インド洋の島国モーリシャス沖合いで日本の貨物船が座礁し燃料が流出している事故で、美しかった海を燃料が黒く染めている様子をドローンが捉えた映像が公開されました。
ドローンが撮影した映像には、かつては澄んだ水と白い砂をたたえていたビーチが、真っ黒な油に覆い尽くされてしまった様子が映っています。また、人々が流出した燃料の除去作業を行っていますが、うまく行っていないようです。スコップですくって取り除くには、あまりにも大量の燃料が流出しています。
事故が起こったのは2020年7月25日で、商船三井の貨物船「わかしお」が、モーリシャス南東のサンゴ礁に乗り上げました。積んでいた4,000トンの燃料のうち、既に1,000トン以上が流出し、海上や海岸を汚染しています。
モーリシャスはその美しい海と景観で観光地として人気があります。また、事故が起こった地区は湿地保全の国際条約「ラムサール条約」に登録されている自然保護地区でもありました。固有の希少生物が多く生息し、多様な生態系が広がる場所です。
この事故は、その景観と生態系にあまりに深刻なダメージを与えました。すでにウナギ、カニ、ヒトデ、海鳥などが死んでいるのが確認されている上、事故現場は絶滅危惧種が多く生息するブルーベイ海洋公園からも近いことから、貴重な生態系へのさらなる被害も懸念されています。ボランティアの人々が、カメや鳥などの生物を汚染区域から別の場所へ移動させる活動を行っていますが、すでに多くの生物がオイルまみれになっている状況です。
ジャグナット首相は緊急事態宣言を発令し、外国や国連から支援を受けながら対策にあたっています。すでに流出している燃料の除去だけでなく、貨物船に残っている燃料を抜き取ることが急務です。国連の専門家チームが現地入りした他、日本の海上保安庁から専門家チームが、フランスから大量の物資と共に技術アドバイザーが派遣されています。