ドローンの国家資格(二等)の取得を目指していて「学科試験ってどんな内容なの?」と疑問に思っている方も多いはずです。
問題の傾向や効率的な勉強方法が分かった方が合格率が高くなるので、学科試験の内容を知るのは非常に大切です。
今回の記事では、ドローン国家資格(無人航空機操縦者技能証明)の学科試験(二等)の内容を解説します。
ドローン国家資格(二等)を取得するまでの流れ
ドローン国家資格(二等)を取得するまでの流れは以下のようになっています。
【国家資格取得の流れ】
登録講習機関を受講するパターン | 直接試験を受けるパターン |
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①DIPS2.0から「技能証明申請者番号」を取得 ②登録講習期間で学科・実地講習を受ける ③指定試験期間で学科試験を受ける ④身体検査を受ける ⑤合格証明書を発行する ⑥DIPS2.0で技能証明書の交付申請を行う | ①DIPS2.0から「技能証明申請者番号」を取得 ②指定試験期間で学科試験を受ける ③実地試験と身体検査を受ける ④合格証明書を発行する ⑤DIPS2.0で技能証明書の交付申請を行う |
資格取得には、運転免許でいう教習所のような機関に通うパターンと、講習を受けずに学科・実技試験を直接受けるパターンの2つがあります。
基本的には登録講習機関を受講しての受験が推奨されています。
ドローン国家資格の学科試験(二等)の試験概要
ドローン国家資格の学科試験(二等)の試験概要は以下の通りです。
【ドローン国家資格の学科試験(二等)の試験概要】
実施方法 | 全国の試験会場のコンピューターを活用するCBT |
形式 | 三肢択一式 |
問題数 | 50問 |
試験時間 | 30分 |
有効期間 | 合格後2年間 |
引用:国土交通省
ドローン国家資格の学科試験(二等)の試験科目
ドローン国家資格の学科試験(二等)の試験科目は以下の通りです。
①無人航空機に関する規則 | 航空法全般 | ・航空法に関する一般知識 ・航空法に関する各論 |
航空法以外の法令等 | ・重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成28年法律第9号) ・電波法(昭和25年法律第131号) ・その他の法令等 ・飛行自粛要請空域 | |
②無人航空機のシステム | 無人航空機の機体の特徴(機体種類別) | ・無人航空機の種類と特徴 ・飛行機 ・回転翼航空機(ヘリコプター) ・回転翼航空機(マルチローター) |
無人航空機の機体の特徴(飛行方法別) | ・夜間飛行 ・目視外飛行 | |
飛行原理と飛行性能 | ・無人航空機の飛行原理 ・揚力発生の特徴 ・無人航空機へのペイロード搭載 | |
機体の構成 | ・フライトコントロールシステム ・無人航空機の主たる構成要素 ・送信機 ・機体の動力源 ・物件投下のために装備される機器 ・機体又はバッテリーの故障及び事故の分析 | |
機体以外の要素技術 | ・電波 ・磁気方位 ・GNSS(Global Navigation Satellite System) | |
機体の整備・点検・保管・交換・廃棄 | ・電動機における整備・点検・保管・交換・廃棄 ・エンジン機における整備・点検 | |
③無人航空機の操縦者及び運航体制 | 操縦者の行動規範及び遵守事項 | ・操縦者の義務 ・運航時の点検及び確認事項 ・飛行申請 ・保険及びセキュリティ |
操縦者に求められる操縦知識 | ・離着陸時の操作 ・手動操縦及び自動操縦 ・緊急時の対応 | |
操縦者のパフォーマンス | ・操縦者のパフォーマンスの低下 ・アルコール又は薬物に関する規定 | |
安全な運航のための意思決定体制(CRM等の理解) | ・CRM(Crew Resource Management) ・安全な運航のための補助者の必要性、役割及び配置 | |
④運航上のリスク管理 | 運航リスクの評価及び最適な運航の計画の立案の基礎 | ・安全に配慮した飛行 ・飛行計画 ・経路設定 ・無人航空機の運航におけるハザードとリスク ・無人航空機の運航リスクの評価 |
気象の基礎知識及び気象情報を基にしたリスク評価及び運航の計画の立案 | ・気象の重要性及び情報源 ・気象の影響 ・安全のための気象状況の確認及び飛行の実施の判断 | |
