ドローンレース参加には何が必要?おすすめのレース用ドローンも紹介

更新日: 2022.08.28 公開日: 2022.08.28
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今や趣味やビジネスにおいて様々な場面で活用されているドローンですが、機体の速さを競う「ドローンレース」も世界的な盛り上がりを見せています。

ドローンレースは国内でも盛んに開催されており、参加してみたいと思ったユーザーも多いはずです。

そこで今回は、ドローンレースの参加に必要なものやレース用ドローンの選び方などの解説に加え、おすすめのレース用ドローンもご紹介いたします。

この記事でわかること
  • ドローンレースの参加に必要なもの
  • レース用ドローンの選び方
  • おすすめのレース用ドローン
目次

ドローンレースに必要なもの

ドローンレースでは、FPVでレーシングドローンを操作する場合があります。

FPV操作を可能とするには、資格取得や許可申請が必要です。

アマチュア無線4級の資格取得

通常のドローンに使われている電波の周波数は「2.4GHz」ですが、FPV操作に対応したドローンは「5.8GHz」となっています。

この周波数は無資格での使用が電波法で禁じられており、「第4級アマチュア無線技士」の資格取得が必要です。

試験は年に3回行われており、公益財団法人日本無線協会のホームページから日程を確認することができます。

第4級アマチュア無線技士は国家資格ではありますが、試験範囲をしっかりと勉強していれば合格は難しくありません。

総務省への映像送信機申請

資格を取得したら、次は総務省へ「開局申請」と呼ばれる申請を行います。

申請には第4級アマチュア無線技士免許の免許番号と、実際に使用する機体の映像送信器(VTX)の系統図が必要です。

総務省の「電波利用ホームページ」に記載されている方法に沿って、開局申請を行いましょう。

手数料がかかっても手間を省きたいのであれば、代理で申請を行ってくれる無線機器ショップの利用もおすすめです。

国交省への飛行許可(室外のみ)

ドローンの飛行は、航空法にて様々な規制が設けられています。

FPVドローンの場合は航空法で規制されている「目視外飛行」などに該当するため、事前に国交省へ飛行許可申請を行う必要があります。

申請はブラウザでの操作のみで完結するオンライン申請サービス「DIPS」の利用がおすすめですが、自分で用意した書類で申請することも可能です。

なお、航空法で設けられている規制は「室外での飛行」のみが対象となっています。

そのため、室内で開催されるレースの場合の飛行許可申請は不要です。

レース用ドローンの選び方

レース用ドローンは数多く流通しており、機体によって性能や価格は異なります。

性能について知識がない初心者の方も、以下2つのポイントはチェックするよう心がけましょう。

・FPV操作に対応しているか?・「技適マーク」はついているか?

一口にドローンレースと言っても、大会によって様々なルールが設けられています。

30〜50gの軽量ドローンを使用して速さを競う「マイクロドローンレース」や目視で行うドローンレースでは、FPVに対応したドローンを選ぶことは不要です。

一方、「FPVドローンレース」に参加する場合はFPVに対応したドローンを選ぶようにしましょう。

FPVに対応したドローンの中でも海外製のものは、「技適マーク」という技術基準適合証明がついていない機体もあります。

技適マークがついていないドローンを国内で飛ばすことは電波法で禁じられており、罰則が科される恐れもあるため必ずチェックしましょう。

レース用おすすめドローン

レース用ドローンは自分好みにカスタマイズする人もいれば、市販の機体をそのまま使用している人もいます。

ここでは、市販のレーシングドローンの中でも特におすすめな機体を8つご紹介いたします。

DJI FPV

大手メーカーDJI製の「DJI FPV」は、日本国内でも特にファンが多いレース用ドローンです。

航空力学に基づいて設計した機体により、最高速度140km/h・0-100km/h加速2秒という圧倒的な動力性能を実現しています。

バッテリーは2000mAhのインテリフライトバッテリーを採用しており、最大20分の飛行が可能です。

安全機能が動作する初心者向けの「Nモード」、垂直効果や反転などのマニュアル操作が可能な「Mモード」、そしてスピード感あふれる飛行が可能な「Sモード」という3タイプの飛行機能も搭載。

