にて無免許・無断での使用が禁止されているため、まずは「第三級陸上特殊無線技士」以上の資格取得が必要です。
なお、ドローンレースなどに使われるFPV対応ドローンの多くは「5.8Ghz」帯の周波数が使われています。
これも5.7Ghz帯と同じく無免許では使用できないため、必ず「第四級アマチュア無線技士」以上の資格を取得しましょう。
空撮以外でドローンの映像が活用される分野
ドローンによる撮影が活かされるのは、人々を魅了する映像の制作といったクリエイティブな分野だけではありません。
私達の暮らしにも関わる、以下のような場面でもドローンによる撮影が活用されています。
セキュリティ・警備
警備員の代わりに施設内をドローンが自律飛行し、不審者や不審火などがないかを監視するという活用方法です。
カメラで捉えた不審者に対して警告・追尾したり、不審火を発見できたりする警備用ドローンの実用化が進んでいます。
点検
交通インフラ・橋梁・プラント設備などの点検にも、ドローンが使われています。
高所など危険な場所でも、ドローンを遠隔操作しながら高解像度な映像を撮影し、状態を把握することが可能です。
作業の安全性を確保できると同時に、コスト・作業時間の短縮にもつながります。
災害捜索・救助
光学カメラや赤外線カメラを搭載し、災害が発生した現場で要救助者の捜索・救助や被災状況の調査を行えるドローンも実用化されています。
直近の活用事例としては、2024年1月1日に発生した能登半島地震の現場にて、ドローンを用いた倒壊家屋調査や仮設住宅設置予定地域のオルソ画像制作などが行われました。
生態調査
農作物へ悪影響を及ぼす野生動物に対し、精密カメラやサーモカメラを搭載したドローンで撮影し、動物の生育・移動パターンを調査するという活用方法もあります。
撮影データを解析して動物の生育地や活動範囲を把握すれば、害獣被害に効果的な対策を講じることが可能です。
上空を自律飛行するドローンなら入り組んだ場所や足場の悪い場所での調査や、夜間の調査も可能になるため、より効率的に害獣調査を行えます。
スポーツ中継
サッカーやラグビーなど、状況が目まぐるしく変化するスポーツの試合をドローンで撮影するというケースも増えています。
ドローンならフィールドの上空から撮影できるため各選手の動きを把握しやすくなる他、山中や海で行う競技も撮影可能です。
また、プレー中の様子を広範囲に捉えた空撮映像は試合内容の分析にも活用できるため、選手も大きなメリットを得られます。
まとめ
同じ風景や被写体でも、ドローンを使えば大迫力の映像として撮影することができます。
YouTubeには多くのクリエイターがドローンを使った映像作品を公開していますが、その作品の数々を見るだけでもドローン空撮ならではの魅力を十分に実感できることでしょう。
自分でもドローンを用いた映像撮影に挑戦してみたい方は、本記事の内容も参考に、自分に合った空撮ドローンと作品公開の場を見つけるところから始めましょう。
実際にドローンを飛ばす際は法規制をよく理解のうえ、安全に撮影を楽しんでください。