機体の種類に応じた運航リスクの評価及び最適な運航の計画の立案 | ・飛行機 ・回転翼航空機(ヘリコプター) ・回転翼航空機(マルチローター) ・大型機(最大離陸重量25kg以上) | |
飛行の方法に応じた運航リスクの評価及び最適な運航の計画の立案 | ・夜間飛行 ・目視外飛行 |
引用:無人航空機操縦士試験
一等の学科試験では、上記の内容に以下の科目が加わります。
②無人航空機のシステム | ・無人航空機の飛行性能 ・飛行性能の基本的な計算 |
④運航上のリスク管理 | ・カテゴリーIIIにおけるリスク評価 |
ドローン国家資格の学科試験(二等)の問題例
ドローン国家資格の学科試験(二等)では、以下のような問題が出題されます。
問題 | 無人航空機操縦者技能証明及び機体認証を受けていない場合であっても航空法に基づく国の飛行の許可又は承認が不要な飛行として、正しいものを1つ選びなさい。 |
選択肢 | a. 日没後の飛行 b. イベント上空での飛行 c. 人口集中地区に該当しない地域での高度150m未満の飛行 |
正答 | c |
引用:国土交通省
問題 | 夜間飛行を行う場合に機体に求められる装備として、正しいものを1つ選びなさい。(飛行範囲が照明等で十分に照らされていないものとする。) |
選択肢 | a. 飛行時に機体を認識しやすい塗色 b. 障害物との衝突防止のための赤外線センサ c. 機体の姿勢及び方向が正確に視認できる灯火 |
正答 | c |
引用:国土交通省
問題 | 気象が無人航空機の飛行に及ぼす影響の説明として、正しいものを1つ選びなさい。 |
選択肢 | a. 低温時はバッテリー性能が低下する。 b. アスファルトの地表面が暖められると下降気流が発生し機体が減速する。 c. 高温時は空気密度が増加し飛行性能が向上する。 |
正答 | a |
引用:国土交通省
問題を解くためには航空法などの関連法令やドローンの機体に関する知識、操縦者としての心構えなど、幅広い知識を正確に覚えなければなりません。
全ての問題は「無人航空機の飛行の安全に関する教則」から出題されるので、テキストを熟読することが大切です。
ドローン国家資格の学科試験(二等)に合格するためのポイント
ドローン国家資格の学科試験(二等)の対策で意識すべきポイントは以下の3点です。
- 「無人航空機の飛行の安全に関する教則」をしっかりと勉強する
- 1問当たり使える時間は約30秒
- 3択問題で「正しいものを選ぶ」「誤っているものを選ぶ」を見間違えない
試験科目の勉強だけでなく、問題の特性を理解した上での対策も重要です。
①「無人航空機の飛行の安全に関する教則」をしっかりと勉強する
学科試験の問題は全て「無人航空機の飛行の安全に関する教則」から出されると言われています。
市販のテキストなどもありますが、基本的には上記の資料を熟読するのが最も効果的な試験対策です。
「無人航空機の飛行の安全に関する教則」の内容を理解しながら、市販の問題集を使って対策を進めてください。
②1問当たり使える時間は約30秒
二等の学科試験は試験時間30分で50問を解かなければなりません。
1問にかけられる時間は30秒しかないため、正確さとスピードが求められます。
問題を見直す時間もないので、試験範囲をきちんと理解した上で、迷わず解けるレベルまで仕上げましょう。
③3択問題で「正しいものを選ぶ」「誤っているものを選ぶ」を見間違えない
学科試験では3択問題で基本的なパターンとして「正しいものを選びなさい」「誤っているものを選びなさい」の2つがあります。
試験時間が短いので焦ってしまうかもしれませんが、問題を最後までよく読まないと、間違える可能性が高いです。
問題を解く際は、まず末文を確認して、「正しいものを選びなさい」「誤っているものを選びなさい」のどちらになっているかを理解した上で答えを出しましょう。
ドローン国家資格の学科試験(二等)の勉強方法
学科試験の勉強方法を解説します。
特殊な勉強は不要ですが、問題の傾向から逆算して効率よく勉強していきましょう。
①教則を読み込む
最も重要な勉強は「無人航空機の飛行の安全に関する教則」の熟読です。
全ての問題は教則から出されるため、しっかりと読んで内容を理解することが大切となります。
テキストを何冊も購入して勉強するのではなく、「無人航空機の飛行の安全に関する教則」で基本をしっかりと身につけましょう。
②テキスト読み上げアプリを活用するで勉強する
「無人航空機の飛行の安全に関する教則」をテキスト読み上げアプリで聴きながら勉強するのもおすすめです。