初心者から上級者までFPV飛行を楽しむことができる、高性能なドローンです。

DRL RacerX

レーシングドローンとして高い支持を得ているDRL製の「RacerX」は、時速262kmでの飛行が確認されたことで一躍注目を集めたドローンです。

RacerXには2つの1,300mAhバッテリーが搭載されており、本体重量は800gと比較的軽量ながら、実際は最高で時速289km飛行が可能とのこと。

プロペラの回転速度は毎分46,000回転にも及ぶと言われています。

世界のドローンレースでスピードへのこだわりが強い操縦士からは特に人気を集めています。

Potensic A20W

本体重量はわずか24gの軽量小型ドローン「A20W」は、FPVにも対応したトイドローンです。

価格は7,000円以下とリーズナブルで、FPV初心者の練習用ドローンにも適しています。

高度維持機能が搭載されているので、初心者の方がつまずきやすい「ホバリング」操作が簡単に行えることも嬉しいポイントです。

他にも3段階のスピード調節機能やスマホの角度でドローンを操作する「体感モード」など、トイドローンながら充実した機能が搭載されています。

FPV映像はゴーグル以外にも、専用アプリをインストールしたスマホ画面から見ることも可能です。

PARROT Bebop2

DJIに次いで有名なドローンメーカー、PARROT製の「Bebop2」はコンパクト・頑丈・安定動作・超軽量をコンセプトに開発されたドローンです。

重量は500gと軽量でありながら、連続飛行時間は25分間というパワフルさを兼ね備えています。

FPVに対応していることに加え、FPV用ゴーグル「COCKPIT GLASSES」とコントローラーの「Skycontroller2」がセットになっていることもBebop2の大きな特徴です。

必要なものがすべて揃っているため、これさえあればFPV飛行が初めての方もすぐに始めることができます。

E-MAX NightHawk 280PRO

レース用に設計された「NightHawk 280PRO」は、頑丈なフレームとカスタム時における重心のズレが抑えられていることが特徴です。

機体に搭載している1/3インチの700 line CMOSカメラはフレームで守られており、コントロールボードは防水レイヤーで保護されています。

これにより、雨などで濡れた地面に置いても機能に支障が出ることはありません。

WALKERA Rodeo 110

「Rodeo 110」は小さくともパワフルなブラシレスモーターとカーボンフレームの使用により、動力性能と高剛性を両立したレーシングドローンです。

加えて、重量が150g未満と軽量なことも特徴といえます。

初心者の方も飛行が楽しめるよう考慮された設計ですが、世界的にも人気な「F3フライトコントローラー」を採用しているため上級者の方も満足できることでしょう。

カメラは600TVL HDを装備しており、.8GHzカメラリアルタイム画像送信FPVディスプレイ装置との連携により迫力ある映像を楽しむことができます。

WALKERA Furious320

上記と同じくWALKERA製のレース用ドローンです。

カーボンフレームの採用で高剛性・軽量化を実現しながら、エレベーターの動きに合わせて稼働するアームは他の機体を凌駕する加速力をもたらします。

また、高度維持やワンキーゴーホームなどの機能を可能にするGPSも搭載。

レース中に機体を見失っても自動的に戻すことができるうえ、遠方で墜落しても機体をすぐに見つけることが可能です。

操作に不安が残る初心者の方に嬉しい機体ですが、ローリングなどの特殊操作にも対応しているため上級者もテクニカルな飛行を楽しむことができます。

BUGS3

「BUGS3」における最大の特徴は、ブラシレスモーターにより時速60km/hと非常にパワフルな飛行が可能なことです。

ただしGPSや気圧センサー、衝突回避センサーなどは搭載されていないため、上級者向けのドローンと言えます。

自分の力量のみに頼る飛行を楽しみたい方、各種センサー付きのドローンから離れて技術を磨きたい方におすすめのドローンです。

なお、BUGS3はモーター音が大きく制御も難しいため室内よりは室外でのレースに適しています。

自分でレース用ドローンを組み立てる場合は?

