アメリカ、コロラド州に拠点を置く「Black Swift Technologies」は、過酷な状況下でも天候データを収集することができる持ち運び可能なドローン「S0」を開発しました。ドローンは1.3メートルの翼幅を持ち、嵐の中や極寒の環境下でも飛行することができます。アメリカ空軍に提供される予定です。
Black Swift TechnologiesのCEO、Jack Elston氏によると、このドローンは「ダイナミックソアリング」というテクニックを用いたスポーツで使われる機体のデザインを参考にしています。ダイナミックソアリングとは、無人のグライダーを風による速度勾配を利用して飛行させるもので、スポーツではいかに速い速度を出せるかを競います。
巨大な積乱雲による雷雨や竜巻などの過酷な環境下でドローンを飛ばすためには、いろいろな工夫が必要です。その一つとして、寒さによるセンサーの凍結や着氷を避けるため、S0には加熱エレメントが効果的に配置されています。
アメリカ空軍はS0に搭載されたセンサーを使って、ウインドシア(高度によって風速や風向に激しい差がある状態)のマップを作ることを考えています。兵士や積荷をパラシュートで降下させる際、予期しない風による事故を防ぐためです。現在ウインドシアはコンピューターモデリングによって推定されていますが、S0は実際のデータを集めるため、より正確です。地上から15,000フィート(約4.6km)上空まで一気に上昇することができるので、データを集めるのに時間もかかりません。
S0がアメリカ空軍に提供開始されるのは2021年春頃の予定で、その後抵コスト化したモデルを一般の気象学者向けに提供するとElston氏は話しています。壊れやすい商業用ドローンに独自にセンサーを取り付けて研究をしている気象学者達にとって、朗報になりそうです。
(画像引用:https://www.theguardian.com/news/2020/jul/03/weatherwatch-the-drone-that-can-cope-with-storm-force-winds)