電車の中や寝る前など隙間時間を使って勉強できますし、試験で出題される内容を効率よく選べます。
Youtube上に「無人航空機の飛行の安全に関する教則」の読み上げを行っている動画も数多くあるので、聞き流しによる勉強を上手に取り入れましょう。
③問題を解いて間違えた箇所をチェックする
教則の内容が頭に入ってきたら、問題集などを使って素早く問題を解く訓練を行います。
試験時間を念頭に入れながら、1問30秒以内のペースで問題を解きつつ、間違えた箇所については「無人航空機の飛行の安全に関する教則」を見直して確認することが大切です。
「問題を解く」→「間違いを見直す」のサイクルを繰り返しながら、試験に合格できるレベルまで仕上げましょう。
ドローン国家資格の学科試験(二等)を受験する際の流れ
ドローン国家資格の学科試験(二等)を受験する流れを解説します。
国家資格取得までの全体の流れと、学科試験を受験する際の流れをそれぞれ見ていきましょう。
【国家資格取得の流れ】
登録講習機関を受講するパターン | 直接試験を受けるパターン |
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①DIPS2.0から「技能証明申請者番号」を取得 ②登録講習期間で学科・実地講習を受ける ③指定試験期間で学科試験を受ける ④身体検査を受ける ⑤合格証明書を発行する ⑥DIPS2.0で技能証明書の交付申請を行う | ①DIPS2.0から「技能証明申請者番号」を取得 ②指定試験期間で学科試験を受ける ③実地試験と身体検査を受ける ④合格証明書を発行する ⑤DIPS2.0で技能証明書の交付申請を行う |
【学科試験(二等)を受験する流れ】
※「試験申込システム」に登録するメールアドレスは「DIPS2.0」で登録したものを使用する
複数のサイトでのアカウント登録が必要になるため、迷わないよう事前確認が必要です。
また、学科試験を受ける際には顔写真付きの本人確認書類が必要です。
【本人確認書類の例】
- 運転免許証
- パスポート
- 運転経歴証明書
- 在留カード
- 住民基本台帳カード
- マイナンバーカード
- 身体障害者手帳
ドローン国家資格の学科試験(二等)に関するよくある質問
ドローン国家資格の学科試験(二等)に関するよくある質問をまとめました。
学科試験を受けるのに必要な費用は?
ドローン国家資格の学科試験(二等)を受けるのに必要な費用は8,800円です。
学科試験と一緒に実地試験や身体検査も受ける場合は、別途費用がかかります。
実地試験は登録講習機関での講習を修了していれば免除されます。
学科試験の受験資格は?
ドローン国家資格の学科試験の受験資格は以下の2点です。
- 16歳以上であること
- 航空法の規定により国土交通省から本試験の受験が停止されていないこと
引用:無人航空機操縦士試験
ただし、下記の理由によって技能証明を拒否、保留、または取り消された方は一定期間受験資格を失います。
- 航空法に違反する行為をした者
- 無人飛行機の飛行で非行または重大な過失があった者
詳しい内容については航空法の「第百三十二条の四十五」 「第百三十二条の四十六」 「第百三十二条の五十三」を参考にしてください。
学科試験の合格率はどれぐらい?
公式で合格率が公表されているわけではありませんが、調査した結果、学科試験の合格率は60~70%程度と言われています。
二等の学科試験は30分の試験時間で50問を解く必要があり、正しい知識だけでなく問題を正確に解くスピードも求められます。
学科試験を受ける際は、各法令などの専門知識の勉強だけでなく、試験問題をスムーズに解くための対策も必要です。
民間資格と比べてどちらが難易度が高い?
国家資格の方が民間資格よりも取得難易度が高いと言われています。
試験内容はもちろんですが、資格取得までかかる日数や費用においても国家資格の方が上です。
その代わり、国家資格を取得すると航空法で定められる一部の特定飛行を行う際の許可申請が免除されるなど、民間資格よりも多くのメリットが得られます。
まとめ
ドローン国家資格(無人航空機操縦者技能証明)の学科試験(二等)の内容を解説しました。
試験対策はシンプルではありますが、問題数に対して試験時間が短いため、早く正確に問題を解く能力が求められます。
正確性が求められるので、試験範囲をもれなく理解しなければなりません。
今回の記事を参考にして、ドローン国家資格の学科試験(二等)の対策をしてみてください。