ドローン臓器輸送の最長距離更新!ドローンが広げる臓器輸送の未来

更新日: 2020.10.02 公開日: 2020.09.30
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現在ドローンを使って行われていることと言えば、小包の配達、捜索やレスキュー、空撮などが挙げられますが、今後は臓器の輸送にも期待できそうです。

 

ドローンソリューションを提供する「MissionGo」と、臓器提供者(ドナー)の斡旋を行うNPO法人「Nevada Donor Network」は、ラスベガスで人の臓器と組織をドローンで輸送するテストフライトを2回成功させたと発表しました。

 

フライトが行われたのは2020年9月17日で、1回目のフライトでは、研究用の角膜17個が、ある病院から約4キロ離れた別の病院へ輸送されました。2回目は、研究用の腎臓が空港からラスベガス郊外まで運ばれています。これらのフライトによって、ドローンによる臓器輸送の史上最長距離が更新されました。

 

これまでの最長距離は、2019年4月にメリーランド州ボルチモアのLiving Legacy Foundationから、University of Maryland Medical Centerまで腎臓を輸送したフライトでした。現在MissionGoに参加しているスタッフのチームが行ったものです。

 

今回のテストフライトで、フライト前後に腎臓の生体検査を行った科学者によると、腎臓の組織構造や細胞生存率には変化がなかったということです。MissionGoのAnthony Pucciarella氏は、「この2回のフライトは、とても大きな一歩。大変喜ばしい」と述べています。

 

通常であれば臓器は旅客機などで運ばれますが、現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、旅客機の運行数が大幅に減少しています。2020年9月の運行数は、ユナイテッド航空、アメリカン航空が50%減、サウスウェスト航空が25%減でした。

 

Medstar Georgetown Transplant Instituteで腎臓と膵臓の移植ディレクター、 United Network for Organ Sharing (UNOS)でヴァイスプレジデントを務めるMatthew Cooper博士は、移植可能な状態のうちに輸送できなかった臓器は廃棄するしかないのだと話します。例えば、腎臓は体から取り出したあと36時間から48時間しか持ちません。

 

Cooper博士はさらに、「臓器輸送において、ドローンの利用は革命的です。臓器の廃棄を減らし、少しでも有効に使うことへの障壁を一つ打ち破ることができるのだから」と期待を寄せています。

 

(画像引用:https://www.usatoday.com/story/news/health/2020/09/28/drone-used-transport-human-kidney-airport-las-vegas-nevada/3528614001/)