より自分の理想に近いドローンでレースに参加したいという方は、パーツを揃えて自作するという手もあります。

レース用ドローンの場合、以下のパーツが必要です。

機体の組み立てに必要なパーツ

フライトコントローラー

ドローンの制御全般に関わるフライトコントローラーは、いわばドローンの「頭脳」です。

姿勢制御や高度維持を行うだけのシンプルなものから、リターントゥホームを可能とするものまで様々な種類があります。

ESC

フライトコントローラーから受け取った信号を元に、モーターの回転数を制御するのがECS(モータードライバー)です。

モーターの回転数を制御しながら、スピードなどをコントロールする役割を担っています。

ECSは故障による発火のリスクが潜んでいるため、品質にこだわり、容量が大きなものを選ぶことをおすすめします。

モーター

モーターは、ドローンのプロペラを回転させるために必要なパーツです。

主に「ブラシ付きモーター」と「ブラシレスモーター」の2種類がありますが、現在はブラシレスモーターが主流とされています。

ブラシ付きモーターに比べて摩擦が少なく、長寿命で静音性にも優れており、市販の高機能ドローンにもよく使われています。

カメラ

映像の確認に欠かせないカメラは、レース用ドローンの場合「FPVカメラ」を選びましょう。

なおかつ小型・軽量であること、使用するフレームに対応したサイズのネジ穴であることを確認することも大切です。

また、FPVカメラで撮影できる映像のアスペクト比は「4:3」と「16:9」の2種類があります。

使用するゴーグルのアスペクト比に合わせることで、快適に映像を楽しむことができます。

VTX

VTXは、ドローンに搭載したカメラからの画像・映像をゴーグルやモニターに伝送するためのパーツです。

製品によって出力は異なりますが、FPV用としては25mW・100mW・200mW・600mW・800mWなどが主流です。

ただしレース用の場合は出力が定められている場合もあるため、確認しておくと良いでしょう。

なお、VTXを無許可で電源を入れることは違法とされています。

事前に開局申請を行い、承認が下りてから電源を入れるようにしましょう。

受信機

受信機は送信機が発した電波を受け取り、フライトコントローラーに操縦者の指示を伝達するのに必要なパーツです。

受信機とフライトコントローラーの伝達における通信規格は、PWM・PPM・S.BUSなど複数あります。

パーツごとの通信規格を確認したうえで、整合性のあるもの同士を使いましょう。

フレーム

ドローン本体の骨組みとなるパーツが、フレームです。

組み立て方はフレームによって異なりますが、ほとんどの場合は製品にマニュアルが添付されています。

マニュアルを確認しながら、組み立てていきましょう。

必要な工具さえ用意できていれば、比較的簡単に組み立てが完了します。

プロペラ

プロペラは高速回転して揚力を発生させ、本体を飛行させるためのパーツです。

サイズはインチまたはミリ単位で、回転直径の寸法が記載されています。

プロペラを選ぶときは、フレームのサイズに不釣り合いなものを選ばないよう注意が必要です。

目安としては、回転したプロペラがフレームの胴体部分に接触しない、またはプロペラ同士が接触しない程度のサイズがおすすめです。

フレームを購入する際、製品情報に適合するプロペラの最大サイズが記載されていることがあります。

あらかじめ確認した上で、プロペラを選ぶと良いでしょう。

本体以外に必要なアイテム

ドローン本体以外にも、レース用ドローンでは以下のアイテムが必要になります。

送信機

ドローンを操作するためのアイテムである送信機は、「プロポ」や「コントローラー」とも呼ばれます。

送信機を選ぶ際は、以下の2点を必ずチェックしましょう。

・技適マークがついているか
・使用する受信機と同じ通信規格であるか

先述の通り、国内では技適マークの付いていない無線機を使用すると違法とみなされます。

まずは送信機を用意してから、その通信規格に適合する受信機を用意してドローンを組み立てると良いでしょう。

FPVゴーグル

FPVゴーグルは、ドローンに搭載したカメラが映す映像をリアルタイムで確認するためのアイテムです。

製品によって様々なタイプがあり、「2眼レンズ」を採用しているタイプはIPD(瞳孔間の距離)の調整が必要です。

自分のIPDに合わせて調整しないと、映像がぼやけたり2重に見えたりしてドローンを上手く操縦することができません。

また、近眼や老眼の方が2眼レンズタイプのゴーグルを使用する場合は、「ジオプターレンズ」も併せて使用するケースが一般的です。

機種によっては焦点距離の調整に対応しているものもあるので、購入前に確認しておきましょう。

バッテリー

バッテリーは機体の動力源となるアイテムで、ドローンの場合は「リポバッテリー」と呼ばれるものを使用します。

リポバッテリーは他のバッテリーよりも軽量かつ大容量・高出力という特徴があり、軽さと動力性能が求められるレース用ドローンにも最適です。

ただし非常に強いエネルギーを持っているため、適切に管理しなければ発火する恐れがあります。

バッテリーと一緒に、リポバッテリー用の保管ケースも購入しておくと安心です。

充電器

リポバッテリーを使用するには、充電器も必要になります。

充電器にも様々な種類がありますが、最初の1台としてはリポバッテリーからリチウムフェライトバッテリー、ニッケル水素バッテリーなど複数のタイプに対応したものを選んでおくと便利です。

ただし複数タイプに対応した充電器を使用する場合、必ず充電するバッテリーと適合するモードになっているかを確認しましょう。

異なるモードで充電すると、思わぬ事故へとつながります。

なお、電源においても充電器によってタイプが分かれます。

「AC」と呼ばれるタイプの充電器は家庭のコンセントで使用できますが、「DC」の場合は自動車の12Vバッテリーなどを使う必要があります。

基本的には、扱いやすさを考えてACの充電器を選ぶと良いでしょう。

ドローンの組み立て

必要なパーツが揃ったら、機体の組み立てを行います。

使用する工具は選んだパーツによって異なりますが、以下のアイテムを揃えておくと良いでしょう。

・ハンダごて、こて台・六角ドライバー・精密ドライバーセット・円形タイプの特殊ドライバー・プライヤー・ネジロック剤

上記の工具を使い、以下の順に組み立てます。

①フレームを組み立てる②フレームにモーターをマウントする(取り付ける)③ESCを取り付ける④受信機をハンダ付けしたフライトコントローラーを取り付ける⑤VTXを取り付ける⑥本体の前部にカメラを取り付ける⑦本体の上部に天板を取り付ける⑧電源が入るかを確認する

