新型コロナウイルスの影響で閉鎖が続いているアメリカ・ニューヨーク州のブロードウェイ劇場街では、各劇場の再オープンに向けて様々な戦略が練られています。バッファロー市に拠点を置くスタートアップ「EagleHawk」は、劇場に消毒剤を散布するドローンを開発しました。
消毒剤は地面に置かれたタンクに入っていて、ホースを通って劇場内をホバリングしているドローンに送り出されます。そしてドローンから消毒液が劇場全体に噴射されるというシステムです。同時にもう1台のドローンがその下を旋回し、ホースが座席に絡まっていないかチェックを行います。
EagleHawkのCOO、Will Schulmeister氏は次のように話しています。「このテクノロジーによって、消毒作業を行う人員の感染リスクや、PPE(個人用防護具)にかかるコストを最小化することができ、時間とリソースの大幅な削減につながります。ブロードウェイの劇場のような面積の広い公共の場を消毒するには、ドローンが最適です。何人ものスタッフが座席一つ一つに手で消毒液を吹きかけて拭き上げるより、ずっと効率的です」
さらにCEOのPatrick Walsh氏は、「PPEを着用していないスタッフに、消毒液の入った重いタンクを背負わたり、薬品に直接触れさせたりしなくて済む上に、ドローンなら広い範囲を一気に消毒することができます」と強調しています。ドローンで劇場を消毒するのにかかる時間は1時間程度だといいます。
中には劇場内でドローンを飛ばすことに難色を示しているオーナーもいます。劇場には歴史建造物として登録されているものもあり、装飾などの損傷を懸念しているためです。しかしWalsh氏によると、ドローンは屋内で安全に飛行するためのセンサーを搭載していて、1.3センチ程度の太さのケーブルでも検知し、避けることができるということです。
座席に使用されている布地を傷めない工夫もされています。ドローンは散布する消毒液の量をコントロールできるので、十分に消毒を行えて、かつ座席を必要以上に濡らすことはない適量の消毒液を散布することができます。劇場によって消毒液の種類を変えることも可能です。
EagleHawkはバッファロー市にある屋内競技場キーバンク・センターでドローンによる消毒のテストを行い、成功しています。