経済の要の一つになりつつあるドローンですが、現在は操縦者の視界内に限った使用がほとんどです。AmazonやGoogleなど、多くの企業が商品の配送にドローンを利用するために開発・実験を続ける中、目下の課題はBVLOS(目視見通し外)飛行であると言われています。BVLOS飛行の実現に新しい風を吹かせているのが、Iris Automationが発表した新しいカメラ・AIシステム「Casia 360」です。
「Casia 360」は、史上初のドローンに搭載可能な「Detect-and-Avoid (DAA)」機能、そして放射状に360度の視界を可能にするカメラを持ち、商業用ドローンのBVLOSオペレーションを実現するシステムです。5つの望遠カメラで撮影したドローン周囲の映像を、ドローンに取り付けたコンピューターが解析し、アルゴリズムによって導き出された最適な飛行をを自動で行います。
他の航空機が近くを飛んでいる場合、どの方向でも航空機を認識することができ、AIによって航空機の種類や予想進路などを解析した上で、自動で衝突を避けることができます。
Casia 360は、ソフトウェアとハードウェアのセットです。ハードウェアに含まれるのは5つのカメラ、2つのコントローラーで、どちらもドローンに搭載して使います。
Iris AutomationのCEO、Alexander Harmsen氏は次のように話しています。
「Casia 360は、ドローンを取り囲む環境を全て把握することができるので、衝突などの事故を防ぐことが出来ます。このテクノロジーは、世界中のドローン規制を司る機関、そして顧客からのフィードバックを基に開発されました。Casia 360を搭載したドローンは低コストで広範囲のBVLOS飛行が可能になります。鉄道、エネルギー産業、送電線の調査、商品の配送、捜索やレスキューなどあらゆる分野で活躍することを期待しています」
Casia 360の安全性を確認するため、Iris Automationは実験に実験を重ねています。あらゆる種類の航空機と衝突するシナリオを想定し、実際の飛行を12,000回、シミュレーションを50,000回行いました。
Casia 360は現在、アメリカ、カナダ、南アフリカなどでBVLOS飛行の許可を得ている複数の事業者によって利用されています。初回の限定販売はすでに売り切れとなり、現在はIris Automation公式サイトから次回販売の予約を受け付けています。
(画像引用:https://dronedj.com/2020/04/06/beyond-visual-line-of-site-iris-casia-360/)