電源が入ったら、PCと接続して各種調整や設定を行えば使用可能になります。

パーツ選びに悩んだら「自作キット」もおすすめ

レース用ドローンを自作するにあたって、数多くのパーツやアイテムが必要になります。

「どうやってパーツを選んだら良いのか分からない」
「1つずつ集めるのは手間がかかる…」

と感じる方は、すでに必要なパーツが揃った自作キットの購入もおすすめです。

完成品のドローンと比べて流通規模は小さいですが、Amazonなどの通販サイトでも購入することができます。

組み立て方のマニュアルも同梱されているため、一度もドローンを自作したことがなかった方の練習用として活用しても良いでしょう。

ドローンレース入門〜レースに出場するまでの費用目安

初心者がドローンレースの出場を目指すにあたって、機体の購入や資格の取得を目指すための費用が必要になります。

ここでは、ドローンレース出場までにかかる費用の種類とおおまかな目安をご紹介いたします。

ドローン本体購入

ドローンは安くて1万円前後で購入可能ですが、性能にこだわると10万円以上することもあります。

出場したいレースの種類によって必要な機体は異なり、「マイクロドローンレース」や「目視ドローンレース」に使用するドローンであれば、比較的低価格で販売されています。

最初は「入門機」と呼ばれる機体を購入して技術を磨き、「FPVドローンレースにも参加したい」「もっと高性能な機体が欲しい」と感じたら費用をかけて自分の希望に合った機体を購入していくと良いでしょう。

資格取得のための費用

アマチュア無線技士4級の資格取得

FPVドローンレースに参加する場合、アマチュア無線技士4級の資格取得が必要になります。

資格を取得する方法は、以下の2通りです。

・日本アマチュア無線振興協会が主催する講習会を修了
・独学で勉強して国家試験に合格する

講習会に参加する場合

講習会に参加する場合、参考書など込みで23,150円(18歳以下は9,850円)の講習料がかかります。

独学の場合

一方で独学の場合は1,000円前後でテキストを購入することが可能です。

独学でアマチュア無線技士4級資格の取得を目指す場合、試験の受講料は8,000円程度かかります。

参考書の費用と合わせても、独学であれば9,000円前後で資格の取得が可能です。

少し費用が高くなっても講習会で勉強しながら確実に資格を取得するか、自分で勉強する手間がかかっても費用を安く抑えるか、自分に合った方を選びましょう。

ドローンに関する基礎知識や操縦技術を学ぶ費用

なお、ドローンに関する基礎知識や操縦技術をドローンスクールで身に付けるのであれば、ドローンスクールの受講費も必要になります。

費用の目安は10万~30万円程度が相場となっており、スクールによって大きな差があります。

本格的なカリキュラムであるほど受講料も相応に高くなりますが、単純な機体の知識や操縦技術だけでなく、法規制についての理解を深めることもできます。

知識・技術ともに万全の状態でレースに臨みたいのであれば、受講して損はないでしょう。

ドローンのパワーアップ費用

市販の完成品をそのままレースに使用しても良いですが、より優れた性能にこだわるのであればパーツを自分好みに取り替えることもおすすめです。

ドローンの各パーツは専門ショップなどで購入可能なので、興味のある方は揃えてみてはいかがでしょうか。

費用はパーツごとに異なりますが、ブラシレスモーターの場合は3,000円程度、フライトコントローラーは7,000円程度、フレームは1,000~3,000円程度で販売されています。

また前述の通り、最初から自分でドローンを組み立てるという手もあります。

初心者の方でも、パーツがすべて揃っている「キットセット」であれば比較的簡単に組み立てが可能です。

キットセットの場合は製品代として10,000円程度、加えて送信機に5,000~30,000円程度かかります。

まとめ

ドローンレースには複数の種類がありますが、「FPVドローンレース」に参加する場合はアマチュア無線技士4級資格の取得や開局申請が必要になります。

無許可でFPVドローンを操作すると罰則が科せられるため、十分に注意しましょう。

ドローンの知識や操縦技術に自信がない操縦者の方は、機体も比較的安価に入手できる「マイクロドローンレース」や「目視ドローンレース」の参加がおすすめです。

最初のうちは市販されている完成されたドローンから購入し、慣れてきたら自分でカスタマイズに挑戦してみても良いでしょう。

勝率を上げるため性能にこだわることも、ドローンレースならではの楽しみと言えます。

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